エンジニアリングマネージャーのすすめ5〜PMとEMの違い〜
はじめに
自分の肌間隔として「マネージャーになりたい」というエンジニアが少ないと思っています。
その理由の一つとして、エンジニアリングマネージャーとは何者なのか不明で、解像度が低いからではないか。であれば、もっと知ってもらおう!ということで、エンジニアリングマネージャーのすすめとして、連載(全7回を予定)していこうと思います。
今回は第5弾「PMとEMの違い」です。
PM(プロジェクトマネージャー)とEM(エンジニアリングマネージャー)の違い
エンジニアリングマネージャーになる人は、ある程度プロジェクトマネジメントの経験があると思います。そのプロジェクトをマネジメントする感覚で、エンジニアリングマネジメントをしていくと、壁にぶち当たることがあります。それは、同じマネジメントでも、プロジェクトマネジメントとエンジニアリングマネジメントは異なるからです。
個人的にはエンジニアリングマネジメント(人に対するマネジメント)とプロダクトマネジメントは似ていると思っています。
そこで、プロジェクトマネジメントとプロダクトマネジメントの違いを明確にしたいと思います。
嬴政と家康
以前、こんなツイートをしました。
あまり反響はなかったですが、、、社内ではいまだに↑の話をしています。
少し解説します。
キングダムでもお馴染みの秦の始皇帝となる嬴政は中華を統一するという偉業を達成しました。ただ、統一後はどうだったのでしょうか。
統一後は法治国家を作るという思いはあれど、結局自分の死後に秦は分裂してしまいました。実際はわかりませんが、表面的に見ると嬴政は中華を統一するという大プロジェクトを成功に導いたプロジェクトマネージャーだったのだと思います。
徳川家康はどうでしょう。
天下統一を果たした後も、計画的に駿府に隠居し徳川家を中心とした幕府運営が将軍1人に左右されない状況を作りました。こちらも本当に家康が意識していたかどうかはわかりませんが、結果的に265年も江戸幕府の運営を続けることができました。そう考えると家康はとても優秀なプロダクトマネージャーだったのだと思います。
そうです。
プロジェクトマネージメントとプロダクトマネージメントの違い。
それは「終わりがあるかないか」の違いです。
プロジェクトマネージメントには必ず終わりがあります。プロダクトマネージメントは終わらせてはいけません。ずっと継続するためにマネージメントする必要があります。
まさに嬴政と家康の違いです。
エンジニアリングマネージメントもプロダクトマネージメントと同じです。人や組織は成長し続ける必要があります。
プロジェクトとして終わらせるのは得意だけど、終わらせてはいけないと急に言われてもすぐに対応できない。それが壁になり、エンジニアリングマネージャーの憂鬱につながります。
終わりをなくすために必要なこと
終わりがないとゴールを決めないは違います。
エンジニアリングマネージャーの仕事はゴールを積み重ねていくイメージです。具体的には、プロジェクトを一過性で終わらせるのではなく、プロジェクトとプロジェクトをつなぎ合わせる=ストーリーを作るのが、エンジニアリングマネージャーの仕事です。
何か課題を見つけて対処するだけでなく、全体を見通してからありたい姿にするためにやることを細分化する。細分化したやることをプロジェクト化して進捗を管理していく。複数のプロジェクトや前後のプロジェクトに意味を持たせて繋ぎ合わせる。
その全体を見通した姿が、中長期の組織戦略でありプロダクトロードマップです。
では、中長期の組織戦略を作るためには何が必要か。
まずは一人一人と向き合いエンジニアという成長曲線を描く脚本家としてみんなを支えましょう。その一人一人のキャリアマップと組織成長を重ね合わせることができれば組織戦略にすることができます。
ま、それが簡単にはできないのですが、そこがEMの楽しさです!
まとめ
各マネージャーをまとめると以下のようになります。
プロダクトマネージャー: こと(プロダクト)の成長に向き合う
エンジニアリングマネージャー: 人(組織)の成長に向き合う
プロジェクトマネージャー: 短期的なゴール(成果)にコミットする
それぞれ難易度は異なりますが、まずは何をマネージメントをしているのかを意識するだけでも自分の特性や可能性が見えてくると思います。
この記事がPMからEMに挑戦してみようと思うきっかけになれば嬉しいです。
次回予告
エンジニアリングマネージャーのすすめ6
〜EMの存在意義〜