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ロボット3原則のアシモフが予測した50年後の万博はかなりの精度!?

アイザック・アシモフ。

著書”I, Robot ”(われはロボット)の中で、有名な「ロボット3原則」を示した人です。

第一条
ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条
ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条
ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。

映画化もされているので、業界関係者以外でも沢山いるんだと思います。

というわけで、勝手にアイザック・アシモフのことをロボットSF小説家と思っていたわけですが、先日たまたまなのですが、どうやら小説家とか言う次元ではない凄い人だと気づきました。特に、50年以上前の未来予測は秀逸ですので、ちょっと纏めて起きたいと思います。

たまたま選んだ本の参考文献

正月の宿題としてたまたま2冊の本を読みました。なぜか2冊とも資本主義の限界みたいな話でした。オススメです!

山口周さん「ビジネスの未来」の方の途中で「アシモフ」の名前が出てきたのです。脱資本主義みたいな文脈でなぜロボットのアシモフの名前が出てくるんだろう?と不思議に思いながら読み進めてみると、1964年にNY Timesで50年後の技術を予測し、その予測が結構当たっている、というようなことが書かれていました。

「えっ、アシモフってロボットの人じゃないの???」

と想い、すぐにWikipediaで調べて見ると、

アイザック・アシモフ(Isaac Asimov、1920年1月2日 – 1992年4月6日)は、アメリカ合衆国の作家・生化学者(ボストン大学教授)である。その著作は500冊以上を数える。彼が扱うテーマは科学・言語・歴史・聖書など多岐にわたり、デューイ十進分類法の10ある主要カテゴリのうち9つに渡るが、特にSF、一般向け科学解説書、推理小説によってよく知られている。

まずは、「大学の教授だったのか!」、「しかも、生化学!!」、「そして、著書500冊!!!」。ロボットはアシモフ先生のほんの一部だったんですね。全然知りませんでした。

1964年時点で2014年の万博ネタを予測

山口周さんの本に参考文献が付いていたので、NEWYORK TIMESの1964年8月16日のアシモフによる記事を見てみました。

1964年に行われたニューヨーク万博の状況を踏まえて、その50年後の2014年の万博にはどんなものが出展されているだろうか、という問いにアシモフが答えているという記事になります。

