鹿島アントラーズのSOCIOについて
このnoteはYouTubeのロニー会議の企画に合わせて書いているので、動画を見てから読んでいただくのをおすすめします。
鹿島アントラーズには年間チケットとして「SOCIO」というカテゴリーが存在する。ファンクラブ機能と年間チケットがセットになったサービスで、鹿島のファンクラブ制度の中では最上位のカテゴリーに位置している。
私はこのSOCIOを2017年より始め、途中購入しなかったシーズンもあるが、のべ6シーズンに渡って購入してきた。その中で、このSOCIOについて思っていることを以下に述べていく。
SOCIOについて
SOCIOは鹿島のホームゲームにおいて、現状唯一ある年間指定席になっている。他にシーズンチケットはあるのだが、来季からはサポーターズシートというゴール裏の自由席のみになっており、指定席はない。つまり、年間で指定席を購入したいなら、SOCIOを購入するしかない、という状況だ。
SOCIOは、値段の高い順にロイヤル・プレミアム・ゴールド・シルバーと中でも4つのカテゴリーに分かれている。このうち、ロイヤルとプレミアムについては現在満席でキャンセル待ちの状況や法人向けのプランの色合いが強いことから、今回は割愛する。今回触れるのは、SOCIOゴールドとSOCIOシルバーについて。この2つは座席がメインスタンドのカテゴリー1なのか、バックスタンドのカテゴリー2なのか、が価格の違いになっており、特典はほぼ同じである。
SOCIOの特典について
ここからは、SOCIOの特典について見ていく。まずは、特典の一覧をご覧いただきたい。
SOCIOに入ることでのメリット
ここからは個人的にSOCIOに入って良かったな、と思う部分を挙げていく。
毎試合チケットを買う手間が省ける
年間指定席なんだから当たり前だろと思うかもしれないが、私がSOCIOに入っている最大の理由がこれだ。
実は、SOCIOの価格設定は、毎試合該当カテゴリーのチケットを買う方がSOCIOで購入するよりも安い、というようになっている。SOCIOはその差額をユニフォームなどの特典分で埋めている状況なのだ。
それでも、ほぼ毎試合ホームゲームを観戦している自分にとって、好みの座席を押さえるために毎試合のようにチケット発売時刻にスタンバイして、チケットサイトと格闘するのは、正直めんどくさい。そのめんどくささをお金で代えられ、毎試合自分の好みの座席が確保されているなら、自分としてはその方が良いという感覚である。隣や周りに来るのがどんな人かわからない、という意味ではガチャだが。
スタグルを並ばず食べられる
これは副次的なメリットである。私は毎試合東京から公共交通機関でカシマスタジアムにむかっている。そうなった時に渋滞や混雑のリスクを避けることを考えると、どうしたって早めに向かう必要がある。そうなると、3時間前の開場時刻の前にスタジアムに着いていることが多いのだが、そこで便利なのがSOCIOの専用ゲートである。
SOCIOの専用ゲートは他のゲートに比べて並び列が短いので、入場するのにそこまで時間がかからない。そこから入って飲食売店に直行すれば、どこも5分も並べば買えるくらいの並び列で済む。もつ煮もハム焼きもハラミメシもすぐ手に入るのだ。味もお値段も並ぼうが並ばなかろうが変わらないなら、並ばず食べられた方が絶対良い、というわけである。
ファンサービスを受けられる可能性が高い
自分は正直、今の鹿島の中で(チームが好きなので)特別推している選手がいるわけでもないし、サインや写真のようなファンサービスも特に求めていないので、この辺はニーズにないのだが、一般的に考えればこのあたりはメリットなんだろうなと思う。
現状、SOCIOに入らなくてもクラブハウスに練習見学に行って、タイミングが合えばファンサービスを受けることができる。だが、非公開練習の回数も増えてきたし、タイミングが合わない場合もある。何より、近隣に住んでいない限り、毎回クラブハウスにまで行くというのが大変な人も少なくないはずだ。
そう考えると、100%確実ではないものの、SOCIOに入れば限定イベントやSOCIOフェスタなどでお目当ての選手からファンサービスを受けられる可能性は高くなる。クラハには中々行けないけど、ユニフォームにサインを入れてもらいたい、一緒に写真が撮りたいという人には、SOCIOに入るというのも一つの選択肢だろう。
SOCIOで改善してほしいところ
次は、SOCIOのサービスで「これはどうにかなんないかなー」と思っていることを挙げていく。
パーソナルチョイス、いる?
