日本農法を北米で実験する 6
あるショート動画が、目に留まり見ていたのですが、トマトの廃棄が年間1000トンを捨ててるという、衝撃的な話しが飛び込んできました。規格が合わないという理由で、廃棄してしまうことがいいことなのか考えてしまいます。日本は、少しでもサイズが小さものや形が悪かったりすると、物流に乗らないという厳しいハードルがあり、味が同じでも見た目だけで廃棄してしまう状態に、そろそろ考えてもいいと思っています。
世の中は、エコを謳っているにも関わらず、食べれるものを捨ててしまう悪循環が、後世のためにもいいことなのか?
それに、社会全体の効率を考えても悪循環で経済的に無駄な労力を使っていることにもなります。廃棄をすれば、プラスして廃棄にお金がかかり、廃棄量を加えた価格設定にしなくてはいけなくなります。必然的に、モノは高くなり、買えない人が出てくれば全体の売り上げも落ちることになります。加えて、農家の人たちの勤労精神にも、大きな打撃を与えることになります。日本は、モノを大切にする文化からはじまっています。特に食べ物は、生命を頂くという特殊な慣習を持っています。食べ始めるときには、「いただきます」と言って、食べ終わると「ごちそうさま」という感謝を表すことを日本人は小さな時からしつけとして備わっています。世界でも稀な、作法を持っています。昔は、「米粒を残すと目がつぶれる。」といって茶碗に米粒を残すと怒られました。「食べ物を粗末にすると罰があたる。」といって、先人から英知と畏怖と感謝のセットの中で、生きる術(すべ)を伝授されてきました。
それが、いつしか至上資本主義が到来して、効率とマネーの追求した社会に、日本人の心はどこか虚無になり倫理道徳が壊れてしまったのかもしれません。その状況に、違和感と現状を変えたいという想いが、湧き上がったのでしょうか。「中村優貴:農園とフォーク青果店」という一人の若者が、このトマトの廃棄を失くす行動に出ました。
https://www.facebook.com/p/%E4%B8%AD%E6%9D%91%E5%84%AA%E8%B2%B4-100003657751268/?locale=ja_JP
日本は、食べ物を大切にしてきた国です。そして、廃棄にしないで保存食や発酵をさせて、捨てるという行為を避けてきました。どこかで、モノを安易に捨ててしまう行為に、日本人の魂が戻ろうとしているのかもしれません。
戦後、日本はGHQによって農業改革をさせられて、農協という巨大な農業経済圏を作って、市場の独占状態できました。その独占市場が、日本文化とはかけ離れた世界を作り、どんどんモノ作りの精神とはかけ離れてしまいました。その歪みが、いろいろなところで出てきているように思います。
北米で、「日本農法を実験する」このプロジェクトは、単純に農協批判や日本の農業体制を批判をするのではなく、北米で日本人の勤労精神と食文化を浸透させる壮大なプロジェクトです。単純に、農業をプロダクト(生産行程)の一貫として見るのではなく、食文化の浸透を異文化の中で実践するというプログラムです。
日本には、「もったいない」という言葉がありますが、北米にはそれに適合する言葉はありません。食べ物を大切にするとか、モノを大切にする価値が浸透をすれば、世界は大きく変わると思っています。世界には、食べ物を大切にする英知は幾つもあります。
今回紹介するのは、「Sun Dry Tomato」です。イタリアの食材ですが、日本で言えば干し椎茸です。彼らは、トマトを1年中食べれるようにするために、保存食としてイタリアの食文化になっています。日本では、それほど知られていませんが、「サラダ」や「ピザ」に入っているのを目にした人が多いと思います。グルタミン酸の凝縮されているので、イタリアン料理の調味料としても使います。
<作り方>
すごく簡単で、トマトを切って塩で天日干しをします。乾燥したら、終わりというとてもシンプルなものです。
私が以前こっちのレストランで作っていたのは、天日干しではなくオーブンを使って作っていました。半分にトマトをスライスをして、塩・タイム・ローズマリー・胡椒・オリーブオイルを入れて、30~40分オーブンに入れて乾燥をさせて出来上がり。トマト農家さんたちで、廃棄をするのであれば有効活用をすることを勧めます。
前回は、トマトピックルスを特集しましたが、あのピックルスも廃棄をするのではなく再利用だと思っています。従来は、熟成にはならず廃棄をしていたものです。それを、少し手間を入れるだけで1つの商品になります。あのピックルスは、チーズとの相性もいいので一緒に出したら、つまみの1つになります。特に、Bocconcini cheeseと一緒にだせば、食卓にイタリアンの雰囲気が漂います。
後は、トマト・ソースを作って1つの商品いすることです。簡単で瓶詰めで販売も出来ると思います。トマトの皮を取り除いて、玉ねぎを微塵切りにしてガーリックと塩と胡椒で煮込みます。美味しいトマト・ソースが出来上がります。
「日本農法を実験する」の最大のテーマ
昭和に作られた第一産業・第二次産業・第三次産業の垣根を越えた、ハイブリットのビジネスを北米で実践をして、もの作りが利益が出る証明をしたいと思っています。
第一産業の農業で安定収穫と労働と収穫量のバランスで、どれだけの利益がでるのか?
第二次産業である食品加工で虫食いや傷のついたものを再利用をする仕組みを作れるか?
第三次産業である販売を、他民族に日本人のプロダクトを販売していくのか?
この仕組みが出来ると、日本の農業が世界に行って出来ることになります。日本人が覚醒しなくてはいけないのは、モノ作りにプライドを持っている精神性です。韓国人や中国人が、日本のビジネスコンテンツを北米に持ってきて、いろいろとしますがほとんど上手く続きません。その理由は、効率とマネーだけを追求して、モノ作りの精神性を探求しないところにあります。日本人の面白いところは、1つのことに拘ると職人気質が覚醒して、お客さんを喜ばせるためなら、利益を度外視する価値観を持っていることです。
この価値観は、なかなか他民族が見習って出来るものではありません。日本という特殊な民度から生まれた、価値観なのかもしれません。マネーという価値判断に捉われないで、自分の信念とモノ作りに向き合う姿勢こそが、これからの世界を変えるキーワードなのかもしれません。次の世代は、早くこの意味に気づいて自分たちの人生プランをすべきだと思います。