
【Facebookから読み解く】興味と関心を引いた竹原市の観光スポットまとめ(台湾・香港編)
2023年7月6日、竹原観光にフォーカスを絞り台湾・香港(繁体字)市場に向けた最初の投稿が始まった。2024年3月までほぼ週2回ペースで73件の竹原市内の観光情報の記事を投稿し、受入れ側として、きっとこうに違いないと想定していたものもある中、まったく意外な記事に興味と関心が集まったものがあり、整理しながら次のアクションを起こすための題材としたくまとめてみた。
竹原観光の海外プロモーション
-2023年のプロジェクト
2021年から続く海外プロモーション事業(3年)で、2年間はコロナ禍の中、モニター調査や分析、コンテンツ造成などを特化して行われており、2023年になって初めて本格的でリアルなプロモーション活動ができるようになった。広島県全体では、訪日インバウンド国別で欧米豪が圧倒的に多数ではあるが、大久野島(うさぎの島)を有する竹原市は、欧米豪とアジアが拮抗していて、県内他地域と差別化して香港・台湾・タイの3か国を重点プロモーション国として指定している。そして、2023年に海外プロモーションで行うべき課題を3つ挙げた。
重点プロモーション3か国の旅行博覧会への出展、PR活動
海外3か国での旅行会社営業とマーケット調査
繁体字、タイ語でのFacebookアカウント開設とSNSマーケティング

-Facebookアカウントの開設
まず、竹原観光の認知度がどれだけあるか肌感覚を含め生の声を聴くために海外での旅行博出展と現地旅行会社への営業を行うことと、情報発信ツールとしてのFacebookの活用とオーガニックなフォロワーの獲得。徐々に獲得したフォロワーのエンゲージメントを分析するためのSNSマーケティングを行い、適切な情報を市内観光事業者に提供できるようにしたいという思いがあった。
-ターゲット国での旅行博参加
6月中旬に開催された香港国際旅遊展では、500名以上のフォロワー、11月初旬に開催された台湾国際旅遊展では、1600名ほどのフォロワーを獲得でき、オーガニックフォロワー数の増加がアカウントの知名度向上の下支えに貢献している。
ちなみに、某訪日インバウンドコンサル会社によると、香港や台湾旅行博でのフォロワー獲得数の目途は、香港が300人、台湾が500人程度とのことで、旅行博前と博中での投稿記事がかなり効いていると感じ、特に台湾旅行博に関する投稿は、リーチ数もエンゲージメント率も上位に位置した。こういった活動により5月17日現在のフォロワー数は4233名、ここ数年のKPIとしてのフォロワー数5000人以上の目標には幸先の良いスタートとなっている。ただし、フォロワー数の確保だけが最大目標ではなく、各投稿に関するエンゲージメント率と人気投稿記事について分析し、トレンドに即した次のアクションに移りたいと考えている。
尚、台湾・香港での竹原市の認知度は、大久野島(うさぎの島)についてはかなり高いわけだが、その島が竹原市そして広島県に位置していることまで知っている方はほんのわずかで、地図での位置やアクセス方法についての質問や問い合わせが多いのが気づきでもあり現地プロモーションでの課題であった。
-繁体字(台湾・香港)アカウントの構成
日本でFacebookはおじさんSNSと称されているが、台湾・香港ともFacebookが利用度90%近くでNo1といわれている。どちらかというと台湾と香港のほうが世界標準で、日本はユニークな比率(33%)のようだ。
アカウント内インサイトで構成をみてみると、台湾が70%、香港23%、残りがタイ、マカオ、日本、その他となる。フォロワーの年齢別構成は、20代~50代までが中心で、日本の年齢別構成とはさほど変わらない。ただ、日本の性別構成は男性が多めではあるが、当アカウントでは、男性47%女性53%と若干女性のフォロワー数が多くなった。
こういった事情からまずはFacebook一択での投稿と情報発信となったが、割とオーガニックフォロワーもすんなり獲得できる背景があった。