パーソナルチョイスとは、SOCIOの特典についてくる20枚分のゴール裏のチケットのことだ。自分の指定席とは別についてきて、使い方は原則として自由だ。1試合に大量投入してもいいし、1試合ごとに使ってもいい。
クラブとしては「これを使って、是非お知り合いを誘ってください!」という名目の特典として扱っているらしいのだが、いやいやこれめっちゃ使いにくいですよ、正直。だって、自分はいつもの席を持っている、その周りの座席が確保できる状況では基本ないので、これを使うなら知り合いだけ別の席に座ってもらうか、自分の席をリセールなどで手放してわざわざ一番安い席に座るしかないのだから。自分が誘った知り合いを別の席に案内するのは人付き合いとして基本的にあまりやりたくないし、ゴール裏の自由席に一緒に案内するのはサッカー初心者を誘うなら特に気が引ける部分がある。立って応援すること求められるし、席を確保しないといけない。これら考えたら、知り合い誘うので一番合理的なのは、パーソナルチョイスを使わずに普通に指定席のチケットを買う、ということになってしまうわけである。
スタジアムクーポン、電子化できませんか?
SOCIOには毎年スタジアム内のグッズショップや飲食売店などで使える、クーポンが配られる。元々はバウチャーと呼ばれていたもので、今季までは9,000円分で来季からは10,000円分にバージョンアップされる。ちなみに、入会時に選択することで、駐車券をもう10,000円分のクーポンに引き換えることも可能だ。
このクーポンは紙でシーズン前に送られてくる。1,000円分と500円分に分かれており、その時々で使う金額分だけ金券として使うことになる。使った時にお釣りは出ないので、上手く使う必要がある。
思うのだが、これだけキャッシュレス化が社会的にもスタジアム内でも進んでいるのだから、このクーポン自体も会員証と紐づける形で電子化してもらえないだろうか。そうすれば、毎回紙を持ってくる必要性がなくなるし、10円単位100円単位で使うことだってできるはずであり、より使い勝手が良くなると思うのだ。
もっと言えば、ファンクラブのポイントシステムも引き換えるアイテムが年々クオリティが落ちているので、クーポンと一体化してスタジアム内でお金代わりに使えるシステムにすれば良いのに、と思う。1ポイント=1円で、貯めたその場で使えた方がよっぽど貯める甲斐があるでしょうと。
ラウンジがもうちょっと…
SOCIOには試合時に会員限定で使えるラウンジが、スタジアム横のスポーツセンター内にある。ラウンジでは限定のグッズ売店があったり、またソフトドリンクの無料サービス(アルコールは有料)があったりする。
ただ、このラウンジあまり広くないのでオープンしてすぐにいっぱいになってしまうことも少なくない。暑さ寒さが厳しい時期は特にだ。また、Wi-Fiは使うことができるが充電はできない箇所がほとんどだし、無料のドリンクはサントリーの缶やペットボトルをそのまま渡されるだけである。クレジットカードを持っていると使える空港の有料ラウンジを想像していくと、そこにはサービスにおいてのギャップがあるのは否めない。
また、限定のグッズ売店も課題がある。一般のグッズ売店とは結構品揃えが異なっていて、そこでしか買えないグッズも現品限りだが結構あったりする。ただ、このグッズ売店では先述したスタジアムクーポンしか支払い手段として使えないのだ。しかも、足りなくなった場合にはクーポンを追加購入するのだが、今季までは9,000円分のクーポンを9,000円で買う一択であり、購入金額も選べないし、還元率も得しないのだ。9,000円追加購入すると余り分の使い道のやりくりに苦労することになるので、基本的には元々の枠内でやりくりすることを考えることになる。
また、価格設定もえ?と思う場面があった。今夏のこと、デザインの良いパーカーが置いてあったので、自分はこれからの秋冬シーズンに良いと思って購入した。だが、その次の9月のホームゲームに同じものを購入していた知人に聞いたら、自分が買った時の半額で売られていたというのだ。え?現品限りとかあるとはいえ、寒くなるのこれからの時期にパーカーを値下げして売るの??値下げしなくても売れるでしょ???、と思ったわけである。
