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セミナー講師/セミナー主催者のための講師業務委託契約書 リピート対応向け【ひな形/商用利用可能】
セミナー講師とセミナー主催者のための「講師業務委託基本契約書」のひな形です。今回、追加要望が多かった「セミナー契約の基本契約バージョン」を公開いたします。将来的に同じ講師の方に何度も講義を依頼する場合におすすめです。
「講師委託契約書」は、講師委託契約の明確化や、著作権帰属などのトラブル防止、撮影や配信もふまえたルールづくり、秘密保持や不可抗力の明確化に欠かせません。
概要
この契約書は、セミナーや研修、講演などの教育関連プログラムに関する講師業務の委託を規定する基本契約書です。主催者(以下、「甲」という。)と講師(以下、「乙」という。)の間で、業務内容、報酬、著作権、秘密保持、契約の解除など、重要な条件を包括的に定めています。本契約は、個別契約を補完する形で運用され、特に同一講師に対するリピートオーダーに適した形式となっています。この仕組みにより、契約締結が効率化され、トラブルの予防にも寄与します。
Overview
This agreement serves as a master contract for outsourcing seminar, training, lecture, or similar educational program-related tasks. It comprehensively defines essential terms between the organizer ("Party A") and the lecturer ("Party B"), including the scope of work, remuneration, intellectual property rights, confidentiality, and contract termination. This agreement is designed to supplement individual contracts and is particularly suitable for repeat orders with the same lecturer, streamlining the contracting process and mitigating potential disputes.
リピート型とスポット型
・単発で主宰者と講師が契約を交わす場合は、以下のリンク先のひな形(講師業務委託契約書)がおススメです。
今回の記事のひな形はリピートオーダーに対応できる「基本契約」です。ベースとなる契約と、その都度の発注内容を分けて、2段階にすることで、同様のリピート発注を簡単に処理できるようにしたものです。そのため、定期的に同じ講師に業務を依頼する企業や団体に特におすすめです。(例:年間を通じて複数回のセミナーや研修を計画している企業、人事部、研修機関。
業務フローを効率化したい方)
基本契約の締結により、個別契約を都度交わすだけで済むため、契約手続きが簡便になります。個別契約書のテンプレートがついていますので、すぐに作成が可能です。
セミナー講師と主催者のための基本契約書
①同じ講師に継続的に依頼する場合に便利
基本契約は、あらかじめ基本的な事項を契約しておくことにより、具体的なセミナーの発注は個別契約(簡易な形式)で行うことができる手法です。個別契約の締結方法は自由に規定できますが、本例では、個別契約書を締結するか、業務仕様書を交付することによるとしています。
②委託内容と報酬の明確化
セミナーに関する業務を具体化すること、そして講師に支払われる報酬をはっきりさせることが、この契約の主目的です。これらをはっきりさせることで何をいくらで依頼したのかという部分の認識のずれを予防します。現在、セミナー業界は多様化しており、ほんとうに様々な「講師」の方が活躍されています。良くも悪くも認識や価値観もさまざまです。「たぶんこう理解してくれるだろう」「たぶんこういう意味だろう」という期待は、お互いに通用しないと思った方が良いと思います。
③権利帰属