DeepLを使って、ざっくりと日本語訳を見てみると以下のような感じです。全文は長いので、一部は削っています。ちゃんと原文みたい方は上記リンクをご確認ください。

自分に合った環境を整えるために、自然から離れていく。2014年には、電気を光にするパネルが一般的に使われるようになるでしょう。天井や壁は柔らかく光り、ボタンを押すだけで様々な色に変化します。窓は古風なタッチ以上のものである必要はなく、存在していても、過酷な太陽光を遮断するために偏光されます。ガラスの不透明度も、光の強さに応じて自動的に変化させることができる。フェアには、未来を予感させる地下の家がある。窓が偏光していなくても、照明の変化によって「景色」を変えることができる。地下にある郊外の家は、温度管理が容易で、天候の激変から解放され、空気がきれいで、光がコントロールされている、かなり一般的なものでなければならない。
退屈な仕事から解放される道具も沢山できる。お湯を沸かしてコーヒーに変えたり、パンをトーストしたり、卵を焼いたり、ポークしたり、スクランブルにしたり、ベーコンを焼いたり、といった「オートミール」を調理するキッチンユニットが考案されるだろう。朝食は前夜に「注文」して、翌朝の指定時間までに用意する。昼食や夕食は、半調理済みの状態で冷凍庫に保存され、加工の準備ができるまで保存される。しかし、2014年になっても、特に来客がある場合には、キッチンに小さなコーナーを設けて、個別の食事を手作りできるようにしておくことが望ましいのではないかと私は考えている。
ロボットは2014年には一般的にも非常にもならないだろうが、存在するだろう。ロボットの「頭脳」として機能するのは、はるかに小型化されたそのようなコンピュータになるだろう。実際、2014年の万国博覧会のI.B.M.ビルには、その主要な展示物の一つとして、大きくて、不器用で、ゆっくりと動くが、一般的なピックアップ、整理、掃除、様々な電化製品の操作が可能なロボットがあるかもしれない。床に散らばったゴミを、ロボットがゴチャゴチャと取り除いて「捨てる」と「置いておく」に分類する姿は、来場者の目を楽しませてくれることは間違いありません。園芸用のロボットも登場します。
2014年の家電製品には、もちろん電気コードがない。放射性同位元素を使った長寿命の電池が使われるからだ。2014年までには、人類が必要とする電力の半分以上を供給することになる核分裂発電所の産物であるからです。しかし、アイソタイプ電池を使い切った後は、製造元の正規代理店を通じてのみ廃棄されることになる。
2014年にはすでに実験的な核融合発電所が1つや2つ存在しているだろう。大規模な太陽光発電所は、アリゾナ、ネゲブ、カザフスタンなどの砂漠や半砂漠地帯でも稼働しているでしょう。より混雑しているが、曇っていてスモッグが多い地域では、太陽光発電はあまり実用的ではないだろう。2014年のフェアでは、巨大な放物線状の集光装置を使って太陽光を集め、集めたエネルギーを地球に放射する宇宙の発電所の模型が展示される。
50年後の世界はさらに縮小しているだろう。少なくとも世界の先進地域の高速道路は2014年にピークを迎える可能性が高く、路面との接触を最小限に抑える交通手段が重視されるようになるだろう。もちろん航空機もありますが、地上での移動でさえも、地上から1~2フィートの距離を移動することが多くなるでしょう。2014年までには、4本の圧縮空気を噴射することで、液体や固体の表面に接触しないようになっています。圧縮空気のジェットはまた、高速道路から陸上車両を持ち上げることになり、とりわけ舗装の問題を最小限に抑えることになります。舗装と同様に、滑らかな土や平らな芝生でも問題ありません。橋も重要性が低くなります。
目的地を設定して、人間の遅い反射神経に邪魔されずに目的地まで進む「ロボット脳」を搭載した車の設計に力を入れていくことになるでしょう。2014年の展示会の目玉の一つは、人混みの中を2フィート程度の高さの小さなロボットカーが、自動的にお互いを避けながら整然と移動する乗り物ではないでしょうか。
短距離の移動のために、動く歩道が繁華街にある。すべての駐車場が路上駐車になることと、トラックの配達の少なくとも80%が市の縁の特定の固定センターへの配達になるためだけに、交通は継続されるでしょう。圧縮空気のチューブが商品や材料をローカルな区間で運ぶようになり、特定の貨物を特定の目的地に配置するためのスイッチング装置は、この都市の驚異の一つとなるだろう。
通信は視覚音になり、電話をかけた相手の声を聞くだけでなく、見ることもできるようになります。画面は、電話をかけた相手を見るだけでなく、書類や写真を調べたり、本の一節を読んだりするのにも使えるようになる。宇宙空間でホバリングしている同期衛星は、南極の気象観測所を含め、地球上のあらゆる場所にダイレクトダイヤルすることを可能にします。
