「教える」「手伝う」「対話する」お仕事の契約書をつくってみよう!【リスクのない起業/ひな型】

コーチ、コンサル、カウンセリング・・・あたらしいビジネスをはじめたい方へ。「教える」「手伝う」「対話する」ことは、立派なお仕事です。人生の悩みのテーマはいろいろですが、対話のゴールを決めて、値段や条件を設定すれば、すぐにあなたのビジネスにすることができます。

何をビジネスにすべき?

なにかしてみたいが、どんなことができるかわからない、という場合、最もリスクが低くて可能性が大きいのは、「教える」「手伝う」「対話する」プロセスを提供する仕事。もちろん副業は他にも投資とか転売、広告代理業、不動産関連などもあるとは思いますが、これらは元手が必要になるか、なにかしらの「チャンス」が必要となります。その点、「教える」「手伝う」「対話する」仕事なら、たいていはフリーランスのカウンセラーやコーチ、コンサルタントとしてすぐにスタートでき、リスクも少なくできます。

お客さんに本気度を伝えよう

そういうビジネスをあなたがスタートしたと仮定して、おそらくお客さんとの間に生じるのは「委任契約」です。教えたり、お手伝いしたりという無形の事務を提供する契約は、民法上の委任契約にあてはまることが多いためです。口約束でも構いませんが、お互いの認識をすりあわせることができますし、なにより契約書があると、お客さんにあなたの本気度が伝わります。ぜひ自分のビジネスに合った契約書を工夫してみましょう。

委任契約書の例は?

