実家を見ていただいた後の思わぬ展開①(3400文字)
不動産会社のHさんから、先日連絡がありました。
実家の隣の花屋さんを購入されたNさんに、
実家も買い取ってもらえないか打診されていたのですが・・・
「一度実家を見たい」とNさんから言われたので、
今日の10時半ではどうか、ということでした。
もちろんO.K.です。
Nさんには初めて会うのでちょっとドキドキしながら、
10時過ぎに家を出るとホットのお茶を4本買い、
実家までてくてく歩いて行きました。
(引っ越したので、歩いて10分弱です)
実家に着くと、すでにHさんは来られていました。
おしゃべりしながら待っていると、Nさん到着。
お一人かと思ったら、奥様もご一緒です。
お茶を4本買っておいて良かったと思いつつ、挨拶を交わしました。
母屋、庭、裏の家を見ていただいた後、Nさんが
「ここで話しましょう」
と言われたので、裏の家の畳の部屋で話をすることになりました。
ここでお茶をみなさんに配ったのですが、
なにせ家の中は空っぽなので、暖房も何もありません(-_- )
Nさんによると・・・
・花屋さんとNさんの土地には息子さんが家を建てる
・家の図面はもうできている
・「勝手なことをして!」と息子に怒られるので、
まだ実家を買うかどうかの話はしていない。
・実家を更地にして分譲マンションを建てるという手もあるが、
自分も75歳なのでそのようなことはできない
・・・というようなことでした。
「さあ、どうするかねえ・・・」
と、かなり迷われています。
まあ、それはそうですよね・・・(-_- )
アーケードがある関係で、何かと制限されるのです。
それもあって、周りは空き店舗や空き地だらけ・・・(-_- )
私たちとしては、(ほかの人に)売れる見込みは少ないので、できれば
引き取っていただきたいところですが、お金が絡むので無理も言えません。
そんなこんなでしばらく畳の上で話をしていましたが、
お昼にもなったので、Nさんが
「考えてみます」
ということで今日は終わりとなりました。
Hさんも、
「またNさんと連絡をとってみます」
と言って、福岡に帰って行かれました。
さて・・・
10時過ぎに家を出た後ずっと寒いところにいたので、
冷え性の私の足はかなり冷えていました。
(今日は寒い一日でした)
急いで帰って温まりたいと思いながらアーケードの中を歩いていると、
N薬局の娘さん(以下Kさん)が片付けをされていらっしゃいます。
このN薬局の方(Kさんのお父様)は母の同級生で、
父と同じ頃亡くなりました。
Kさんは元々こちらにはいらっしゃらなかったようですが、
お父様の具合が悪くなった頃?帰ってこられたようです。
父がお世話になった包括支援センターを紹介してくださったのは、
このKさんでした(それまで面識はありませんでした)。
手術後の父の世話をどうしていこう、と困っていた私たちは、
どれほど助かったか分かりません。
そのようなKさんですので、
「こんにちは」
と声をかけると・・・
「あら!」
と嬉しそうに言われ、そこからいろんなおしゃべりが始まりました。
Kさんによると、N薬局も古いので解体をされるとのこと。
そこから実家じまいの話になったのですが・・・
「竹田さんのところも古いふすまとかあるでしょう?
(一番上を)破ると、下に古い新聞とか古文書とかあって、
それが××市の歴史の解明の役に立つみたいですよ。
うちも、歴史博物館の方が飛んできて調べてくれましたよ」
と教えてくださいました。
Kさんはそういう歴史的なものに興味があるそうです。
とても熱心に話されるので、
「あの、良かったら、実家、ご覧になります?
