【小説】不確かな何処かに向かひて 〈「六十度」#4〉 [本文無料]
クレオールコーヒースタンドの小説サークル「六十度」四号に掲載した作品です。
川べりの道は延々と続いていた。僕はただ砂利の音を頼りに歩き続けていた。空は曇っていてジメジメとした体感が纏わり付いていた。川の流れに沿って歩いているのか、逆らっているのか、僕が歩いている道からは川自体は見えることなく、ただ時折水流の音が聞こえてくるから川べりなのだろうと何となく思っていた。
どれ程歩いたか時間の感覚はもはやなかった。歩き始めてそう経っていないのかも。曇天の下なので太陽の位置も分