環世界を知ると周りに優しくなり、多様性の調和に面白みを感じる
共同研究を行ったLoftworkさんから、『苔ロボット』に関するインタビュー記事を掲載頂きました。今回のnoteは、この記事の中でも紹介した「環世界」という言葉について再度考えてみたいと思います。
【プロダクト紹介】UMOZ:コケの振る舞いからその生命がもつ環世界を想像するきっかけをつくる
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このプロジェクトでは、「環世界(Umwelt)」というものに拘ってプロジェクトを進めました。環世界とは、生物学者のユクスキュルが提唱した概念で、「すべての動物はそれぞれに種特有の知覚世界をもって生きており、その主体として行動している」という考え方です。同じ世界や同じモノを観ても、どう知覚するかは種類によって違うと言い換えることができるかもしれません。
記事の中では、プロジェクトの中で印象に残った言葉として、途中のワークショップに参加頂いた環世界の専門家である釜屋 憲彦さんの言葉を引用させて頂きました。
”環世界は、他者への興味や寛容さを引き出すもの、多様性が適応することではなく、異なるもののハーモニーだ”
以前のnoteで『みんなそれぞれ「環世界」があると理解することがダイバーシティの一歩』というようなことを書きましたが、今回のプロジェクトの中で釜屋さんが言われた多様性の『適応(adapt)』ではなく、『調和(harmony)』という表現が非常にしっくりきたことを覚えています。
結局、ヒトと他の生物でも全く違うし、ヒトの中でもそれぞれ全然違う中で、無理にお互いが適応していく必要はなくて、多様なものは多様なままで良いし、多様なままを受入れ、ハーモニーを奏でる社会を目指すべきだというような示唆を貰ったような気がしました。
ドミニク・チェンさんが「未来をつくる言葉: わかりあえなさをつなぐために」の中で書かれていたように、【まず分かり合えていないことを確認し、お互いにしっかりと受け止める】、【その上で同じ場所に存在し、進んで行くことをお互いに受け入れる】というのも、それに近いような感覚なのかもしれません。
環説明を説明するときに、よく事例としてだされる「マダニ」。マダニには視覚や聴覚がないと言われていて、かわりに嗅覚、触覚、そして温度を感じる能力が発達しているとされています。彼らは、動物が通るときの微妙な酪酸の匂いや温度を感じ取り、動物に飛び付き(木から落下し)、血を吸います。
そんなマダニを見たときに、おそらく視覚に障がいがあるということを思う人は少ないでしょう。マダニの視覚について敢えて意識することもないかもしれないですし、あっても視覚の機能が弱いねというくらい軽い意識で、むしろ「匂いでわかるの?」という特徴的な機能に意識が行くなのではないでしょうか。
ヒトにおいて、「障がい」と言われているようなものもそんなものなんだと思います。人それぞれ、障がいというよりも機能のレベルにバラツキがある。国語が得意な人がいれば、算数が苦手な人もいる。走るのが苦手な人もいれば、投げるのが得意な人もいる。覚えるのが得意な人もいれば、苦手な人もいる。そんなもんだ。
このような機能のバランスの多様性を、画一的なレベルに合わせようとするのではなく、違うバランスをどう活かすのか、ハーモニーを作るのか。和音とかいろんな特徴を持つ楽器で実現されるオーケストラみたいなイメージです。
プロジェクトを振り返ってみて、そしてたまたまパラリンピックもやっていたから、環世界に意識を向けるというのは、他者への興味や寛容さを引き出し、結果として、異なるものの美しい調和を実現していこうとすることなんだろうな、と改めて思いました。
だからなんだ???って言われそうですが、自分以外の「環世界」に目を向けてみるコトって結構楽しいし、さらにその調和を考えるって結構オモシロイのでは??と思います。というわけで、しばらく「環世界」押しでいきますっ!!
では、また来週~~
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安藤健(@takecando)
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