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【読書メモ】「岳飛伝 3 嘶鳴の章」から学ぶ<人と組織>

全17巻の大作であるため第3巻はまだまだ前半ですが、今回も読み応えのある満足感の高い一冊でした。
また、組織運営という視点でも学びが多かったためその点をまとめてさせていただきます。


概要と感想

第3巻では、梁山泊と金国との戦が終わりを迎え、両者の講和、休戦後のそれぞれの活躍が描かれている。
初期から登場している人物である呉用もいよいよ死期が近づいている。そんな中で、各所で世代交代が一気に進んだ一冊であった。この中で若者たちが力を発揮し、組織をリードしていく姿がとても印象的でもあった。

人と組織における学び

最初に人を選ぶ

金国との講和の代表として選ばれたのは、宣凱であった。2巻では自らの志をみつけようと奮闘していた者である。宣凱以外にの呼延凌や秦容などのかつての将軍達の子世代が重要ポストについている。
これを読みながら、ビジョナリーカンパニー2の次の言葉を思い出した。

まずはじめに適切な人をバスに乗せ、不適格な人をバスから降ろし、どの後にどこに行くかを決めること

ジム・コリンズ 著, ビジョナリーカンパニー2, p71

それぞれの志はまだ定まってはいないが、能力あるものをポストにつけ、行き先はその先に考えてもらう。呉用の考え方はまさにそんな様子であった。「替天行道」の志は自分の胸にしまい、次の世代が自ら考えるように仕向ける。なかなか難しいことではあるが、人となりを理解し、環境を用意することがとても重要だと思える場面であった。

人に任せる

それぞれを重要なポストに置いてからも、先人たちは口出しせずにバックからサポートに徹していたように思う。
山本五十六の名言の一つである次の一節とつながると感じた。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」

山本五十六

と急に重要ポストについた宣凱は、呉用とともに暮らしながら、その姿を追いながら学んでいた。金国との講和においては、宣凱に一任をしてしまう。最終的に見事にやり遂げる宣凱は、細かいところまで見事に成し遂げ、周りから感心される。
呉用の心情はあまり描かれていなかったが、良き理解者であったとは思う。

人を活かす

場所は変わって、退役した秦容はメコン川流域に開墾作業に没頭していた。その中であまり目立たない4人組を発見する。
人と関わり合わない4人ではあったが、薬の知識を持ったメンバーであった。秦容は彼らの輪に加わり、彼らの強みを発見していく。

成果を上げるためには、リーダーは人がもつ最大の強みに焦点を合わせ、その強みの発揮の妨げとならない限り、弱みは関係ないものとして無視しなくてはならない。

P.F.ドラッカー著,「経営者の条件」 

この姿はメンバーの強みを活かす、リーダーとしての資質だろう。社会人になってしまえば、強みを活かすこと、伸ばすことが最良だと考えているので、この言葉は忘れずに仕事に向き合っていきたいと思う。

取り入れたいこと

  • メンバーと会話し、理解を深め、仕事を任せていく

こんな人におすすめ

  • 北方謙三好きの方

  • 中国の歴史物が好きな方

  • 新たな組織や会社を作ろうとしている方


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