📖アクアテラリウム、そして誰もいなくなった・・・
塾の1階の入り口近くに「アクアテラリウム」があった。
アクアテラリウムとは、水槽の中に陸地を作り、これまでの「観賞魚」と「水草」だけの空間に、陸上植物を栽培する要素を取り入れたものだ。
最初はエビが2種類、魚もメダカとアカヒレの2種類いた。
しかし、徐々に赤と白の縞模様のエビがいなくなり、透明なエビもいなくなった。気が付くとメダカが少なくなっているような気がする。
そして、大きく目立っていたメダカの大将の姿が消え、ついにアカヒレだけの水槽になってしまった。
なぜ、アカヒレだけが生き残ったのだろう?
メダカはのんびりと泳ぎ、えさを与えても慌てて食べることはないが、アカヒレは餌をやるとあっという間に気付いて、我先と水面をぴちぴちさせながら食べている。
アカヒレの方が、生きることにどん欲なのだ。
アカヒレには申し訳ないが、私の中ではアカヒレは凶暴な悪者支配者。メダカは穏やかにつつましく生きている庶民というイメージだ。
アカヒレはいつエビやメダカを攻撃していたのだろう。私が水槽の手入れをしているときにはそのような素振りはみじんも見せなかった。
きっと、アカヒレという種はもともと凶暴な魚で、他の魚と一緒に飼ってはいけないのではないかと不安になって、ググってみた。
その結果、「温厚な性格」で「混泳相性が良い」と書いてあった・・・(?)。
どうも、信じられない・・・。
そうだとすると、エビやメダカの消失は、どう説明するのだろう。ググった結果と、現実は明らかにずれている。
私は、夜LEDも消され、誰もいなくなってから、アカヒレ同士で会議を開いて、人間に気付かれないように、メダカたちへの攻撃作戦を立てている「めだかの学校」とは似ても似つかない「アカヒレの軍隊」のイメージがちょっと面白くなってしまった。
実際には、エビやメダカが寒さや暑さに弱かっただけかもしれないのだ。
アカヒレが悪者である証拠はどこにもない。申し訳ないので、お詫びに水槽の大掃除をしてあげようと思っていた矢先、「いきものがかり」である私が退職し、その後、塾のオーナーの意向で、アクアテラリウムが撤去されたらしい。
その後の「アカヒレ軍隊」の行方はだれも知らないが、他の観賞魚たちと同じ水槽には入れないでほしいと願っている。
自然界は厳しい。まあ、人間も含めての自然界だけど・・・。