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【読書メモ】The DevOps ハンドブック
「The DevOps 逆転だ!」の著者でもあるGene Kim(ジーン・キム)さんの書籍。「The DevOps 逆転だ!」は物語を通じてDevOpsの良さを伝える本ですが、本書はハンドブックと書かれているように、思想から実装手段まで書かれており、辞書のように活用できる書籍でした。
概要
本書は大きく以下の3つの構成からなっており、全体で400ページ以上の大作となっている。それぞれのパートは独立して読める部分も多いため、第1部を読んだ後は、気になる部分から読んでも良さそうです。
フローの原則
フィードバックの原則
継続的な学習と実験の原則
フローの原則
こちらの記事でも取り上げたが業務プロセス全体を意識することを本書でも強く意識している。
この考え方の根底に「リーンの原則」があることがここに至る背景として共通している。リーンの考え方に基づくと、リードタイムを短くするため、バッチサイズを小さく、受け渡しの短縮が重要になってくる。ザ・ゴールで有名な制約理論も重要な考え方となるので、この点で業務プロセスを眺めてみると良いだろう。
パッと思いつくところでは、「品質確認に時間を要している」「リリース間際で手戻りが起きている」「運用への引き渡しに時間を要している」といった問題が挙げられる。いずれもバッチサイズを小さくしたり、運用と開発が一体となることで解決の糸口が見えてくるだろう。
フィードバックの原則
フィードバックはシステムやサービスがどのように動いているかをモニタリングすることから始まる。本書では、LinkdinやNetflixなど大規模なサービスを展開している企業の事例を多く含んでおり、どのような考え方を用いてDevOpsに至ったかを知ることができるのはとても良かった。
ただし、技術的には少し時代遅れの部分もあるので、実際に導入を検討する際には最新情報に当たることをお勧めします。
継続的な学習と実験の原則
最後に重要とされるのが学習サイクルを回していくことです。それも単にチームだけでなく、組織・会社のレベルで学習サイクルを回すことで、全社レベルでナレッジを収集・展開していき、全体の底上げができることを事例とともに解説しています。
ポストモーテム(振り返り)を実施するチームや組織は増えていると思いますが、悪者探しではなく、「公平性を保った運営」と「組織運営に反映していく」の2点を実施できるようにレベルアップしていきたい。
DevOpsは技術だけではない
本書では技術的な内容も多く含まれているが、DevOpsを定着させるには文化的な側面を変えることが大いに必要だと感じた。
印象的だったのは、「一番詳しいのは実際に問題解決に問題解決にあたっている人・コーディングやテストをしている人」というのが根底にあることです。官僚主義的にどんどん役職の高い人が承認プロセスに入ったとしても、物事がうまくいくようになったことはない。むしろ、一度にまとめようとしてより難易度は上がっているのかというのは目から鱗であった。
責任問題の話ではあるが、責任所在と権限委任の実行は別であることをしっかりと認識し、文化として根付かせられるかが課題だと感じた。
取り入れたいこと
現在のテストプロセスを再確認し、ボトルネックがないか確認する
セキュリティを自動化に組み込めないか検討する
DevOpsに馴染まない組織文化を解消する案を検討する
こんな人におすすめ
アジャイル開発をやっているけどあまり変わらないと感じる方
DevOpsを取り入れたいけどどうしたらいいかわからない方
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