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似顔絵ロボットが感じさせる創造の片鱗にちょっとびっくりした話。
正月休みにすっかりAmazonプライムでキングダムのアニメを見ることにハマってしまいました。今回はアニメ繋がりということで、似顔絵ロボットについて。
たまたまですが、ロボットが似顔絵を書くというデモを見せて頂くことができました。初めての体験です。
ロボットが似顔絵を書くというのは、結構歴史のあるデモです。最初に行われたのがいつかはわかりませんが、1985年の筑波での科学万博ではパナソニック(当時は松下)がデモしていますし、2005年の愛知万博でもデモされているようです。
書いた似顔絵を持って帰ってもらえるという意味では、一般の方向けのデモとしても良いですね。ロボットの技術としても画像認識、先端制御とそれなりに技術が揃っていて説明しやすいというのもメーカー側としては良いです。硬いペンとかではなく、筆とかで描いたみたり、柔らかい風船に書いてみたりと、技術アピールにもなるのかもです。一般の方からしてみればどっちでも良いのかもしれませんが。
最近では、川崎重工業が双腕ロボットのduAroを使って、展示会で似顔絵のデモをしているのを見たことがあります。今でもお台場の展示場とかで体験できるようです。(コロナの状況によるかもしれませんので、最新の状況はご確認下さい)
というわけで、ロボットが似顔絵を書くのを目の前で見ていたのですが、なんか不思議な気持ちになりました。
プロのイラストレータや漫画家の方がどうやって人の顔を描いているかは存じ上げていませんが、少なくとも身近で見たことがある顔の書き方とは全く違うわけです。
多くの人は輪郭とか目、鼻とかパーツ毎に描いていくと思うのですが、今回私が見させてもらった似顔絵ロボットはかなりランダムに描いていました。
まず輪郭の一部を描いたと思いきや、次は髪の一部を描いて、次は片方の目を描いて、また輪郭に戻ってという感じです。はっきり言って脈絡は感じられません。ただし、なんか感じました。不思議な感じです。なにか芸術的というか、『あーこうやって人の顔って生まれていくんだ』という、言い過ぎかもしれませんが、少し神秘的な感じ。
言ってしまえば、ロボットなので、完全にアルゴリズムで動いています。写真を撮影して、おそらく輝度情報とか、輪郭抽出とかいわゆる画像処理技術を使って、各マス毎を色を付けるか付けないかをきめていく。その結果をロボットアームの先端に付けたペンがなぞっていく。その際には、総移動距離が一番短くなるようにとか、一番早く描けるようにとか、もしくは左側から描いていくとか。とにかく、数式化というかプログラムに落とし込まれているわけです。
その結果として動いているロボットが描いている似顔絵を見て、なぜか神秘的だなぁと思ってしまった。アルゴリズムに従って機械的に描いているなあとか、めちゃくちゃな書き方だなぁとは思わなかったわけです。開発者の方がどこまで狙って制御しているのかはわかりませんが、とにかくスゴイなぁと思いました。
なぜそう思ったかは、正直よくわかりません。
創造性、神秘さはロボットが生み出したのか。それとも、あくまでもそのアルゴリズムを作ったヒトが生み出したものなのか。
ヒトがロボットと同じような順番で描いたときには神秘さを感じるのだろうか。
AI(人口知能)の世界は、GANなどの自動生成技術により、今までなかった写真や絵が自動的に生み出されているということで、数年前からちょこちょこ話題になっていたかと思います。
ロボットにおいても、たとえ絵自体は実在のものであっても、その描き方、すなわちアクチュエーションの仕方で随分と印象が変わるということがわかりました。
創造性とかアートとかヒトのヒトらしさの根源とも言えるようなところも、テクノロジーによって概念が変わっていくということなのかもしれません。もしかしたら、ヒトだけのものではないのかもしれませんね。
ロボットの勉強をさせて頂くために、たまたま見せて頂いた似顔絵ロボットでしたが、創造とは何なのか?という面白い問いを頂くことができました。
では、また来週~
安藤健@takecando
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