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個人間カーシェアのリスク対策①

昨年10月のAnycaのサービス終了発表の際は、トップ画像のYahoo!ニュースと同様に「トラブル頻発」が終了の理由という論調で各メディアも報道していました。
意図としては、スポンサー様にとって望ましいニュースと判断して、報道されたわけです。

このニュースが望ましいスポンサー様とは、大手レンタカー会社や自動車メーカーです。
個人間カーシェアがポジティブな存在として普及拡大していけば、かれらにとっては脅威です。したがって、当然メディアはネガティブな印象を拡大する意図で報道しています。

ご存知の方も多いと思いますが、旧メディアにおいてはスポンサー様に有益となるように、様々なニュースが報道されている、あるいは、「されず」にいます。
もちろん、昨今の騒動から分かる通り、旧メディアはスポンサー様のみならず、利害関係者と利害組織ならびにその組織や組織の上層部にとって、有益か否かにより様々なニュースが報道され、あるいは「されず」にいます。

ちなみに、エニカはDeNAと損保ジャパンの出資で設立され運営されていましたので、エニカ終了によって、この二つのスポンサーへの配慮が必要なくなったため「これまで報道する事が全く無かった個人間カーシェアのトラブル」を取り上げたわけです。そして、レンタカー会社や自動車メーカーといった今後も大切なスポンサー様には有益なニュースとして報道されたわけですね。

他方、いわゆる新メディアと言われるYouTubeで散見される個人間カーシェアに関してのネガティブな取り上げ方は、旧メディアの論調に乗っただけ、それだけです。
つまり、旧メディアの論調に沿うだけで再生回数が上がりそうなニュースであれば、旧メディアそのままの論調で、それらを「ソース」として動画を作成し、配信しているだけです。

個人間カーシェア関連動画

そこで、新旧メディア共に印象操作でしかなかったのでは?となると、実際にはどれくらいの件数の事件や事故といったトラブルがあったのでしょうか?

トップ画像のYahoo!ニュースの記事では、個人間カーシェアで「よくあるトラブル」として5つのトラブルを解説していますが、実際に被害に合った方に取材をしているわけでもなく、トラブエル件数などをエニカに取材したわけでもなく「よくある」としています。
個人間カーシェアのリスクを正しく認識するためには、一般的なマイカー使用時でのトラブル発生率、事故や事件といった被害の発生率に関しても言及すべきですが、それらの具体的な件数や統計的な数値も一切用いずに「よくある」としています。

私自身がテレビで見た報道ではエニカで盗難の被害に合った方(1名)のインタビューで、貸した車は今や2000~3000万円超と言うプレミア価格になっている34GTRでした。
プレミアの理由はハリウッド映画で大活躍した34GTRが米国の25年ルールによって超高額で販売される「輸出車」になり、国内においても超のつく希少価値が付いたためです。つまり超希少車であり、「よくある」車とは真逆の存在です。

このような希少かつ高額車両の盗難事件は、そもそもエニカの運営に問題あったために起きたと言えます。

どういうことかというと、エニカと逆の「正しい運営」の例としては、高級車専門の某レンタカー店では「法人会員限定」であり、そのために会員登録の際には会社の謄本や代表者の身分証明は当然のことながら、実際に運転される方の身分証明書、さらに調査するとすれば商工リサーチなどのデータベース、そこに会社の決算などの情報が無ければ、実際の決算書写し等といった可能な限りの情報を取得調査してのち「法人会員」として登録しているはずです。
これがすなわち、高級車を貸す側にとっての盗難対策、防犯対策として当然の運営の在り方です。

つまりエニカの運営の問題は、オーナー側としては「数千万の車をエニカを信用して登録して貸し出せてしまう」という点であり、ユーザー側からすれば「数千万円の車をエニカなら身分証明書だけで借りる事ができてしまう」という点でした。

そのような運営でしかなかったのですから、エニカは個人間カーシェアのための「ただの」プラットフォームでしかないこと、つまり「事件リスク」を対策するのはオーナー自身の責任であると明確に、登録したオーナーに伝える責任があったはずです。
しかし実際には、ずらずらと長い利用規約に「□同意します」で☑を入れるダケで貸し手も借り手も利用できる、という運営でした。

もちろんエニカには「事故」リスクに関しては、借り手のユーザーは1日自動車保険を必ず利用する、という運営上の仕組は用意されていました。
しかし「事件」に対するリスクを回避するためならば、特に34GTRのような希少かつ高級車の類であれば、前述の高級車専門レンタカー会社のように、借り手側にさらなる情報開示を求める運営と仕組が必要だったのではないでしょうか。
しかし、前述の通りエニカでは「事件」リスクに関しては対策を講じるような運営は一切なされておらず、オーナーに対しての重要な注意喚起もなされていませんでした。

もちろん皆さんが、ジモティーやSNSで個人間カーシェアを実践して貸し出す際も、エニカ利用時と同じく「事件リスク」に関しては全て自己責任です。
したがって、もし個人間カーシェアで高級車を貸し出すなら高級車専門レンタカー店同様に、法人限定かつ借り手の情報を可能な限り獲得して後、というのが対策方法の一つとなります。

もちろん、高級ではない車であっても、事件なんかには合いたくない!というのは当然です。
次回は、そのための具体的な対策方法や、根本的といえる対策方法と、前述したYahoo!ニュースが具体的な取材も無いまま「よくあるトラブル」としている5つのトラブルについても、対策方法を解説したいと思います。

また、根本的な対策ができない事情や状況におけるリスクに関しては、統計的に発表されている数値から、客観的に考察したいと思います。


参考:Yahoo!ニュース【やっぱりトラブルだらけでムリだったか! エニカのサービス終了で「個人間カーシェア」はほぼ絶滅】
https://news.yahoo.co.jp/articles/61f2802c8ea4fdf5de592e98ff97cac4be3a2453?page=1


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