見出し画像

Robot Transformation(RX)という言葉の意味を考えて頭の中がスッキリした話。

DX (Digital Transformation)の足下にも及ばないですが、RX(Robot  Transformation)という言葉を聞く機会が増えました。今回は、この『RX』について、その重要性が腹落ちしたので、少し言語化してみたいと思います!

聞き慣れないRXという言葉の最初の印象

「RX」という言葉が最近一番メディアにも出たのは、鹿島、竹中、清水というゼネコン大手が作った「建設RXコンソーシアム」という組織体の発表の時で、そのときには「RX」って何だ?みたいな質問を何名からか頂いた気がします。

個人的には、「まぁDXというバズワードの流れに乗った言葉でしょ!?」みたいなのが最初の印象で、特に深くも考えていませんでした。例えて言うなら、SaaSやMaaSなどから始まったXaaS(as a Service)の1つとしてのRaaS (Robot as a Service)みたいな言葉が流行っているように、大きなトレンド的なワードの波に乗ったみたいな。

改めて、Transformについて考えてみる機会を頂いた1年

今年はありがたいことにロボットだけではないことを考える仕事やチャンスを社内・社外で多く頂きました。社外では、ONE JAPANで実施されている「ミドル変革塾」にも参加させて頂き、グローバルの第一線で活躍されている経営者の方々やミドルマネジメントをされている方々とディスカッションさせて貰う中で、Digital Transformation (DX)やCorporation Transformation (CX)に関する強烈な刺激も頂きました。

この中での学びはまた別の場で纏めるとして、当たり前の気づきとしては「Transform」しなければ、DXでもないし、CXでもないということです。本当に「あたりまえ」というか、それが定義でしょと言われれば、それまでなのですが、それまで在ったモノ・状態を完全にぶち壊して、新しく再構築しないといけないということです。英英辞典でTransformationという言葉を調べると、"a complete change in someone or something"と書いてありました。まさに"complete"に人や組織の状態をチェンジし、新しい価値に繋げないとイケないということだと思います。

経済産業省のレポートにもちゃんと書いてありました。「D X レポート 2 中間取りまとめ (概要)」という資料の中にも、こんな資料がありました。

経済産業省、D X レポート 2 中間取りまとめ (概要)、令和2年より

よく言われているやつですが、デジタルトランスフォーメーションの手前に、アナログをデジタルにする「デジタイゼーション(Digitization)」、個別の業務をデジタル化する「デジタライゼーション(Digitalization)」というやつがあります。

例えばで言うと、紙で受発注業務を行っていたのを、電子印とかを使って電子データをメールでやり取りするのが「デジタイゼーション」、受発注のシステムを導入して管理するのが「デジタライゼーション」、受発注の履歴なども考慮して無くなる前に商品が届くよう受発注という行為自体もなくしてしまうのが「デジタルトランスフォーメーション」みたいな感じでしょうか。

よく言われていることですが、デジタイゼーションやデジタライゼーションで留まっていて、本質的な課題の解決に繋がっていないのに満足しているということが多いんでしょう。デジタルトランスフォーメーションまで踏み込むと、業務の改革に伴い、既存の業務従事者や既得権益との戦いが発生し、「痛み」が生じることが多いというのも、推進が加速しにくい要因かと思います。

あまりリアルなことは書けませんが、こんな感じで1年間を通じて、DXやCXの現実を学んできました。

そして、ロボットがなかなか一線を越えきらないことについて意見を求められる年度末

そんな中で、本業でもある「ロボット」についても、会社側では中期計画の最終年度の年度末だったことはたぶん関係ないのですが、たまたま3月には国際ロボット展があったからかはわかりませんが、メディアの方やロボットメーカーではないけど関連する企業の経営者・責任者などの社外の多くの人から「なかなかロボットが想定通りには伸びてこないのは何故なのか??」という質問や意見交換をする場がありました。

本当に想定通りに伸びていないのか?というのは、何を想定していたかによるので一概には言えないと思いますが、個人的には2017-2021年と2012-2016年の5年間の動きをグローバルで見たら、かなりロボットの利活用は進んだ(正確には進んだ領域はそれなりにある)という印象です。※この辺りは一度ちゃんと纏めてみたい気もします。

ただし、いろんなところでロボットが日常的に目に入ってくる世界になったかというと決してそういう状態ではないのも事実です。そんな世界を想定していた場合には、想定通りには伸びてこない、もしくは全然普及が進んでいないという感想を持ってもしかたないのかなと思います。

