国家戦略特区について③
今回、国家戦略特区の規制緩和メニューにないケースを例に書いていきます。
【概要】
耕作放棄地、荒廃農地を観光農園として利用するにあたり、農園から採れる作物を加工する場所、加工したものを物販やカフェとして提供するスペースを設けたいが、こう言った類の農地は農道しか通っておらず接道要件を満たしていないケースが多くみられる。建築基準法上の接道要件は安全な通行、災害が起きた際に車両が侵入できる経路の確保のためといった理由があるが、一定の条件下で緩和する方法がないかというところから、国家戦略特区の利用を検討するが、規制緩和メニューとして前例がないため内閣府に新しい規制緩和メニューの創設を認めてもらう必要がある。
※現在ある国家戦略特区の規制緩和メニュー
https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/menu.html
【規制緩和メニューの提案フロー】
1,内閣府に規制緩和メニューの提案
窓口:地方創生推進事務局
提案方法:下記URLの提案様式を策定の上、電子メールにて送付。
https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/teian.html
規制改革メニューの提案は民間のみでやることも可能だが、もしメニューが追加されたとしても区域計画を取りまとめている都道府県から個別に事業認定を受ける必要があるため、都道府県を窓口にして内閣府への規制緩和メニューの提案をする方がよい。
☆神奈川県を窓口に内閣府に規制緩和メニューの提案をする場合☆
◆担当課:政策局 いのち・未来戦略本部室(以下、担当課)
◆提案フロー
①下記3点の資料を策定しメールにて送る。
・事業内容
・事業内容がどういった社会課題に貢献するか。
・この事業を行うにあたってどの部分について緩和措置が必要か。
※内閣府のHPにある提案書を使ってもよい
②必要に応じて一度担当課と面談
③制省庁に対して、担当課から上記に対して規制緩和を促す。その過程で必要となる情報に関して申請者とやり取りをして進めていく。
2、提案内容を省庁と調整
提案内容を基に地方創生推進事務局が関係省庁に説明。(今回のケースの場合は国交省と農水省)
その過程で追加の書類や必要であれば実際に事業者も含めた説明の機会を設け、やりとりを重ねて審議を進めていく。
※審査期間は早ければ半年などのケースもあるが1年が平均で長いと2年ほどやり取りしている場合もある。また審査の結果メニューにならないケースもある。
3、認定について
認定された場合、国家戦略特区の規制緩和メニュー又は構造改革特区のどちらかで認定されます。よって認定された制度によって個別の事業認定の進め方が変わっていくことになります。
☆個別事業認定にあたって国家戦略特区と構造改革特区の大まかな違い☆
・国家戦略特区
規制緩和メニューが使える地域が決められていて、該当地域の都道府県に事業計画の提案申請をしていく。
・構造改革特区
都道府県、市町村を窓口として手を上げれば規制緩和メニューを使うことができる。
※本ケースは都道府県を介して内閣府に規制緩和メニューの提案からスタートすることから、提案する規制緩和メニューが認められる場合は都道府県にもこちらの事業計画の確認が十分に考慮されているためどちらの制度に転ぶかはさほど問題はない。
といった感じで、読んでいるだけでめちゃめちゃハードルが高いことがわかり、やる気が削がれそうですが、法律という世の中の共通ルールを緩和するわけですから並大抵の労力ではできないということですね。それだけ前提となる計画を作るための事前調査はしっかりやらなければですね。
度々になりますが利用する方は中長期的な計画になるため腰を据えて取り組んでみてください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?