特に問題になりやすい点としてもう一つ指摘しておきたいのが権利帰属です。たとえばセミナーでいえば「当日のスライド資料」の著作権の帰属です。講師が作成した資料の著作権は、通常は講師が権利者ですので、主催者が利用するためには、後で揉めてしまわないように、契約書で具体的な利用方法を確認しておきます。
④主催者はセミナーを録画して販売してもよいのか
仮に、当日のセミナーを主催者が録画し、以後に「動画配信」する等して収益化する場合には、講師と主催者とが著作物の二次的な利用について明確にしておかないと、いずれトラブルになるでしょう。
以下で、セミナー講師と主催者の契約方法として、3つのパターンを解説します。
講師を依頼する契約のパターンについて
セミナー等の講師依頼には、一般的に、講師依頼状による依頼、権利確認書等の合意書を使う方法、業務委託契約書による方法の3つがあります。どれを採用しても意味合いは同じで、いずれもトラブルを防ぐ一定の効果があります。
■講師依頼状
講師依頼状は、ようするに書面で依頼をすることにより、講師に主催者が依頼した事実を証拠化、記録化するものです。事前に依頼状を受け取ると講師も安心ですし、主催者側もあとで「言った」「言わない」になるのを避けることができます。依頼状はもっとも簡単で、すべての主催者におすすめできる方法です。
■権利の確認書
講義の内容等によっては、当日配布資料やスライドなどの資料の著作権が、講師に帰属する(または主催者に譲渡される)ことを確認など、ある種の合意書があったほうがトラブルの予防になります。内容次第ですが、当日資料に営業秘密や貴重なノウハウが含れているような場合、「資料の秘匿性が高いため、権利帰属を明確にしたい」場合は確認書(合意書、覚書、でもOK)を作成すべきといえます。
■業務委託契約書
ある程度本格的に、セミナービジネスを実施する場合、おすすめはやはり業務委託契約書を作成することです。業務委託契約書はセミナー講師から提示してもよいです。通常は主催者がフォーマットとして用意しておくべきものです。
契約書のポイント
■著作権の帰属を明確化
セミナー講師が作成した資料の著作権は、講師に帰属する規定により、権利関係を明確化しています。
■後日のオンライン配信に対応
セミナーを収録して、ダウンロードやストリーミング配信する場合を想定して、主催者と講師との合意を明確化しています。
■当日の物販を想定
当日に、講師が独自商材の販売をするケースを想定して、そうした特約の記載例を載せています。記載例は、この場合に主催者が販売手数料を得るケースにも対応しています。
■中立的な内容
基本的には発注者である主催者を守る内容ですが、かといってどちらが一方的に不利というものでもなく、標準的なバランスにしてあります。
■電子契約にも対応可能
紙の契約書でも、電子契約でも締結できるよう文言を調整。これにより「今回は紙契約だけど、将来的に電子契約でも締結する予定」といった状況でも、任意の締結方法に対応しています。
このひな形に含まれている条項
・このひな形には以下の条項が含まれています。
第1条(目的)
本契約の目的として、業務内容や双方の権利義務を明確化することを規定しています。
第2条(業務の委託)
業務委託の範囲と、乙の誠実な遂行義務を規定しています。
第3条(個別契約の成立)
個別契約の成立条件および優先順位について定めています。
第4条(再委託の制限)
業務の第三者への再委託に関する制限と、承認手続きの規定があります。
第5条(対価の支払)
報酬額、支払期日、経費負担についての詳細を定めています。
第6条(業務内容の変更)
業務内容や履行条件の変更手続きについて規定しています。
第7条(一般的損害)
損害賠償責任とその上限を定めた条項です。
第8条(天災その他の不可抗力の扱い)
不可抗力による業務遂行困難時の対応と、契約解除条件を定めています。
第9条(本契約及び個別契約の解除)
契約解除の条件と、解除時の責任について規定しています。
第10条(資料等の著作権)
講師が作成した資料の著作権の帰属に関する条項です。
第10条の2(動画配信及び二次利用)
動画配信および二次利用の条件や報酬について定めたオプション条項です。
第11条(秘密の保持)
業務に関連して知り得た秘密情報の取り扱いについて規定しています。
第12条(権利義務の譲渡等)
契約上の権利や義務の譲渡に関する制限と条件を定めています。
第13条(契約期間)
本契約および個別契約の期間と、自動更新の条件を規定しています。
第14条(契約外の事項)