そもそもその想定があっていたのかという問題は一旦置いておき、なぜそのような想定にはならなかったのかというのを考えてみました。そのときに使ったのが、先ほどのDXに関する3つの分類フレームです。アナログをデジタルにする「デジタイゼーション(Digitization)」、個別の業務をデジタル化する「デジタライゼーション(Digitalization)」、事業やビジネスモデルを変革する「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」というやつですね。

ここでは何かのタスク、業務をロボット化することを”Robotize”と書くことにすると、人作業をロボットにする「ロボタイゼーション(Robotization)」、個別の業務をロボット化する「ロボタライゼーション(Robotalization)」、事業やビジネスモデルをロボットも使って変革する「デジタルトランスフォーメーション(Robot Transformation)」となります。

注:英語として適当かどうかはよくわからないので、雰囲気でご理解ください。「ロボタイゼーション」と「ロボタライゼーション」の違いは微妙なところがある気がしますが、前者は作業の自動化のみ、後者は工程全体の自動化やシステムとの連携みたいのが含まれるという感じでしょうか?

従来の産ロボというのは、(誤解があるかもしれませんが・・・)基本的には「ロボタイゼーション(Robotization)」という領域で戦ってきたと思っています。もしくは、MESとの連携やIoTという文脈で「ロボタライゼーション(Robotalization)」というのも得意というか、よりインパクトを大きくしてきたのではないかと思っています。

自動車産業や電機・電子産業では、このアプローチがかなり有効だったというか、世界中で同じものが大量生産される時代にフィットしたということです。少品種大量生産においては、本当に同じ単純作業をずっと繰り返す必要があり、その同じ作業を人より速く、正確に、安く(投資回収期間も長め)できるケースが多々あり、その作業が「ロボタイゼーション」されていくことになりました。

一方で、社会のニーズは多様化していき多品種少量生産の時代になり、もしくは三品産業のような製造するもの・仕様がどんどん変わる業界の自動化が求められるようになり、もしくはサービス業のような非定常業務や中断・割り込みが多発する業務でのロボット化が求められるようになってきたというのが、最近?の大きなトレンドになっています。

そうなると、急にこれまでの基本的には人業務をそのまま置き換えることが前提となる「ロボタイゼーション」と「ロボタライゼーション」が通用しにくくなるというか、技術的にも難易度があがる、もしくは、ロボット活用する時間はそんなに長くない、そして投資対効果が短期的にはあわなくなりました。結果としてず、「想定していた」ようにはロボットの利活用が広がっていかなかったという状況になっているのではないかと思います。

そうだ!!「Robot Transformation」だと腹オチした

このような現状に対して、人手不足を背景に人側のコストが高まっていき、結果的に投資対効果が見合うようになる。もしくは、そもそも人の確保が十分に出来なくなる。という考え方もされている方もいらっしゃいます。

もしかしたら、そうなのかもしれません。
ただし、個人的にはそれだけでは上手く行かないのではないかと思っています。

大事になってくるのは「Transformation」という考え方ではないでしょうか。

人作業の置き換えという視点から、顧客価値の視点で事業やビジネスモデルも再構築するという視点をもったときに、ロボットをどのように使うのかという考えに変えていく必要があります。もっと言えば、先ほど述べたような『多品種少量生産』、かつ、『ロボットが扱いにくい対象物や環境の中での作業』、かつ、『さまざまな作業が入り乱れた業務』というものを再構成し上で、人とロボットも働き方を変え、1人分の作業を1台のロボットで置き換えるという状況ではなく、人+ロボットで最高のパフォーマンスを出していくという状況を作り出していく必要があると考えています。

この考え方が「Robot Transformation (RX)」のコアになってくるでしょう。

そんなことを考えていたら、ぼーーっと考えていた「RX」が、今後非常に大事になるなぁと腹オチした次第です。

ただし、Robotization、Robotalization、Robot Transformationという順番で重要性が上がっていくという訳ではないというのも大事で、市場とか作業とかに応じて使い分けをひつようがあるんでしょう。

というわけで、長くなってきたので、今回はこの辺りで。どのようにRX的な取り組みを進めていくのかという話は、またの機会に書いてみようと思います。

では、また来週〜
「フォロー」や「ハートマーク(スキ)」を押して頂けると喜びます。笑
安藤健(@takecando)

==================

Twitterでは気になった「ロボット」や「Well-being」の関連ニュースなどを発信しています。よければ、フォローください


頂いたサポートは記事作成のために活用させて頂きます。