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『君と遊ぶ条件』#2【短編小説】
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それではどうぞ
前回のあらすじ。
イモ女の佐藤広美(さとうひろみ)が、10万円を渡す代わりに僕、天海拓馬(あまがいたくま)と遊びたいと言い出した。
なんて言っている場合ではない。この状況をどう切り抜けたら良いんだ。
今から佐藤と遊ぶなんて論外だ。学校から一緒に帰れば、どんな噂が立つか分からない。ただでさえ、学校の奴らは男女2人で歩いているだけで付き合ってるとか騒ぎ立てる猿どもだ。それなのに放課後に遊んでいる所を見られたら、もう取り返しのつかない事となる。
しかし、断るのも無理がある。佐藤が僕の事を逆恨みして、僕の評判を下げる事をするかもしれない。このイモ女に何が出来るか分からないが、意味も無く不安要素を産むのはリスクがある。信用はどこから崩れるか分からない。今まで全ての事に気を遣ってやってきたんだ。こんな所で全部無駄にはしたくない。
「天海くん……?」
僕はハッとする。佐藤が困ったような顔で僕を見ていた。
佐藤を放置して考え込んでしまっていた。いやしかし、こんな話をされたら頭を整理するための時間がいるだろう。
佐藤が再び口を開く。
「あの、やっぱり10万円じゃ安いですか?」
「はっ? いや、金額の話じゃなくて」
「それじゃあ20万でどうですか!」
「ここはオークション会場かっ!? とにかく金額は関係無いって!」
つい声を荒げてしまった。
佐藤がポカンとした顔で固まる。ヤバい、いつものキャラではなかったかもしれない。
僕は咳払いしながら、次の言葉を探す。
「えっと、僕が戸惑っているのは、10万円が安いと思っているわけではないんだ。むしろ、10万円は高いだろう?」
高校生にとって、10万円は結構な大金だろう。うちの高校はバイト禁止だし、お小遣いを溜めようにも10万には中々たどり着けない。
そんな大金を、僕と一日遊ぶためだけに佐藤はポンと出したのだ。一体どういう事なんだ?
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