契約に規定のない事項について、協議の上解決することを定めています。
第15条(合意管轄)
紛争時の第一審の合意管轄裁判所を指定しています。
契約を成功させるためのワークツール1
個別契約書の作成例
契約を成功させるためのワークツール2
当日物販を予定する場合の別紙への追加記載例
契約を成功させるためのワークツール3
契約締結前チェックポイント
【免責事項】
当方が提供する契約書のひな形は一般的な形式や構成を示すものであり、特定の法的状況や個々の取引に適用されるべき内容を保証するものではありません。契約書のひな形はあくまでも参考資料であり、法的助言や専門的な意見を代替するものではありません。利用条件を十分に理解し、ご自身の責任においてご判断ください。
【ひな形を使うメリット】
当方の契約書ひな形は、実際の業務で使用された生きた契約書を基に作成されたオリジナルのものです。同じひな形は他には存在しません。
一般的な内容ではなく、特定の場面を想定して作成された、そのシチュエーションに特化した内容となっています。ぜひ、あなたのビジネスにお役立てください。
以下がセミナー主催者と講師のための業務委託基本契約書のひな形です。ひな形はWordファイルでダウンロードできます。適宜アレンジしてお使いください。
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セミナー・研修講師業務委託基本契約書
主催者である株式会社◯◯◯◯(以下、「甲」という。)と、講師である◯◯◯◯(以下、「乙」という。)は、甲が主催又は運営するセミナー、研修、講義、講演、又はこれらに類する教育関連プログラム(以下、「本業務」という。)における講師業務を乙に委託することについて、次の通り業務委託基本契約(以下、「本契約」という。)を締結する。
第1条(目的)
本契約は、甲が主催又は運営する本業務において、乙が講師として業務を遂行するにあたり、双方の権利及び義務を定めることを目的とする。
2 本契約は、甲から乙に対し委託される、個々の具体的な業務内容及び諸条件の契約(以下、「個別契約」という。)に適用される。
第2条(業務の委託)
甲は乙に対し、本契約及び個別契約に定める内容に基づき、本業務を委託するものとし、乙はこれを受託するものとする。
2 乙は、本業務に関し、甲が本契約及び個別契約で示す規定に従い、誠実にこれを遂行しなければならない。
第3条(個別契約の成立)
個別契約は、次の各号のいずれかの場合に成立する。
(1)甲及び乙が、委託の都度、本業務の内容及び諸条件を記載した個別契約書に署名又は記名押印(電子署名を含む。)したとき。
(2) 甲が乙に対し、本業務の内容及び諸条件を記載した文書(電子メールを含む。)を送付し、乙がこれを承諾する意思を表明した場合
(3) その他甲乙間で合意した方法による場合
2 個別契約には、以下の事項を含むものとする。
(1) 本業務の役務、給付の具体的内容
(2) 業務実施期間及び実施場所
(3) 報酬額及び支払期日
(4) その他必要な事項
3 個別契約が成立した場合、その内容は本契約の一部を構成するものとし、本契約の条項と個別契約の条項が抵触する場合には、個別契約の条項が優先する。
第4条(再委託の制限)
乙は、本業務の全部又は一部を第三者に再委託してはならない。ただし、甲の事前の書面による承諾を得た場合は、この限りではない。
2 乙が前項ただし書に基づき業務の一部を第三者に再委託する場合、乙は速やかに以下の事項を甲に通知し、甲の承認を得なければならない。
(1) 再委託先の名称及び所在地
(2) 再委託の内容及び範囲
(3) 再委託先との契約書又は合意書の概要(必要に応じて写しを提出すること)
3 乙は、再委託先が本契約に基づく乙の義務を遵守することを保証し、甲に対して一切の責任を負うものとする。
第5条(対価の支払)
甲は、乙に対し、本業務の対価として、個別契約に定める業務委託料(以下「委託料」という。)を支払うものとする。委託料の支払期日は、乙が本業務を完了した月の翌月末日とする。ただし、支払期日が金融機関の休業日にあたる場合は、その翌営業日までに支払うものとする。
2 委託料の支払方法は、乙が指定する金融機関口座への振込送金とし、振込手数料は甲が負担するものとする。なお、乙が個人事業主である場合には、委託料から源泉所得税相当額を控除して支払うものとする。
