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分岐点。
ところで、人生のターニングポイントって、1人あたりだいたいどれくらいくるもんなんだろう。
進学、就職、結婚……この星に住む人間はやたらとその人生に節目をつくりたがる傾向にある。
「出会い」もターニングポイントになり得るし、その対象が人ではなく形のないモノであってもそれは成り立つ。たとえ最初のその瞬間はそうと気づかなくとも、時が経つにつれじわじわと自分の人生を侵食しはじめ、気づけばそれが生きていくのにかかせなくなったりもする。
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大好きなSFドラマ「ドクター・フー」(の話はこれからも追々していくとして、)のシーズン2 第10話「Love&Monsters」は、シリーズの中でもメインストーリーからちょっと距離を置いた、番外編ともとれるエピソードだが、ここで語られている内容は、100を超えるエピソードの中でも群を抜いて作品の本質を突いているものと言っていい。
そしてそこで語られるメッセージの強さには、今でも思い出す度に胸が締め付けられる普遍的な力がある。
僕の体験した最悪の出来事と、最高の出来事。その違いは紙一重だ。すべて僕の見方しだいさ。
S・キングも書いてる。"救いとのろいは同じものだ"
―昔は分からなかったが、今なら分かる。
(中略)
昔は思ってた。大人になったら、就職して、結婚して、子供を育てて終わりだと。
でもこの世界ははるかに奇妙な場所だ。はるかに暗く、はるかにイカれてて―はるかに素晴らしい。
ラストシーン、エルトンの台詞
そう考えると、やっぱり自分にはターニングポイントが多い。それはとっても幸せなことだ。
先日、嬉しい小さな再会があった。
その人は僕を見て、最初なぜか忘れたフリをしたが、ちゃんと覚えてくださっていた。
およそ8年前。
なにもわからずとりあえず飛び込むだけとびこんだはじめての現場の、
短い移動時間の小さな車中でその人と交わしたいくつかの会話。
細かい事は覚えていない。
確かに覚えているのは、
その時もの凄く鼓動が早かったことと、
これを逃せば、次はないかもしれないという謎の確信。
そして、今この瞬間が、
人生の分岐点だと(言い方は大袈裟だが)いう根拠のない、でも揺らぎない直感。
あの時の不思議な感覚だけは、今でもしっかりと思い出せる。
結局、人生の分岐点なんてものは、何回来るかが肝心なのではなく、何回それに気付けるか、なんだとおもう。