竹鼻-11

物が欲しいのではない、バックグラウンドが欲しいと言われた話

僕は今、KURA COCOLONOという空き蔵を利活用した体験型ギャラリーのオーナーをしています。

体験の中の1つである移動可能な陶芸窯を通して面白いご依頼をいただいたのでお話をさせていただきます。

まず移動可能な陶芸窯については以下のニューヨークを拠点としているWEBマガジンHEAPS MAGAZINEさんの記事をお読みください。

さて、先日窯焚き体験を実施している時に電話が鳴りました。

電話に出てみると、これからカフェを開くというオーナーからで、移動可能な陶芸窯で焼き直した陶芸作品をいくつか購入したいとのご依頼でした。

そしてその方から

「私は物を買いたいのではなくその物のバックグラウンドを買いたいと思っています」

と言われました。

僕はデザイナーとして仕事をしてきて、確かに「物を売るな体験を売れ」などの言葉を耳にしてきましたが、実際にお客様からこのような要望をいただいたのは初めてでした。

僕は確かに陶芸においては物のデザインをしていません。なぜなら陶器のデザインは自然の力に任せているからです。

でもバックグラウンドのデザインはしています。

僕には物の形(デザイン)はいずれテクノロジーに奪われるという思考もあります。

究極の陶器も時間の問題とも考えています。

だからこそその物の後ろ側にある物語や社会に向けて発信すべき思考を物に乗せてデザインしたいと思っています。


僕は目に見えない「もの・こと・ひと・ば」を目に見える「物・事・場・人」にデザインするデザイナーとして、これからもデザイナー人生を歩めたらなと思えた体験でした。


竹鼻良文/TAKEHANAKE代表

TAKEHANAKE design studio HP

TAKEHANAKE BRAND


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竹鼻良文 /合同会社クレイジータンク
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