推測読みのメリット~英文は絶対に推測するな vol.2~
©2021 TAKEDA Miwa
前回の記事で、意味を推測しながら読むことにも、一定のメリットがあるということをお話ししました。
そのメリットとは、
「限られた時間の中で読み切るため」
「辞書を引かなくても読めるようになるため」
「わからないところがあっても読み進められるようになるため」
といったことだと思います。
ここからが問題です。上に挙げたようなメリットは、いったい何にとってのメリットだと思いますか?
「限られた時間の中で読む」というのはどんな時?
「辞書を引かなくても読める」ということは、辞書を引いてはいけないときということ。それは、いつ?
「わからないところがあってもとにかく読み進む」ことが必要なのは、どんな時?
もうおわかりですね。これみんな、受験のときに必要なテクニックだったわけです。TOEICなどの資格試験のときも、同じですね。
日本の英語の試験の多くは辞書持ち込み不可です(辞書持ち込み可の語学テストも、実はいっぱいあるんですよ~)。限られた時間の中で、とにかく読んで、答えなければならない。辞書なしで時間内に読み切らなければならない。それならば、推測して読むということが必要になってくるでしょう。
推測して読むというのは、こうして必要に迫られてやることなのでしょうね。
しかし。よく考えてください。
あなたは、なんのために英文を読んでいるんですか?
受験や資格試験のため → これはある程度は推測読みをする必要があります
記事やブログなどから情報を得るため → これも場合によっては推測しつつ読み進めることもあるでしょう
英語の上達のため → ここです! 目的がこれの場合、絶対に推測してはいけません。
推測した結果得られるものは、なんですか? 「たぶんこういう意味だろう」という、「なんとなくの意味を把握しただけの状態」ですね。勉強しても勉強しても、本当に一生懸命勉強しているのにできるようにならない人の特徴は、この「なんとなく」を積み重ねていることです。
「なんとなく」は、どんなにたくさん積み重ねても、永遠に「なんとなく」であることに変わりがありません。「なんとなく」をどんなにたくさん積み重ねても、「わかる」「できる」に到達することはないのです。推測読みを続けることは、この「なんとなくわかる」を積み重ねることでしかないのです。
もしあなたが「英語を習得するため」という目的をもって勉強するならば、絶対に推測してはいけません。わからないことがあったら調べましょう。構文はどうなっている? この単語の意味は? すべて調べ上げて、わからなければ先生に聞いて、きちんと「わかる」に変えます。その「わかる」を定着するまで繰り返し繰り返し続けていくと、それがはじめて「できる」に変わるのです。
受験や資格試験のために、推測読み “も” できるようにならなければならないという人もいますよね。その場合は、1回目だけはスピードをもって推測して読むことを心がけるのがおススメ。そして、きちんと復習して、「ちゃんとわかる」に変えること。
実は、推測読みだけして勉強を終わらせている人は、とても多いのではないでしょうか。ちょっと考えればわかることだと思いますが、推測読みだけで終わらせては、けっきょく推測読みも上達しないんですよ😆 正解を確認しなければ、推測できていたかもわからないわけですからね。
英語が使えるようになりたいのなら、決して推測読みで終わらせてはいけません。そのときは時間ばかりかかって、勉強がはかどった感じがしないかもしれません。また、たくさんの英文に触れることが大切というのも事実です。しかしそれは、やってみるとわかると思いますが、ある程度英語が理解できるようになってからする方が、効率的なんですよ😉
多読ばかりして万年ブロークン、というパターンに陥ってはいませんか? 多読とは別に、決して推測せずにきちんと読むことも、ぜひ大切にしていきましょう。
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次回は、そうはいっても、実は英文を読むに当たって「推測すること」は、めちゃくちゃ重要なのです。でも、それは学校でよく言われた「意味を推測しながら読みなさい」というのとは、全然違うことなんです。
次の回ではこのことについて、お話ししたいと思います。