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日本農法を北米で実験する 2

 ロシアン・ガーリック編 2

 日本は、にんにくを植える時期は9下旬から10月に植えているようですが、三徳実験農園では11月ごろに植えています。すべての収穫を終えて、整地をする時期が、11月になってしまうのでそれをルーティンにしています。いま実験をしているのは、去年と同じ場所に植えて同じものが育つものか調べています。3年連続同じ場所に植えてきましたが、今年無事に育ちました。少しサイズは、小さくなりましたが連作が関係しているかは不明なところです。今年に関しては、5~6月が寒くVancouver周辺の農家全般は、作物が遅く育ち不作の年になりました。それによって、サイズが小さくなった可能性もあると見ています。
 
 去年の11月中旬に、にんにくの整地をして畝を作っているところです。Vancouverの11月は、雨の日が多く朝から晴れる日が数日しかありません。この日は、曇り空で雨には当たりませんでしたが、寒い中での作業になりました。研修生が数名と1日体験で来てくれた人が数名と、それから作業がはじまりました。


 雑草と前の植えていた作物を取り除いている所です。それから、畝たてをします。すべて手作業で、その人の力のみでやっています。文明社会において、アナログであります。
 

 取り除いたケールでが立派なものです。このケールも11月以降は、Vancouverの天候には勝てず腐ってしまうので、取り除きました。三徳ファーム研修生第一号に、玉田優之介が入会してくれてワーホリのビザが切れるまで、共に作業と研究をすることになりました。

 畝たてが出来たところに、枯葉をかぶせていきます。Vancouverの冬は、ほとんど雨か曇りですが2~3度雪が降り氷点下に落ちるときがあります。その時に、霜の予防を兼ねて枯葉をかぶせます。加えて、この枯葉が腐葉土に変わっていきます。この枯葉も、ガーデナーの友人が大量に持ってきてくれるので、堆肥のコストはかからない仕組みにしました。以前は、小型の耕運機を使って土慣らしをしていたのですが、それも止めていまは人力だけでするかたちに変えました。

 畝を立てたところに、すべて枯葉をかけます。通路にも枯葉をかけていきます。この通路にも枯葉を敷くことによって、雑草が生えずらくなり雑草取りの労力が下がります。ほとんど、雑草取りをしなくてもよくなりました。

 Vancouverの冬は、ビニールハウス以外は何も育たないので、ガーリックを育てることで土地を常に稼働するシステムにしています。11月から3月ぐらいまでは、この作業が終わってしまうとほとんど作業はなくなります。

  今回、実験的にシートをかぶせた場合とそうでないとどのように違うかを実験しました。

 シートをかぶせた方とそうでないところは、成長が早く芽が出てきました。

 1月の中旬から、シートをかぶせていない場所にも芽が出てきました。まだ、芽が出てないところもありますが、1月の中旬から芽が出てくることを確認できます。

 1月21日に大雪が降り、すべて雪景色に街がなりまりました。2~3日は続き、氷点下になりました。Vancouverは、冬のシーズンになると2~3回はこのような状況になります。日本にいるとVancouverは、この状況が毎日続いていると思う人が多いと思いますが、実際は雨と曇りの日がほとんどです。

 その日は、記録的な寒さになったので畑に来てみました。ファーム全体は、こんな状況でした。すべて真っ白の雪景色。

 ガーリックの場所も雪が覆っていて、この寒さで霜けてしまい全滅したのか心配でした。とにかく寒かったので掘り返してみました。このときの農家の人たちは、何とも言えない心境だと思います。
 「全滅か育っているか?」
 例えは良いか悪いか別にして、博打に似た心境ではあります。ゼロか壱の違いは大きく、いままでの努力や収穫がゼロになってしまいます。収穫間際の作物が、台風で全滅というニュースを見るといたたまれない気持ちになります。農業は、自然相手の勝負なので人間の人知だけが頼りという未知の世界であります。土いじりをしていると、誰もがその気持ちになります。期待半分、諦め半分で10cmぐらい掘り返したら。

 さすが、ロシア原産だけあって雪に負けず、しっかりと根付いていました。葉も寒さで枯れることなく、青々とした芽が出ていました。生命の強さを感じます。このときは、ネギも霜けてしまい全滅してしまいました。Vancouverは、年に数回ある寒波が作物を全滅させることがあります。冬もの野菜がVancouverでは育たないのは、寒波と日照時間と雨の関係が深く関与しています。いつか、それをテーマにして書こうと思います。

 さすが、ロシアで育つ作物だけあってVancouverの冬は「おちゃのこさいさい」なのでしょうか。力強さを感じます。ガーリックを食べると、人間の体にすごいエネルギーをもたらすのは、この経過しているからなのでしょう。自然の恵みは面白いものです。
 次回は、後半戦を伝えます。


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