見出し画像

【読書メモ】付加価値のつくりかた

ソフトウェア開発の手段の一つであるアジャイル開発では「価値」というキーワードをとても大事にしている。本書は「付加価値」をテーマにした一冊であり共感や参考になるで部分もとても多かった。


本書の「付加価値」と狩野モデル

本書における付加価値は、顕在ニーズと潜在ニーズにの総和でそれを超えた部分はムダだと定義しています。(注:詳しくは本書のp66をご確認ください)

社内でソフトウェア開発の品質について議論する時には狩野モデルを引用することがあります。
狩野モデルの

  • 当たり前品質

  • 魅力的品質

  • 無関心品質

のうち、はじめの2つが本書で定義される顕在ニーズと潜在ニーズに当てはめることができ、無関心品質をムダと当てはめることで、よく理解できた。

参考:狩野モデルのWikipedia

ムダに関しては、トヨタ生産方式のつくり過ぎのムダにも合致するだろう。

ニーズの見極めとデザイン思考

本書では「顧客ニーズの徹底理解」が重要であるとしている(p100参照)。これは、デザイン思考におけるダブルダイヤモンドの出発点である探索フェーズに合致している。

探索フェーズでは、顧客や課題を理解するために現場を観察したり、ペルソナを設定したりと様々な手段で問題を掘り下げていく。
本書ではニーズ把握の具体的な手法までは記載されていないため、実際に導入する際にはデザイン思考も組み合わせていくとより実績的に使える考え方だと思う。
ニーズの把握で肝に銘じたいと思ったのは、次の部分である。

ニーズの探究に終わりはない。わかっていると思った瞬間に二流になる

田尻 望 著, 付加価値のつくりかた, p189

最初は右も左もわからなかったとしても、仕事を進めていくうちにわかっている部分も増えてくる。この時にわかった気になることはとても危険だ。別のユーザとなって考えたり、範囲を広げてみたりと切り口を考え続けることが必要だと再認識した。

組織文化を変える

本書の後半部分ではキーエンスの組織文化について言及している。いわゆる大企業になっていくと組織が分かれ、縦割りや階層化が進んでいく。事業を効率的に進めて、大きくしていくのはいたしかない面もあるが、変化に対応する速度や情報共有といったスピード感はどうしても失われていってしまう。
本書のように数字で捉えるといった文化を一足飛びに導入してしまっても失敗してしまうことが多いだろうとも感じた。遠回りにはなってしまうかもしれないが、ジョン・P・コッター氏が『企業変革力』で提唱した8つのステップを踏みながら、泥臭く変革を導くことが大事であるとも思う。

取り入れたいこと

  • 作っているものが顕在ニーズもしくは潜在ニーズを満たすか検証する

  • 自分の担当にこだわりすぎない。越境する

  • ニーズの探究を続ける

こんな人におすすめ

  • 価値ってなんだろうという疑問をすっきりさせたい方

  • 頑張っているがなかなか成果につながらないなと感じる方


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?