Vol.2 竹内譲次 愚直という才能
ダラダラしてしまうのが「嫌だから」と
オフシーズンの練習は一人で淡々とこなす。
試合でチームの出来が良かったとしても、
自分自身のダメだったプレーの方を
思い出してしまう。
アルバルク東京の竹内譲次の魅力は
そんな完璧主義者のように愚直な一面だろう。
日本バスケ 日陰の時代をど真ん中で支える
父の影響で、
小学校4年生までラグビーに打ち込んだ。
塾にも通いながら勉学に勤しんだ当時は
スポーツに打ち込む時間が
あまりなかったと言う。
中学に進みバスケ部に入部。
その理由は、
仲が良かった友達がこぞって入ると聞いたから。
そんな気分屋な所も
どこか竹内を微笑ましく思ってしまう一面だ。
(ちなみに当時の身長はすでに176cmあった)
試合に出られる喜びを知ったのは
先輩が抜けて代替わりした2年生の頃から。
そこから長い時をコートで過ごし、
目まぐるしいスピードで
日本トップへの階段を上る事となる。
21歳で知ったセカイ
高校3年で国体とウインターカップを二冠。
2006年には大学生ながら
自国開催の世界選手権で日本代表入り。
しかし、そこで感じた"世界"は、
能力もメンタルも全てが異次元だった。
ただ、それ以上に後悔として残ったのが、
マインドセットの部分でもあった。
当時の僕の21歳ってそれほど
日本の期待を背負うだったり
そういう意識が乏しかったので、
本当にどれだけ大きな大会かっていうのが
意識できてなかったなと思います。
もっといろんなことにトライしたり、
失敗して失うものなんかないのに、
ただ単に試合をしてしまったっていうのがある。
もったいなかったなと思いますね。
あれから13年。
その間、日本代表は世界舞台はおろか、
アジアでも勝てず、長く暗いトンネルにいた。
竹内にとっても代表で歩んできた歴史は、
嬉しい事ばかりではなかったかもしれない。
<竹内譲次 代表主要大会>
オリンピック・ワールドカップ
出場なし
アジア選手権
2007年 8位/09年 10位/11年 7位/15年 4位
それでも、
次々に現れる障壁にぶち当たっては
克服できるまで鍛錬する。
魅力として挙げたまっすぐな愚直さが、
今日に至るまで成長の歩を
止めなかった秘訣だろう。
成長意欲を掻き立てる"日本の未来"
去年、メディア関係者の中で
よく聞いたフレーズがある。
「竹内 譲次の覚醒が目覚ましい。
以前より一段も二段も進化している」と。
その事について、
本人に聞いてみたことがあるが、
決して自身で自覚してる訳ではなかった。
ただ、ある男の存在は、
確実に刺激になっているとも言った。
それが、八村塁である。
八村が日本代表に合流したのは2018年。
当時、アメリカのゴンザガ大学で
華々しい活躍を見せ、
NBAのチームからも注目されていた頃だ。
代表練習でマッチアップする中で、
ある感情が湧いたと言う。
高校生のときの彼を知っていて、
そこからの伸び幅というか、
こんなに成長できるんだっていう関心と、
同時に自分も彼に負けじと
もっと成長したいなっていう気持ちが
どんどん湧いてきて、
練習で彼とマッチアップする中で
いい競い合いが出来て、
自分自身成長することが
出来たんじゃないかなと思います。
例え相手が、
自分より一回り以上離れた"若手"でも、
目の前に課題が見つかれば、
納得のいくまで鍛錬するだけ。
完璧を追い求める姿勢は、
昔からちっとも変わってはいない。
竹内はその点をこうも語っている。
自分の中で、
その解決方法を探していくというか、
このプレーでやられた、
じゃあ今度はこうしてみようっていう。
経験に基づいて試行錯誤することによって
だんだんマシにはなっていくというか
解決できていったりするので。
その宿題に対して
自分がどうこなしていくかっていうのは
やっぱり大事にしていますね。
自分に不足している欠点を真摯に認め、
「解決するまでやり抜く力」。
これこそが、
竹内最大の才能と思わずにいられない。
やり続けられる才能が限界を作らない
2019年の夏。
竹内は13年ぶりに2度目の世界に挑んだ。
結果は、5戦全敗。
日々成長してるのは世界も同じ。
またしてもレベルの差を痛感した。
しかし、
過去を嘆いても未来は変わらない事を
竹内は知っている。
新たな宿題を見つけ、
世界との埋めるべき差を認識したら、
また明日から変わらず、克服に勤しむだけだ。
このマインドセットがある限り、
竹内は進化を止める事はないだろう。
もう一つ、成長に不可欠な͡コトとして
能力を引き出してくれる周りの存在も大きい。
所属するアルバルク東京の
ルカ・パヴィチェヴィッチHCは
中でも大きな存在の一人だろう。
竹内自身、彼への信頼は厚い。
【ぜひ、5分30秒~を聞いてもらいたい】
竹内は以前、
ルカHCからこんな事を言われたと言う。
「まだまだお前は成長できる。
カール・マローンは
35歳の時に一番いいシーズンを過ごした」
みたいなこと言われて、
コーチも本気で自分に向き合ってくれるので、
そういう言葉信じて、
自分もそれに応えたい。
※カール・マローン
NBA歴代第2位の通算得点記録を持つ
史上屈指のパワー・フォワード。(36,928得点)
30代中盤の97・99年にMVPを獲得した。
来たる2020-21シーズン。
竹内譲次は35歳で新たなスタートを切る。
さらにその先に待っているのは、
初めてとなる自国開催のオリンピックだ。
「キャリアの全盛期がいつだったか」
なんて終わってみないと分からないもの。
何年か経って振り返った時、
「現役最後の年が一番輝いていた」と
伝説として語り継がれるような活躍を
今後も期待せずにはいられない。
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