真っ赤なウソ
これを見てこそいつもの秋なのだ。
ネットが発達して開花情報など簡単に分かる時代になった昨今、ウンザリする程のうそを選別しなければいけないこともまた事実、その点、花は花季を鮮やかに裏切ってくれるけれども、そこに悪意は存在しない。気をつけるべきは祭りなどに集客したいがための開花情報のちょっとした盛り、そして自称他称フォトグラファーと呼ばれる人が撮った写真を間に受けることである。
フォトグラファーは腕の良し悪しは別として最低写ってはいけないものの事は分かっているので器用にぼろ隠しをしたものをSNSなどの記事に載せるわけだ。
そうしていかにも紅の絨毯のような満開の彼岸花を見てきました、みたいな物語をでっち上げるのである。
こうして恐るべしフォトグラファーの餌食になった人々が後を追うように犠牲になる。これがホントの真っ赤なウソだ。
さらには活気のいいのが2、3本咲いていれば撮れるような写真を載せて追い討ちをかける。
そうして遠景中景近景織り交ぜ、
嬉しそうに微笑む嫁さんの写真を載せ、
背景も自由自在、
この畑、実は栗園なのだけれど今の主役はもちろん彼岸花。
こうして満開繚乱の秋の景完成というわけだ。
仕上げは秋の味覚、栗。本来の主役もこの時ばかりは脇役に徹して主役を盛り上げる。実はこの場所、最盛期には駐車場に車を停められないほどに混雑するのだが、着いたときに表の駐車場は空っぽだった。中に入ってみるといつも写真を撮る場所はもう最盛期を過ぎて枯れかけ…。いやいや僕だってフォトグラファーの末端、何とかして最盛期を想像させる写真を持ち帰らなければ…。
そう…、最初に洗脳されるのは
そのフォトグラファー自身なのである。