では、一般的な委任契約書の例を見てみましょう。ビジネスではよく業務委託などのタイトルで、以下のような契約書が交わされています。

第1 条(契約の目的)
1. 本契約は、甲が本契約に定める事務を乙に委任し、乙が当該事務を受任するに際して、当事者間の権利義務について定めることを目的とします。
2. 甲及び乙は、法令を遵守し、信義誠実の原則に従って誠実に本契約上の義務を履行します。
第2 条(委任事務)
1. 甲は乙に対し上記表に定める事務(以下「本件事務」といいます。)の処理を委任し、乙はこれを受任します。
2. 乙は善良な管理者の注意義務をもって、本件事務を処理するものとします。
3. 乙は、甲が本件事務について報告を求めた場合には、甲指定の方式により速やかに本件事務の経過を甲に対し報告します。
第3 条(報酬)
1. 甲は乙に対し、本件事務に対する報酬として、上記表に定める額を乙の指定する銀行口座に振込んで支払うものとします。なお、振込手数料は甲が負担するものとします。
2. 甲は、前項に定める報酬を、上記表に定める支払期日までに支払うものとします。ただし、支払日が土曜日、日曜日、祝日その他の金融機関休業日にあたる場合には、その前営業日までに支払うものとします。
第4 条(再委託)
1. 乙は、甲の事前の書面による承諾なく、本件事務の全部又は一部を第三者に再委託することはできません。
2. 乙が前項に定める承諾を得て第三者に本件業務を再委託する場合においても、乙は自己の責任において当該再委託先の第三者が前条の規定に違反しないことを保証し、再委託先の行為について連帯して責任を負います。
第5 条(秘密保持)
1. 本契約において、秘密情報とは、文書・口頭・電磁的記録及びその他の方法によることを問わず、甲又は乙より相手方に開示された営業上又は技術上の情報及び本契約の存在・内容をいいます。但し、以下各号のいずれかに該当する場合には、秘密情報に該当しません。
(1) 開示者から開示された時点で、既に公知であった情報
(2) 開示者から開示された後に、受領者の責任によらず公知となった情報
(3) 開示者から開示された後に、受領者が正当な権限を有する第三者から適法に取得した情報
(4) 開示者から開示された時点で、既に受領者が保有していた情報
(5) 開示者から開示された秘密情報によらず、受領者が独自に開発した情報
2. 甲及び乙は、秘密情報を相手方の承諾なく、第三者(弁護士、税理士等の法律上当然に守秘義務を負う専門家を除く。)に対して開示又は漏洩してはならないものとします。ただし、法令、政府機関、裁判所の命令により秘密情報の開示が義務付けられた場合には、事前に相手方に通知の上、開示を行うことができるものとします。
3. 甲及び乙は、秘密情報について、本契約の目的の範囲内でのみ使用するものとし、当該目的の範囲を超える複製又は改変が必要なときは、事前に相手方から承諾を受けなければならないものとします。
4. 甲又は乙は、相手方から請求があった場合又は本契約が終了した場合には、秘密情報(その写しも含む。)について、速やかに相手方に返還又は破棄しなければならず、相手方の請求があるときは秘密情報の返還又は破棄に関する報告書を提出しなければならないものとします。
第6 条(反社会的勢力の排除)
1. 甲及び乙は、現在及び将来にわたり、自己、自己の役員及び実質的に自己の経営を支配する者が反社会的勢力(暴力団、暴力団員その他これらに準ずる者をいいます。)に該当しないこと、及び反社会的勢力と一切関係を有していないことを表明し確約します。
2. 甲及び乙は、自ら又は第三者を利用して、暴力的な要求行為、法的責任を超える不当な要求行為、詐術・脅迫的行為、業務妨害行為、その他これらに準ずる行為を行わないことを表明し確約します。
3. 甲又は乙は、相手方が前2項に違反したとき、又は違反していたことが判明したときは、何らの催告を要せず、直ちに本契約を解除することができます。なお、本項による解除によって相手方に生じた損害を賠償する義務を負いません。
第7 条(解除)
甲及び乙が以下各号のいずれかに該当するときは、相手方の期限の利益を喪失させ、何らの催告なしに直ちに本契約の全部又は一部を解除することができます。なお、本条に基づき解除を行った場合でも、損害賠償の請求を妨げないものとします。
(1) 本契約に定める秘密保持義務に違反したとき
(2) 前号に定める義務を除き、本契約に定める義務の履行を怠り、これらの是正を求める甲の通知を受領した後、14 日以内にかかる違反又は不履行を是正しないとき
(3) 支払の停止若しくは支払不能となり、又は破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始、特別清算開始等の法的倒産手続の申立てがなされたとき
(4) 第三者より仮差押、差押、仮処分、強制執行又は競売の申立てを受けたとき
(5) 手形交換所の取引停止処分又は租税公課の滞納処分を受けたとき
(6) 資産、信用状態が悪化し、又はそのおそれのあると認められる相当の事由があるとき
(7) その他、本契約を継続し難い重大な事由が生じたとき
第8 条(損害賠償)
甲及び乙が、本契約に関連し、相手方の責めに帰すべき事由により損害を受けた場合は、相手方に対し、当該損害の賠償を請求することができます。
第9 条(契約の有効期間)
1. 本契約の有効期間は、本契約の有効期間及び契約更新は、上記表のとおりとします。
2. 前項の規定にかかわらず、第5 条、第6 条、第8 条、第10 条、第11 条、第12 条の規定及び条項の性質に鑑み当然に存続すべき規定は、期間満了、解除、失効、その他理由の如何を問わず本契約が終了した後もその効力を存続します。
第10 条(権利義務の譲渡禁止)
甲及び乙は、相手方の事前の書面による承諾なく、本契約に定める自己の権利義務の全部又は一部を、第三者に譲渡し又は担保に供することができません。
第11 条(準拠法及び管轄裁判所)
本契約は、日本法を準拠法とし、本契約に関して当事者間に紛争が生じた場合、上記表に定める裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とします。
第12 条(協議)
本契約書に定めなき事項又は各条項の事項について解釈上の疑義が生じた場合は、両当事者誠実に協議した上、円満に解決します。

難しすぎる? 契約書のデメリット

いかがでしょうか? もちろんこういう契約書でも全く問題ありません! でも、はじめてお客さんに教えたり、手伝ったりするビジネスをするのに、上記の契約書を締結するのはむずかしいと感じるかも知れません。お客さんも読むのが大変だし、あなたもなんだかしっくりこないかもしれないからです。。

じゃあどうしたらよいでしょうか?

