私の撮った写真ばかりなので見てくださっている方はつい忘れてしまいがちだと思いますが、歩いている本人、このような格好です。前にも書いた通り、古いまち並みの宿場では被写体となり、群馬や長野では菅笠というこのアイコンのおかげでたくさん声をかけていただいたりお茶をごちそうになったり、またある時は虚無僧かなにかと思われたのか向かいから歩いてくるおばあさんに手を合わされたこともありました。
さて、この菅の笠は奈良井宿で調達した3代目です。初代は、高校の友人がくれた富士山みやげの笠、2代目は軽井沢の先の追分宿で調達したもので、菅ではなかったのですが、竹の皮のような素材(竹の皮ではないのだけれど…)でできているひとまわり小さなもの。そして、この3代目。
笠にはアイコンとしての役割以外にいくつかの有用性があります。
まずひとつは当然ですが、日よけとしての機能。笠は暑さをしのぐのに必須です。しかし、この笠は帽子に比べても断然涼しいのが特徴です。菅笠というのは中にカゴのようなパーツを取り付けて使用します(上写真・左の笠参照)。これのおかげで笠と頭の間に空間ができて風が抜けていきます。中山道を歩いた翌年、びわ湖1周も歩いたのですが、その時同行していた友人が恥ずかしいからと麦わら帽子をかぶっていたら熱中症になってしまいました。翌日から笠につけかえたら快適に。日よけはできて、風も通って涼しいとってもよくできた道具です。
もうひとつの有用性は、のぼり坂などで視界が前のツバで切れること。見通しすぎないことで、目前の足元に集中でき途方にくれることもなく歩を進めることができます。ちなみにこれだけの距離を歩いていると自然とナンバ歩き(右手と右足が同時に出るような歩き方)に近づいてきます。荷物の量や旅程のアップダウンにもよるとは思いますが、右の肩と右の足を同時に出す方が楽に歩けるように思います。
あとこれは有用性とは関係のない話ですが、笠のかぶり方も自分なりのアレンジが進みます。どうしてもツバが大きいので風で笠があおられるので、初期の頃はよく飛ばされたり、飛ばされそうになって首にかけたヒモが引っ張られて首が締まりそうになったりいろいろと問題が発生していました。そこで髪の長かった私は前髪をつかって左右に団子をつくり(ミッキーマウスのような状態)、それをカゴの部分に引っ掛けてかぶっていました。
おかしなヘアスタイルですが、これが街道歩き(菅笠)に最適化された髪型であります。
《マガジン|中山道音速スライド旅行》
https://note.com/takecomai/m/ma5c815b6b7ed
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?