SNSマーケティングで探る竹原観光のトレンド
-台湾・香港の人気記事投稿は大久野島
Facebook開設以降、投稿記事の中で最も興味と関心を受けたものは大久野島関連だ。大久野島は、2010年代中盤に海外インフルエンサーの動画投稿が人気を博し、海外ではウサギの島として認知度が高まり、コロナ前まで人気スポットとして徐々に来訪客も右肩上がりに伸びた。
特に中華圏は干支でウサギがあるし、長寿の象徴でもある。たくさんのウサギと島内で出会うことができるご利益のある珍しい観光スポットとして一度は立ち寄ってみたいと思うのも納得だ。
-大久野島関連の人気投稿
リーチ数からみる大久野島関連の人気投稿は以下の通り。
(順位はリーチ総数、パーセントはエンゲージメント率)
大久野島 1位 24%
うさぎの島と竹原周遊券(かぐや姫号)3位 12%
忠海港 15位 16%
ニッチなマーケット向けだと5~10%くらいといわれているので、上記の通りエンゲージ率からしても高い興味と関心をもたれたのがわかる。

-その他の人気投稿
大久野島関連以外の観光地でリーチ数が多かったものをここに挙げたい。
(順位はリーチ総数、パーセントはエンゲージメント率)
たけはら海の駅(竹原港) 4位 7%
松屋二重焼本舗(町並み保存地区) 6位 4%
きのえ温泉清風館(大崎上島) 8位 6%
凪まちのエチエ(イベント・町並み保存地区) 9位 5%
竹の茶屋いっぷく 10位(町並み保存地区) 5%
農家レストラン西野 11位(吉名) 6%
リーチ数上位は、観光地よりも飲食関連、温泉旅館やイベントが人気を集めたが、エンゲージメント率に関すれば10%を超える投稿はなかった。悪くない数値ではあるが、大久野島との大きなギャップを感じる結果である。
有名な観光地として市中心部になる町並み保存地区と名産品でもある日本酒に関するリーチ数は上位に入っていないが、日本酒関連で藤井酒造と酒蔵交流館の投稿についてはエンゲージメント率が13%を超えている。台湾はお酒への関心が薄いが香港は日本酒輸入量も多く、旅行博出展時も香港のほうが高い関心を感じた。日本酒に関心を示す市場はニッチではあるが特に香港である程度存在し近隣自治体と協力しながら広域連携で認知度を高め誘客につなげる方法もありそうだ。

-リーチ数は少ないがエンゲージメント率の高かった投稿
リーチ数は人気投稿に及ばないが、エンゲージメント率が高い投稿もいくつかあった。10%以上あったものをいくつか紹介する。(順不同)
町並み保存地区(町並み保存地区) 16%
道の駅たけはら(町並み保存地区) 15%
JR特別列車「etSETOra] 15%
藤井酒造・酒蔵交流館(町並み保存地区)13%
憧憬の路(町並み保存地区) 11%
カフェフォクストン 12%
西方寺普明閣(町並み保存地区) 10%
NIPPONIA HOTEL竹原製塩町(町並み保存地区) 18%
竹工房(体験・町並み保存地区)15%
リーチ数は大久野島の3分の1ほどになるが、町並み保存地区関連の観光スポットが多く、上記はエンゲージメント率は10%を超える。タビマエ情報として町並み保存地区を旅先に考え情報を集めているのが伺えた。
地区内により魅力的な観光スポットや賑わいを感じることができれば、リーチ数も増えてくると考えられる。

繁体字アカウント初年度のまとめ
竹原市としては、海外向けに初めて発信したSNSで、訪日コンサルタント事業者のアドバイスを聞きながら記事投稿の選定をすすめた。フォロワー数は徐々に上がっていったわけだが、年度が終わってエンゲージメント率を詳しく分析するとマーケットの嗜好が見えてきた。大きく分けると3つのポイントがある。
竹原にとって大久野島が最大の観光資源
町並み保存地区にもっと魅力的なコンテンツを
市内周遊観光が適しているかより深い分析が必要
大久野島に訪れる観光客と町並み保存地区とはかなり特性が異なり、市内周遊を促進するためには、より互換性の高い相乗効果がある興味の持てるコンテンツが互いにある必要性があり、一度で2度(2倍)以上楽しめる魅力づくりが必要だ。どちらか一方の観光地を目的地とした場合、近くに行ったので寄らないわけにいかないと思わせる理由がほしい。
2年目に入ったFacebook投稿による情報発信では、より課題を浮き彫りにして解決に努めたい。また、SNSマーケティングの重要性から、Facebook以外からもタビナカとタビアトに重点を置くSNS(例えばグーグルビジネスプロフィールなど)の利用促進も検討に入れて今後は進めていきたい。