3 本業務の遂行に必要な通信費、インターネット接続料、交通費、その他の諸経費は、個別契約に明記された場合を除き委託料に含まれるものとし、乙はこれらの費用について甲に別途請求することはできない。ただし、個別契約に明記された場合、又は甲が事前に書面で承認した場合は、この限りではない。
4 甲が正当な理由なく委託料の支払いを遅延した場合、甲は遅延した日数に応じて、未払金額に年率14.6%の割合を乗じた遅延損害金を乙に支払うものとする。
第6条(業務内容の変更)
甲及び乙は、本業務の遂行にあたり、必要があると認める場合には、相手方に対して書面又は電子メール等の通知により業務内容の変更を求めることができる。
2 前項に基づき業務内容を変更する場合、履行期間又は契約金額の変更が必要となる場合には、甲及び乙は、変更後の履行期間及び契約金額について協議し、合意した内容を速やかに書面により記録するものとする。
3 業務内容の変更に伴う履行期間又は契約金額の変更が合意に至らない場合、変更前の業務内容、履行期間及び契約金額が適用されるものとする。
(まれに、研修内容の大幅な変更が主催者側から打診されることがあります。業務内容の変更について柔軟かつ明確なルールが設定されることで、契約当事者間のトラブルを未然に防ぎつつ、契約の運用が円滑になります。)
第7条(一般的損害)
本業務の遂行又は関連して生じた損害については、当該損害が甲又は乙の責に帰すべき事由による場合、当該責任を負う当事者がその損害を負担するものとする。
2 甲又は乙の責に帰すべき事由によらず、第三者に損害が生じた場合、甲及び乙は、相互に協議のうえ、適切な対応を取るものとする。
3 乙の責に帰すべき事由により甲又は第三者に損害が生じた場合、乙の賠償責任は、その原因となった個別契約の委託料の総額を上限とする。ただし、乙の故意又は重大な過失に起因する損害については、この限りではない。
4 乙は、本業務の遂行にあたり善良な管理者の注意をもって業務を行い、第三者への損害が発生しないよう努めるものとする。
(この条文では、セミナーや講演の実施中に発生する損害について、誰が責任を負うかを明確にしています。また、講師(乙)が負担する損害の上限額を「報酬の総額」までとし、不測の事態でも過度な負担がかからないよう配慮されています。ただし、講師の故意や重大なミスが原因の場合には、上限が適用されない点に注意してください。)
第8 条(天災その他の不可抗力の扱い)
指定感染症の発生、暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、噴火、地すべり、火災、戦乱、内乱、テロ、政府による決定、その他甲乙双方の責に帰すことができない自然的又は人為的事象(以下「不可抗力」という。)により、本業務の遂行が著しく困難となった場合、当該当事者は、不可抗力の発生を確認後、速やかにその状況を相手方に通知しなければならない。
2 不可抗力に起因する履行遅延又は不履行については、当該不可抗力の通知を行った場合に限り、当該遅延又は不履行は本契約又は個別契約上の義務違反とはみなされない。
3 不可抗力により乙に追加的経費が発生した場合、乙はその内容を甲に請求することができる。ただし、甲は請求内容を確認のうえ、甲乙協議により負担額を決定するものとする。
4 不可抗力が発生し、本業務が60日以上連続して実施できない場合、甲は、少なくとも30日前に書面による通知をもって、本契約又は個別契約を解除することができる。
5 前項に基づき本契約又は個別契約が解除された場合、甲は乙に対して解除日までに実施された業務に相当する委託料を支払うものとする。
(この条文は、天災や感染症の流行、政府の規制など、誰の責任でもない事情(不可抗力)によって、セミナーや講演が予定通り行えなくなった場合のルールを定めています。
・不可抗力の例: 地震や台風などの自然災害、戦争、指定感染症、テロなど。
・通知の義務: 影響を受けた場合は、すぐに相手に連絡する必要があります。
・義務違反の免除: 不可抗力のために業務ができなかった場合、それは契約違反にはなりません。
・契約解除の条件: 60日以上業務が行えない場合には、主催者側が契約を解除できる可能性があります。)
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