【マンガ感想】ゆうべはお楽しみでしたね 11巻
やあみんな、武えのきだ。
『ゆうべはお楽しみでしたね』11巻を読んだので、その話をしようと思う。
ご存じない方がいらっしゃるかもしれないので、11巻の内容について触れる前に、軽く『ゆうべはお楽しみでしたね』というマンガについて説明しておこうと思う。
『ゆうべはお楽しみでしたね』というマンガは『ドラゴンクエスト10』(ローマ数字は環境依存のためアラビア数字でご容赦)のプレイヤー同士の、現実世界とゲーム世界での交流を描くマンガだ。主人公はやや内向的なオタク男子であるパウさんと、社交的でバリバリのギャルであるゴローさんの二人で、『ドラゴンクエスト10』のゲーム内で出会ったこの二人が行き違いで現実世界でルームシェアを始めることから物語は始まる。『ドラゴンクエスト10』を知らなくても楽しめる内容になっているし、登場人物の言動や行動にリアリティがありつつも読んでいて心地いい内容になっているので、そういうマンガが好きな方にはオススメのシリーズだね。
11巻では既にパウさん・ゴローさんの物語がある程度一段落していることもあり、『ソレを捨てるなんてとんでもナイ!!』という作中作がかなりフィーチャーされている。『ソレを捨てるなんてとんでもナイ!!』は『ゆうべはお楽しみでしたね』の世界の中で連載が開始された『ドラゴンクエスト10』を題材としたマンガという設定で、主人公であるパウさんが愛読していたりする。つまり、マンガの中の登場人物と読者が同じマンガを読むというメタフィクション的な構造になっているんだ。パウさんがマンガの感想をこぼすくだりなんかは、パウさんそれはちょっと邪推しすぎなんじゃないの? とか同じ目線でツッコミながら読めてなかなか面白い。
あと、11巻で好きだったのは、ゴローさんが『ドラゴンクエスト4』のリメイク版で追加された第六章の展開について言及しているくだりだね。僕自身もあの展開には納得がいかなくて最後までプレイしていないので、同士を見つけたような気持になったよ。同じように納得のいかない思いをしている人も結構いるんじゃないかとは思うんだけど、『ドラゴンクエスト4』の直撃世代は僕よりだいぶ上だからあんまり話題に上らないんだよね。だからそのくだりを読んだときは「わかる!」と心の中で叫んだよ。
一応自己弁護しておくと、僕は別に懐古主義じゃない。なんならリメイク版『ドラゴンクエスト5』ではデボラ一筋で、デボラの登場によりビアンカフローラ論争は完全に過去になったと信じてやまないくらいだ。このように、リメイク版での追加要素があまねく嫌いというわけじゃないということだけは主張しておきたい。
それと、ゴローさんが第六章の展開の理不尽さについて語るくだりのイメージイラストに出て来る勇者が女勇者だったのも良かった。僕は『ドラゴンクエスト4』の勇者は男女共に良いデザインだと思っているんだけど、男勇者のデザインがわかりやすくイケメンなせいか、あるいは女勇者の髪型がちょっとファンキーすぎるせいか、とにかく女勇者は関連作品でちょっと冷遇気味な感じがするんだよね。だからそのコマを見た時は、おっ、そこで女勇者を描くとはなかなか通ですな! みたいは変なテンションになったよね。喋ってるゴローさんが女性だから女勇者のイラストにしただけって気もするけどさ。
11巻を読んで、やっぱり『ゆうべはお楽しみでしたね』は良いなあと思った。マンガを読んでるんだけど、ゲーム好きな友人と駄弁ってるような感覚もあるんだよね。今後も新刊が出ると買うんだろうなあ、と思ったよ。
それじゃあ、また。