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【GK&DF編】2024鹿島アントラーズ選手別最終通信簿
GK
早川友基
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リーグ:38試合(38試合先発)出場41失点
ルヴァン:2試合(2試合先発)出場3失点
天皇杯:2試合(2試合先発)出場4失点
もう誰が見ても立派な守護神である。シーズン通して、波があった時期もあるのは否めないが、まあ早川をレギュラーで使うことに異論はないわな、というプレーぶりを続けた。波がある時期はポジショニングが悪かったり、ハイボールの対応でミスってしまったり、キック精度が雑になったりしたのだが、認知の部分での負担が減っている時は配球の判断も良いし、何よりシュートストップの部分で相手の決定機を止めてくれるので、最終的に思ったより失点数が少なく済んだのは、早川のおかげという部分は間違いなくある。鹿島では早川と他の面々との差が広がってきているので、ポジションを失う心配はなさそう。あとは、チームの成績を上げていければ、自然と早川の評価も上がっていくはず。
梶川裕嗣
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出場なし
今季から加入したチーム最年長はシーズンの大半を第3キーパーという立ち位置で過ごした。プレーぶりは悪くないし、ボールを足元で扱うことにビビらないことはプラス材料なのだが、気になったのはベテランの割に影響力が小さいこと。サブ組で練習試合やったりして攻め込まれている時に、梶川がチームを落ち着かせたり、コーチングで味方の若手守備陣を動かしてピンチを防ぐ、みたいなシーンはあまりなく、その辺は同じベテランでもクォン・スンテや曽ヶ端とは大きな違いがある。だったら、成長投資込みで山田の方をベンチに入れたほうがいいじゃん、って判断になるのも分かるわけである。チームとしては来季もいてもらった方が助かるのだが、本人的にもっと出場機会を求めて出ていくはありそう。
山田大樹
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天皇杯:2試合(2試合先発)出場2失点
岡山から戻ってきた今季はU-23代表に呼ばれて離脱する期間もあったりしつつ、大半を2ndキーパーの立ち位置で過ごしたが、出番が訪れたのは天皇杯の2試合のみ。早川とはものすごく大きな差が開いてしまっている。サイズに恵まれているのでそれを活かしたシュートストップは魅力的だし、キックも左足からパワーのあるボールを蹴ることができるのだが、いかんせん要所要所が雑すぎるのだ。カウンターのチャンスでサイドにつけようと思ったら、それがミスになってタッチを割ってしまったり、中途半端な飛び出しであわやみたいなシーンを作られたりと、得失点には直接繋がらないがその辺で信頼を掴めていないし、早川がそうした部分で日々鍛錬を積んでいるので、余計にそこがもったいなく感じてしまう。ジュニアから育ったチームのサブでも満足なのか、もっと上を目指したいのか、その辺が問われる年齢になってきている。
パク・ウィジョン
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出場なし
今季も試合に絡むことはなかった。やはり、他3人と比べると基礎的な能力でまだまだな部分があるので、第4キーパーの立ち位置が最後まで変わらないのはまあそやな、と言えるだろう。ただ、前はキーパー陣の誰かかスンテにベッタリだったのだが、日本語でのコーチングも上手くなってきたし、自立した感じが見られるようになってきたので、いよいよプロ選手っぽくなってきた感はある。もう1年は鍛錬が必要そうだが、それ以降はそろそろ武者修行に出てもいい頃合いかもしれない。
DF
安西幸輝
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リーグ:38試合(38試合先発)出場1ゴール3アシスト
ルヴァン:2試合(1試合先発)出場1ゴール
天皇杯:3試合(1試合先発)出場