なるべくお客さんに負担をかけず、それでいてきちんとすべきところはきちんとしている、という姿勢をみせるには、契約を「申込書」というかたちにかえて確認するのがいいでしょう。申込書にサインをしてもらうことで、契約の成立を確認すると考えればよいわけです。

申込書兼契約書という方法

できれば、申込書はA4用紙1ページくらいのボリュームにして、そのかわりちゃんと読んでもらって、サインをもらうといいでしょう。あなたの「ロゴマーク」を入れたりして、かっこよくつくるといいですね。以下に申込書のサンプルをつくっておきましたので、参考にしてください。

効果的な申込書兼契約書の事例

申込書のサンプルです。A4 1枚におさまる内容になっています。今回はより具体的にイメージするため、終末期の在宅ケアをお手伝いする、カウンセラーやヘルパーさんのようなお仕事を想定しています。在宅医療を選択されるかたはこれから増えてくると思いますが、ご本人もご家族もさまざまな葛藤のなかで過ごされるので、医師や看護師、ケアマネジャーだけでなく、新しいケアの担い手が必要になると思います。

申込書という意味では、コンサル、コーチ、カウンセラーや、なにかを教えるプログラムなどでも応用できるはずです。「人生の意味をみつける」、「癒しをあたえる」、「自己肯定感を高める」、「本当にやりたいことを見つける」、「ダイエット」や、なにかの「養成講座」など、・・・本当にさまざまなサービスに応用可能です。

 
     〇〇〇〇カウンセリングサービス申込書

               記入日   年  月  日 

各当事者は、委任者が申込み、受任者が受任する内容を、以下のとおり委任契約として合意しました。

お名前(委任者)
ご住所:
氏名:           様    Living Willの有無(あり なし)
 
(受任者) 住所
 氏名 〇〇○〇

■委任の内容
委任者ご本人の意思と自己決定を尊重し、本人の希望をその価値観にそって、人生の最終段階をより良いものにしていただくことを目指して、以下の一部又は全部に関する対話プロセスの提供を委任の内容とします。
①在宅医療の環境整備
②治療やケアについての自己決定の支援
③在宅療養上の身の回りの世話に関する作業
④医療関係職を含む周囲の専門職、関係者、業者等との連絡又調整
⑤本人の意思決定支援
⑥その他当事者間で別途合意する内容
(                     )

■報酬について
金額:(月額/日額)    円(消費税込)とします。
交通費や実費は、委任者の負担とします。
報酬の支払期限は (毎月末日/翌月末日)までとします。

■期間について
契約期間:契約締結の日から〇か月間(ただし当事者間で合意することにより早期に解約、終了することがあります。)
契約更新:期間満了前の〇週間前までにいずれの当事者からも解約の申し出がない場合には、同一条件でさらに〇か月期間を延長し、以後も同様とします。

■注意事項
 私は下記の注意事項をよく理解しており、同意しています。
・この〇〇〇〇サービスはあなたの意思と判断で申し込まれるものです。
・委任された内容は、あなたを支援するためのものですが、具体的な成果を保証したり、医学的な治療の効果等をお約束したりするためのものではありません。
・この申込書に定められていない事項や、委任の内容に疑義が生じた場合は、お互いに協議したうえで円満に解決します。


「上記をよく読み、理解しました。」
ご署名
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いかがでしょうか? コピーして、レイアウトを直せば、さまざまな「教える」「手伝う」サービスの申込書として、応用できますよね。

大切なことは、あなたとお客さんとの間の約束事を、きちんと確認することです。やっていてさらに、もっとこまかい条件が必要になったら、前述した委任契約書の条文を参考にしましょう。

Wordテンプレートあります!

本記事の内容は、ここで終わりです。最後に、上記の①委任契約書と、②申込書のサンプルをWord(ワード)ファイル形式でダウンロードできるようにしました。そちらだけ有料になります。レイアウトのイメージがわかないかたや、少しでも手間を省きたい方は、ご購入下さい。内容は上記と同じなので、ご自分でコピーしてWordファイル等に貼り付けて使う方法でももちろん大丈夫です!

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78字 / 2ファイル

¥ 500

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