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紙の本を読みなよ

NHKで、子供の「体験格差」について特集していたらしく、トレンドに上がっていた。
私は番組自体を観ていないので詳細は知らないが、それについて語る人たちの意見を見ると、親の学歴や収入の格差で影響が出る、ということらしい。

うーん…そうかな?
私はそれよりは親の意識の問題だと思うけれど。
子供がいないから、自分のことにはなってしまうが、私はそんなに体験格差が問題だと思ったことはない。

体験って、一人ひとり違うものでしょう?

確かに一流の文化に触れてきた人と、俗な文化しか知らない人とは違う。違うけれど、どちらが良いとは言えない。
そういうものじゃないかな?

子供が興味を持っていれば、成長して取り戻せる体験はあるし、それが遅すぎるってこともない。
興味を持つこと、興味を持つものに出会えるかどうかが重要じゃない?
そしてそれは、必ずしも実体験でなければならない理由はないし、お金をかけなければできないことでもない。
影響があるとすれば、例えばヤングケアラーで子供自身の時間がないとか、コロナ禍でそもそも学校生活が送れないとか、そういう環境要因じゃないかな。

自治体では無料や安い料金で開催されるイベントや展示会をしょっちゅうやってる。
体験させたいなら参加するのはそう難しくないと思う。

もちろん、低収入で休みなく働かなければならないなら連れて行くことは難しいかもしれない。けど、ずっと週7で働いてる人は流石にほとんどいないだろう。
子供に体験させたい、という意識さえあれば、年に数回でも参加することは可能なはず。
数が少ないことはそこまで問題ではないと思う。だって子供にとっては特別な体験になり、強く印象づけられるはずだから。

それすら難しいと言うなら、図書館に通えばいい。
タイトルはPSYCHO-PASSというアニメの中の台詞だけれど(正確には書店配布の栞だったような。原作では「紙の本を買いなよ」だった)、紙の本を読むことは、立派な体験になる。

図書館は全国どこにでもあるはずだし、もちろん無料で利用できる。絵本もラノベも一般書も専門書もある。幼児も小中学生も大人も利用できる。本を借りてきて、自宅で読むこともできる。

読書習慣がないとか、活字離れとか、色々言われるけれど、「面白い」と思える本は絶対あると思うんだよね。
絵本や写真集でもいいし、児童書なんか大人が読んでも面白いものはたくさんある。読むことが苦痛なら、朗読CDとかもある。
子供って単純だから、何かひとつでも琴線に触れて面白いと思ったらのめり込むものだし。
宝探しみたいに、たくさんの本の中から自分にとって面白い本を探し出すのは、ワクワクしない?

私自身は子供の頃の体験がそう多い方ではないと思うのだけれど、読書から得られた知識や、主人公たちに感情移入して一緒に体験したことが、今も大きな財産になっていると思う。
読書での体験が実際に役立ったり、参考になることは多いし、何より「自分以外の価値観に触れられる」という体験は貴重なものだ。

誰でも、キッカケさえあれば楽しめる体験だと思う。

電子書籍でも良いのだけれど、物質的な本の表紙や手触り、インクの匂い、重み、そしてページをめくる動作やその音、五感すべてを使って本を読むという行為をした方が体験として残ると思う。
だから私は紙の本をオススメする。

無理して何かしなくても、今ある制度で充分な体験ができるのに、もったいないなー、と思って。
ちょっと頭でっかちになってるんじゃないかな。
体験なんて、人それぞれでいいんだよ。だから人間って面白いんだし。

あと、例えば音楽とかスポーツとか、幼少期からの教育が重要になる分野もあるけど、本当に才能ある人間は絶対に埋もれないものだ、ということは言いたい。
多少のハンディキャップはあるにせよ、ホンモノはそれすら燃料にしてしまうから。

体験が少ないと卑下することもないし、体験が豊かだから立派な人間になる訳でもない。
こうして「格差ダー!」って騒いで、あたかも差があるように思わせようとするのは、あまりにも貧しいんじゃないかな。

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