今季の鹿島のサイドバックは濃野のインパクトが強いが、個人的には安西が(最終盤の怒涛のエンタメアピールも良かったけど)プレー面でもっと評価されるべきだと思っているし、チームの成績をもっと良くしていかないとこういう選手が評価されないんだろうな、と感じている部分でもある。まず、プレーぶりが攻守にとにかく安定していた。守備では身体を張りながら、得意ではない空中戦でも穴になることもなく、地上戦の対応でも不味さを見せなかった。また、攻撃面ではオーバーラップだけでなく、組み立てのプラスワンの存在として、特にポポヴィッチ体制全盛期では貢献度が一際高かった。ファジーなポジションを取りながら、味方が追い込まれて安西にパスを出してもそこからドリブルで相手を引き剥がしてボールを運んでくれ、局面を変えてくれるプレーに助けられたシーンは何度あったか分からない程だ。てことで、特に言うことはないので、あとはケガに気をつけてというのと、クラブはこういう選手をちゃんと評価しなさいよ、と。
関川郁万
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リーグ:37試合(37試合先発)出場1ゴール2アシスト
ルヴァン:2試合(2試合先発)出場
天皇杯:4試合(4試合先発)出場
よくがんばりました。毎年のように刺客を送られていて今季もそうなりそうだったが、まさかのチャルシッチ契約解除で、逆に自分が倒れたらどうにもならない状況に。その中に一定以上のパフォーマンスを年間通して見せて、シーズン完走したのは立派。序盤戦と夏場にちょっとムラがある時期もあったが、組み立てへの貢献度なども考えれば今や総合力は植田をも超えているかもしれない。左右両足から強いパスが出せるのはもちろん、対人でどんな相手にも上手くやれるようになったのは大きい。3年主力としてフル稼働しているのでそろそろ故障とかに気をつけて欲しいけど、健康体でいられれば来季もレギュラーで使われるはず。
須貝英大
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リーグ:13試合(1試合先発)出場
ルヴァン:2試合(2試合先発)出場
天皇杯:3試合(3試合先発)出場
今季は飛躍のシーズンにしたかったが、そういう意味では一番期待を裏切ってしまったと言わざるを得ない選手。攻守にアグレッシブなポポヴィッチスタイルへのフィットが濃野より遅れてしまい、レギュラーポジションを失ってしまったのも痛かったが、何より開幕してからの出場機会でアピールに失敗したのがもっと痛かった。濃野と攻撃面で競争するのではなく、堅実なプレーぶりでアピールすることでプレータイムを伸ばしたかったが、対人で簡単にぶち抜かれるシーンが目立ち、監督としても中々途中から入れづらい選手になってしまった。ちょっとJ1トップの強度についていけていない部分もあるので、そこを改善できないようだと来季も出番は限られるだろうし、そうなると鹿島にいるメリットとは?、となってしまいかねないだろう。
溝口修平
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出場なし
開幕前からチャルシッチのトラブルを受けてセンターバックとかで使われているうちに、気づけば行方不明に。戻ってきた頃にはシーズンも終わりに近づいてきており、競争に加わる以前に健康になって良かったと思うしかないシーズンになってしまった。というわけで、特にあれこれ言えることもないし、来季は同じ左利きのサイドバックとして佐藤海宏が昇格してくるので、正直立場的にはかなり怪しい。レンタルで出場機会を得て、出直してくるでも良さそう。
濃野公人
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リーグ:31試合(31試合先発)出場9ゴール
ルヴァン:1試合(1試合先発)出場
天皇杯:4試合(4試合先発)出場
大学時代に観た時に、「これは一年目からレギュラー獲るかもな」とは思ったけど、まさか一年目から9点取るサイドバックになるとか思うわけないじゃないですかー、すごーい。いや、とにかく攻め上がりのタイミングとポジショニングのセンスが抜群。「そこに誰かいてくれれば…!」って場面で大抵いるもん。しかも、シュート上手いし。正直、守備は空中戦こそまともだけど、対人とか逆サイドからのクロス対応とかはJ1レベルとは言えないお粗末さが結構あるんですが、それでもこれだけチャンスに絡んで結果出してくれるなら許される感はあると思う。一年目からしっかり30試合以上稼働してくれたのも立派。(流石に警戒されると思うので)来季は今季ほどは得点取れない気もするけど、サイドバックとしての総合力を上げることに注力してくれれば、と(そうなると海外行きそうなことからは目を背けましょう)。
津久井佳祐
