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SXSWを機に改めて原体験を振り返ってみた

楽しみにしておりました米国オースティンでのSXSWは、残念ながら、中止になりました。これまで準備してきた方々の努力を考えると、本当に大変な判断だったと思います。

我々の部隊「Aug Lab」はパナソニックブースでAug Labのコンセプトと3つほどのプロタイプを展示することになっていましたが、残念ながらグローバルデビューは少し先に見送りです。

また、個人的には公式セッションでのパネル「Robotics for Well-being」の機会を頂く予定でした。このパネルでは、我々がなぜAugmentationなどのテクノロジーに着目し、さらにWell-beingや幸せということをキーワードに取り組みをしているのかということをご紹介したあとに、AIやエンターテイメントの第一線の人たちとパネルディスカッションを実施する予定でした。

In many parts of the world we live in safety and our lives are predictable. But are we happy? This panel will explore how business, science and entertainment can come together to find new solutions that ensure humanity lives happier lives in concert with technology. We’ll look at how we make sense of reality through human-centred storytelling and technology solutions that help enrich the human experience. Panelists will discuss how AI, robots and human-assisted devices can improve our well-being on physical, emotional and social levels. Join our panel at the intersection of Technology, Business, Science and Entertainment. Meet and greet our inspiring panelists Takeshi Ando, Ann Greenberg and Hal Puthoff. Also featuring, prototypes from Panasonic’s Aug Lab.

このセッションを開催するにあたり、本当に多くの方の協力を頂いておりました。どのようにすれば、我々の活動の目的に興味を持って頂けるか?理解をして貰えるのか?社内の広報部門に加えて、社外かつグローバルに知見・経験のある方々と何度もディスカッションをさせて頂く機会を頂きました。民間企業のエンジニアがこのような貴重な機会を頂けましたこと、感謝の言葉しか見つかりません。

その中で様々な人から何度も聞かれたのが、

「なぜAug Labという活動をしようと思ったのか?」

ということでした。ロボットをやってきた私がなぜ自動化ではなく、ヒトに興味を持ち、幸せやWell-beingということに興味を持ったのか?。会社で説明するような社会動向、社会課題、適社度などなどは一旦置いておいて、めちゃくちゃ個人的な理由として、なぜやろうと思ったのか?ということです。

おそらくこれは小さい頃から今に至るまで様々な自分自身の経験の中で創られるモノだとは思いますが、ファミリーヒストリーも含めて色々と振り返ってみた結果、大学自体に行なっていた

●重度障害児向けの電動車いすの研究開発
●末期癌患者向けの寝返り支援装置の研究開発
●片麻痺患者の歩行支援ロボットの研究開発

が結構コアになっていることがわかりました。もちろん、これ以外の小さいときに受けた親、祖母などの言葉、中学時代の環境など様々な体験などが影響しているのは間違い無いのですが、上の3つの研究開発は特に強い影響をもたらしていると思います。

ただし、いずれも研究開発の技術そのものというよりは、車いすの場合には『親と子供の関係性からみた幸せ』、寝返り支援の場合には『末期癌患者さん、小児癌患者さんの様子を見ながら感じた生きるとは死ぬとはなんなのかということ』、片麻痺患者の歩行支援の場合には『身近なところで起きた片麻痺という現場を通して感じたテクノロジーが実際には使われないということ』、など研究開発の中で経験したテクノロジーが出来ること、更にはテクノロジーではどうしようもなかったことにぶち当たったときの激しい心の動揺が、猛烈に印象に残っています。

いずれの場合も、文字通り、なんとか生きようと、もしくはありたい自分でいようと、踏ん張っている人がいました。

そして、ちょっとだけ役に立った僅かな経験と多くの場合ほとんど何も出来なかった自分もいました。

おそらく、このような原体験(原体験と言うには歳を取り過ぎているかもしれませんが・・・)のような経験の一つ一つが今、Aug Labという形で、『自分がしたいことをする』ための、『ありたい姿でいる』ための、そして『うちに秘めているものを引き出す』ためのテクノロジーの使い方、というところに結びついているのだと思います。

今回は原体験という完全にプライベートな話になってしまい申し訳ありませんが、皆んなで準備してきたSXSWが中止になり、ちょっとセンチメンタルな気分ということでお許しください。

AugLabの世界デビューはもう少し先までお待ち下さい!
では、また来週。

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安藤 健/ロボット開発者
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