エンバペ加入でラ・リーガは連覇できるのか
昨季はクラブ歴代2位のゴール数を記録していた元フランス代表FWカリム・ベンゼマがシーズン前に退団したものの、ボルシア・ドルトムントから加入したイングランド代表MFジュード・ベリンガムが即フィットしたことに加えて、クラブのシンボルナンバーに変更したブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオールの活躍もあり、2シーズンぶりにラ・リーガを制したマドリード。守備面では絶対的守護神のベルギー代表GKティボ・クルトワやブラジル代表DFエデル・ミリトン、オーストリア代表DFダビド・アラバが相次いで長期離脱をしてしまったが、ウクライナ代表GKアンドリー・ルニンや、ドイツ代表GKアントニオ・リュディガーなどの活躍もあり、最小失点の堅守を披露した。
連覇を目指す今季だが、シーズン前に司令塔であるドイツ代表MFトニ・クロースが以前から発言していた通り、キャリア全盛期でスパイクを脱ぐと、ワン・クラブ・マンを貫いていたスペイン代表DFナチョ・フェルナンデスも契約満了に伴い退団。エスパニョールからレンタルで加入していたスーパーサブのスペイン代表FWホセルも買取オプションを行使した後にアル・ガラファへ移籍している。
その一方で、長年ラブコールを送っていたフランス代表FWキリアン・エンバペをフリートランスファーで獲得。17歳でセレソンデビューを果たした神童のブラジル代表FWエンドリックが加わったほか、クロアチア代表MFルカ・モドリッチは減給を受け入れて残留した。
ただ、昨季はアラベスで経験を詰んだスペイン人DFラファ・マリンをナポリに売却したなかで守備強化の一手として関心を示していたU-21フランス代表DFレニー・ヨロはマンチェスター・ユナイテッドを移籍を決断。センターバックの枚数が揃っていないなかで、カルロ・アンチェロッティ監督は「アラバが復帰できると信じているし、優秀な若手選手もいる」と今夏の補強を否定している。
14日に行われたUEFAスーパーカップでは昨季のヨーロッパリーグを制したアタランタに2-0で勝利。前日練習で負傷したフランス代表MFエドゥワルド・カマヴィンガを欠いたなかで、前半こそスコアレスで推移したものの、59分にボックス左を突破したヴィニシウスの折り返しからクロースの背番号「8」を受け継いだウルグアイ代表MFフェデリコ・バルベルデが押し込んで先制に成功する。さらに、68分にはベリンガムからのパスに反応しエンバペが移籍後初ゴールを記録。そのまま逃げ切って、今季初タイトルを手にした。
やはりヴィニシウス、ベリンガム、エンバペは脅威のトライアングルであり、そこにブラジル代表FWロドリゴなども絡めば、モロッコ代表MFブラヒム・ディアスやトルコ代表MFアルダ・ギュレル、エンドリックが控える攻撃陣に穴はなし。守備ではクルトワがパラドンを連発するなど通常運転で、リュディガーもソリッドなプレーを披露。ただ、ミリトンは長期離脱を負った昨シーズンからコンディションが完全に戻ったとは言えないプレーも多いのが現実で、リュディガーが今季もフル稼働しなければいけないのが実情だ。
中盤ではアタランタ戦を前にした前日練習でフランス代表MFオーレリアン・チュアメニと交錯した際にフランス代表MFエドゥワルド・カマヴィンガが負傷。多くのコンペディションを戦うなかで、負傷者次第では苦しい台所事情になる可能性もあるが、その部分ではマネジメントの上手さに定評があるアンチェロッティ監督なら安心だ。
さて、ライバルクラブはどうなのか。今季からハンジ・フリック監督が指揮をするバルセロナは本命のアスレティック・クラブのスペイン代表FWニコ・ウィリアムズの獲得交渉は難航しているものの、下部組織出身のスペイン代表MFダニ・オルモを補強。下部組織からプレシーズンで好プレーを見せたスペイン人MFマルク・カサドをトップチーム登録にしたが、スペイン代表MFガビやスペイン代表MFペドリが負傷した穴を埋めるのは容易ではない。
その一方で、アトレティコは今夏に積極的な動きを見せている。スペイン代表DFマリオ・エルモソやモンテネグロ代表DFステファン・サヴィッチが退団した守備陣にはレアル・ソシエダからスペイン代表DFロビン・ル・ノルマンを獲得。さらに、スペイン代表FWアルバロ・モラタが抜けた前線にはマンチェスター・シティからアルゼンチン代表FWフリアン・アルバレスを補強した。チェルシーのイングランド代表MFコナー・ギャラガーの獲得にも動いているなかで、ディエゴ・シメオネ監督とそりのあわなっかたポルトガル代表FWジョアン・フェリックスの放出にも接近している。