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リーグ:5試合(1試合先発)出場
センターバックの層が薄い今季はチャンス!、ってシーズンの中で、実際に序盤戦は出場機会も得たし、そこそこのプレーは見せたけど、やっぱり植田と関川は外せないよねー、ってなって徐々にフェードアウト。そのままシーズン終了かと思われたが、中後体制になってケガ人が出たこともあって、常時ベンチ入りするように。終盤はサイドバックのクローザー要員として出番を得るようになった。目の前の相手を止めて、ボールを持ったら縦につける、というシンプルタスクならJ1の中でもちゃんとやれることを証明したのはプラス。あとはそれを90分間やれる体力があるのかとか、認知の負荷が高まっても同じようにやれるのか、みたいな話になってくると思われる。今季終盤くらいの感じでいいなら出番はありそうだけども、もっと試合に出たいなら武者修行に出すのもアリかと。
松本遥翔
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出場なし
ユースから早い段階で昇格を決め、開幕前から2種登録された右サイドバック。身体能力が高く、対人にも強いし、何より身体に無理が効くので相手に追い込まれても、切り返して独力で剥がして持ち運べるのは大きな魅力。ただ、身体能力に結構頼ってる感もあるし、そのせいなのかケガが多く今季もユースで半分も稼働できなかったのはマイナス。今後もそういった状況が続く可能性は否定できないので、どこかでプレースタイルをマイナーチェンジして、長くプロで活躍できる選手になって欲しい。とりあえず、彼のスタイルがどこまでプロで通用するのか楽しみではある。
佐藤海宏
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出場なし
ユースのキャプテンにして、左利きのサイドバック。来季トップ昇格が内定している。超攻撃的なサイドバックで、高い位置まで駆け上がると自由なポジショニングでチャンスに絡んでいく。空中戦も強く、プレス回避用のターゲットになったり、クロスに大外から合わせる要員にもなったりしていた。守備面も粘り強い対応ができていたが、その高さやファジーな位置取りをプロでも武器にできるかどうかが、今後を大きく左右しそう。あとは、先輩に同じ括りで溝口がいるだけに、クラブが溝口と彼をどう扱っていくかは一つのキーになるはず。
大川佑梧
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出場なし
今季2種登録された高校2年生。高くて強い左利きのイケメンセンターバック、という町田浩樹の再来みたいな選手だ。空中戦や対人はすでに高校年代でもトップレベルにあり、チームでも大川のところをぶち抜かれたらどうしようもないよねって思えるくらいの存在感である。伸びしろはボールを持った時。左足のフィードの質は良いのだが、ボールを持ってから選択肢を考えているため、相手に寄せられると結構脆いのは改善したいところ。鹿島はそこまで繋ぎ倒すチームではないけど、そこら辺のスキルは最低限持っておきたい。
植田直通
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リーグ:38試合(38試合先発)出場3ゴール2アシスト
ルヴァン:2試合(2試合先発)出場
天皇杯:4試合(3試合先発)出場1ゴール
2年連続全試合出場、ということでまずはお疲れ様でした。昨季は結構力を抜いて守っている感じがあったが、今季は必死こいて守ってるシーンもあったので、そうじゃなきゃやれないくらいコンディション的にキツかったんだろうな、と。イエローカードの枚数が増えたのも、その辺が影響していると思う。ただ、元々手を抜いてでも普通にやれるくらいなので、対人は相変わらず鬼のように強い。特にラインを下げた時にクロス爆撃を受けても安心して見ていられるのは、なんだかんだ植田が全部はね返してくれるという信頼が故。攻撃面ではボールを持った時の選択肢が多くないのは痛いけど、たぶんこれはおそらくどうにもならないし、どうにかしようとする感じもあまりなさそう。それを補って余りある守備面のメリットがあるので、もうそれはそれで良いと思う。そろそろ衰えが来そうなのが怖いけど、普通に健康でいてくれれば来季も植田&関川コンビがベースで良いと思います。
MF&FW&監督編に続きます
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