月面コロニーでは、大型ソフトタイヤを装着した印象的な乗り物が展示されていますが、これは自然衛星上に存在するかもしれない起伏のある地形を乗り越えるためのものです。地球と月の間では、宇宙空間での操作が容易なレーザー光を変調させれば、何度でも同時に会話をすることができます。しかし、地球上では、レーザービームは、材料や大気の干渉を避けるために、プラスチックパイプを介して導かれなければならないでしょう。月との会話は、些細な不快なものになりますが、その方法では、2.5秒遅れる。火星との同様の会話は、火星が最も近い時であっても、3.5分の遅延を経験するでしょう。しかし、2014年までには、有人探検が計画されているが、火星に着陸したのは無人の船だけです。
テレビは、従来のセットに代わって壁掛け式のスクリーンが登場しますが、立体視が可能な透明なキューブが登場します。実際、2014年の万国博覧会では、バレエのパフォーマンスが見られる等身大の3Dテレビが人気を集めています。キューブがゆっくりと回転して、あらゆる角度から見ることができます。
人口圧迫により、砂漠や極地への進出が加速するだろう。水中住宅は、ウォータースポーツが好きな人には魅力的なものになるだろうし、間違いなく、食糧と鉱物の両方の海洋資源のより効率的な搾取を奨励するだろう。2014年の万国博覧会では、深海の都市を示す展示が行われ、深海を越えて深海に人や物資を運ぶバティスカフライナーが展示されます。
通常の農業は非常に困難に追いつき、より効率的な微生物に転向する「農場」があるでしょう。酵母や藻類の加工品は、様々なフレーバーで提供されます。2014年のフェアでは、「モックターキー」や「シュードステーキ」などを提供する「アルゲス・バー」を設置。全然悪くないでしょうが、このようなイノベーションにはかなりの心理的抵抗があるでしょう。
世界のすべての人口が、未来のガジェット的な世界を満喫するわけではない。今日よりも多くの部分が奪われ、物質的には今日よりも恵まれているかもしれませんが、世界の先進的な部分と比較した場合、彼らはさらに遅れをとるでしょう。このままでは、技術が人口増加に追いつき続けることはできません。
故障した心臓や腎臓の代わりに、硬くなった動脈や壊れた神経を修復するための機械装置の使用が増加しているため、死亡率はさらに低下し、世界の一部の地域では平均寿命が85歳まで上昇しています。したがって、合理的で人道的な方法による避妊法を支持する世界的なプロパガンダが行われ、2014年までには、それが深刻な効果をもたらしていることは間違いない。人口の増加率は鈍化しているだろう。
自動化の進展により、状況はより深刻なものになっているだろう。西暦2014年の世界では、人間よりも機械の方が良い仕事をするものがほとんど。人類は、したがって、主に機械入札のレースになっているでしょう。学校はこの方向に向けられなければならないでしょう。高校生は皆、コンピュータ技術の基礎を教えられ、二進法に習熟し、現代の「Fortran」のようなコンピュータ言語を使いこなすための訓練を受けることになるだろう。そうは言っても、人類は「退屈病」という病気にひどく悩まされることになるだろう。これは精神的、感情的、社会的に深刻な結果をもたらすことになり、私はあえて言うが、2014年には精神医学が最も重要な医療分野になるだろう。あらゆる種類の創造的な仕事に携わることができる幸運な少数の人々は、人類の真のエリートとなるだろう。
実際、私が2014年の最も憂慮すべき憶測は、強制的な余暇の社会では、語彙の中で最も輝かしい単一の単語が「仕事」になってしまったということです。

もちろん、すべてが当たっているわけではないですし、実現されているものでも2014年という時間軸からズレているものもありますが、総じて言えばかなりの精度です。さすがアシモフ先生!!

ロボット関係で言うと、ほぼほぼ当たっていますね。サービスロボットというの珍しくもないが、普及もしていない。自動化という観点では、かなりのものがヒトを超えている。そして、自動運転の研究開発に没頭する。

それらを指摘した上で、「退屈」に悩まされ、精神的、感情的、社会的な健康さが重要になる。今で言うと、「Well-being」が重要になるという感じでしょうか。

アシモフ先生が指摘する「創造的な仕事」がどれだけ出来ているかはわかりませんが、確かな未来を見極める力と突破する力で、心配される強制的な余暇ではなく、予測を超える楽しさに満ちあふれた社会に挑んでいければと思います。

では、また来週~

安藤健@takecando

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安藤 健/ロボット開発者
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