駐車場の場所…
私は運転しない人間だし、駐車券を毎年選んでいないのでアレなのだが、SOCIOゴールドやシルバーの駐車場の場所も考えものだと思うのである。現在の駐車場はスタジアムから鹿島サッカースタジアム駅を挟んで反対側にある。これは元々はスポーツセンターの横に設定されていたのだが、東京五輪開催に伴って場所が変更になり、今も引き続きといった感じである。
この駐車場、基本的には砂利であり、アスファルトに比べて車が汚れたり傷がつく可能性は高い。また、駐車場からスタジアムまでは徒歩5分はかかっており、途中には歩道橋があるので階段の登り降りがある。階段には手すりこそついているものの、エスカレーターやエレベーターなどの設備はない。
これを考えると、バリアフリーやサービスの面などを考えてもいかがなものかと思うわけである。もちろん車椅子などを使う人たちには別に専用の駐車場に案内してくれるのだが、そうでない人たちには階段を登り降りしなくてはいけないし、車も砂利の空き地に止めるわけだし、また帰りは駐車場から脱出するにも渋滞で時間がかかる。「SOCIOを最高の環境」と謳うのなら、この環境は果たしてその謳い文句にふさわしいといえるのか?という疑問は捨てきれない。
オリジナルネーム加工の「限定」とは?
SOCIOに早期入会した人向けの限定サービスとして、ユニフォームのオリジナルナンバーとネームの加工サービスというのがある(今季はこの特典はすでに申し込み期間終了)。通常、ユニフォームのナンバーとネームは12番か現所属選手の中から選ぶことになるのだが、このサービスではそれ以外に好きな番号やネームを選んで入れることができるというものである。つまり、言ってしまえば、12番と現所属選手以外の番号やネームの入ったユニはSOCIOに早期入会しないとゲットできないはずなのだ。
だが、今季クラブは「10番 ZICO」のネームが入ったユニを普通にショップで売っていた。ジーコがクラブにとって特別な存在であることはもちろん承知しているが、え?10番いるのに売るの??しかも、それって扱い的にはオリジナルネームだよね???って疑問はある。もし、「ZICO」のネームを入れたいがためにSOCIOに入って限定特典を活用した人がいたとすれば、普通に売ってくれるんだったらわざわざ特典活用しなくてもいいじゃん、ということになってしまうわけである。
まとめ
ここまでSOCIOについて思うことを色々書いてきた。総合的に思うのは、SOCIOがどういう位置付けなのかがあいまい、だということである。
最高の環境やサービスというのを打ち出すのなら、ハッキリ言って今の内容はショボいし、これでよく「最高」とか言えたなという部分が多すぎる。サービス提供に値段的な問題があるのなら、もっと値上げしてでもサービスの質を上げるべきだと思うし、そうでなくて値段相応のサービスに落ち着かせたいのなら、サービスの内容を見直して、多少削った分を価格に反映させるべきだと思うのである。
もちろん、これらの問題は現在進んでいる新スタジアム建設に向けての動きと並行している箇所も多いため、一概に全てがすぐに解決するわけではない、というのは認識しておくべきだろう。だが、現状としてSOCIOの扱いが中途半端になっていることは、サービスを受け取る側としてはあまりいい思いはしていない、ということは主張しておきたい。
鹿島には現状自由席のシーズンチケットとSOCIOしか年間シートの選択肢はない。26,500円+ユニフォーム代の18,000円=44,500円の次は、一気に135,000円まで選択肢の価格が跳ね上がってしまい、その中間の選択肢がないのである。5万円弱なら出せるかもしれないけど、指定席で年間観たいという人がじゃあ一気に13万円もポンと出せるかという問題であり、そこでハードルの高さはかなり変わってしまう。SOCIOのサービスをかなり削ってでも、中間となる価格帯の年間シート座席を用意した方が、クラブの収益にも繋がるのではないかとは思わざるを得ない。