もう何も残ってないですけど」
と言ったところ・・・
「え!?いいんですか!!」
とKさん。
そこでKさんと実家に戻ると、まず古い2階を見ていただきました。
「このふすま、破っていいですか?」
「どうせ後は壊すだけですから、どうぞ(^_^)」
Kさんがビリビリと破ると・・・
「わっ、ほんとだ!!」
そこには昔の帳簿がはりつけられており、さらにその下には江戸時代と
思われる古文書もありました。
Kさんはとても詳しいようで、部屋の中を見回すと、
「床の間が畳でしょ?これは格式が高いんですよ」
と教えてくださいました。
確かに、普通よく見るのは板張りですよね。
さらに、袋戸棚の戸をはずすと、それもビリビリ。
「ほら」
と言われるので見ると、そこにも古文書が・・・。
もう、Kさんはテンションマックスです(^_^;)
2階を見終わった後、木製の家具を集めてある倉庫や蔵も
見ていただきました。
「この引き出し、いいわあ!」
「良かったらどうぞ使ってください。後は壊すだけなので」
「うーん、欲しいんですけど、解体が終わるまで水道を止めているから
洗えないんですよね(埃だらけなので)・・・。
でもそれでは(実家の解体に)間に合わないですよね・・・」
「水道は止めていないので、うちで洗ってもらっても良いですよ」
「いいですか!ただ、建て直したらお店が小さくなるから、
あまり置けないんですよね・・・。考えてみます・・・」
Kさんとは、連絡先を交換して別れました。
Kさんから歴史博物館に連絡をとるよう勧められたので、
その足で歩いて行くことにしました。
歩いても10分ほどの距離です。
ですが、足はカチンコチンだし、コーヒーしか飲んでいなくてお腹も
ペコペコだったので、近くのカフェでランチをいただくことにしました。
時計を見ると13時半。
けっこう時間がたっています。
カフェで体が温まり、お腹もいっぱいになったところで、歴史博物館へ。
あいにく学芸員さんがいらっしゃらなかったので、
事情を話し、連絡先を書いて帰宅しました。
帰宅後コーヒーでも飲もうと思っていたところ、
歴史博物館から電話がかかりました。
学芸員さんからで、一度どんなものか見たいとのこと。
そこで15時に実家に来ていただくことにして、
座るまもなく、今度は車で実家へ向かいました。
15時に来られた歴史博物館のMさんは、まだお若い方でした。
早速古い2階に上がってふすまを見ていただいたところ・・・
「ああ、××藩の文書みたいですね」
「え!?そうなんですか?」
「ここに××藩って書いてあります。これは面白そうですね!!」
・・・ということは、少しは××市の歴史の役に立つのでしょうか(^_^;)
それから、少し高くなっている部屋を見て
「ここの方が新しいんですね」
とおっしゃいました。
「そうかもしれません。アーケードができるとき、それに合わせて部屋を
高くしたと叔母から聞きました。ちょっと破いてみましょうか?」
私はそう言って、ふすまに切れ目が入っているところからビリビリっと
破いてみると、今度は絵が現れました。
「これは江戸時代のものですね!!こちらの方が古いかもしれない!」
とMさん。
なるほど・・・。
こうやって古いものが発見されていくのですね。
ふすまの下からいろんなものが現れて、もう、私もびっくりです(^_^;)
それから庭や倉庫等も見ていただきましたが、
そちらはたいしたものはないようでした。
Mさんはふすま等の数をメモされていましたが、
「今はちょっと忙しいのですが、運び出す日が決まりましたら
またご連絡します」
と言って帰って行かれました。
それから私は施設へ行き、母の洗濯物をもらって帰宅。
ようやく椅子に座ってコーヒーでも飲もうと思っていたところ、
先ほどのKさんから電話です。
歴史博物館のMさんに来ていただいたことを話し、
感謝を伝えました。
「良かったです!
あの・・・、××市には二つ歴史研究会があって、
私はその一つに参加しているんですけど、
その会のIさんもぜひ見たい!って言ってるんです。
いつか見に行かせてもらってもいいですか?」
「もちろんかまいませんよ(^_^)」
「あの・・・、ほかにも行きたい!という人がいて、
何人かでぞろぞろになるかもしれませんけど、いいですか?」
「もちろんかまいませんよ(^_^)」
「ありがとうございます!また連絡しますね!」
・・・ということで、
何やら思わぬ展開になってきました(^_^;)
こんなことなら、2階を片付ける前に、歴史博物館の方に
見ていただけば良かったです。
きっと、骨董的価値はなくても、歴史博物館的に価値のあるものが
あったでしょうに・・・。
ですがまあ、Kさんといろいろ話をすることができたし、
いくらかでも××市のお役に立てるかもしれないので、
本当に良かったと思ったのでした・・・。