(13)試合終了
1ヶ月はあっという間に過ぎた。
結局社会人チームに勝つことは、一度もなかった。しかし、初めて試合をした時に比べ差が縮まったのは明らかだった。得点が増え、失点は減った。セットプレーからの得点は増えたし、ロングシュートでの失点も減った。取り組んできたことは無駄ではなかったのだ。そして夏の本大会がスタートした。
35度を超える猛暑の中、一回戦がはじまった。
ホーヤ高校は本大会に出たことがなかった。初めて予選リーグを勝ち上がったのだ。誰一人としてこんなにも早く結果が出るとは思わなかっただろう。中には本大会初出場で初優勝ができると本気で思っている選手もいた。
チームの雰囲気は実際にとてもよく、コミュニケーションも良く取れていた。個々の力はまだまだだったがチームの総合力が高かったのだ。
初戦の相手はうちを同じく、本大会初出場のチーム。
試合は一進一退だった。
今までやってきたことを一つ一つ確かめるように、セットプレーからの得点、ロングシュート2点。守備の練習と思ってやっていたロングシュートの練習は、攻めの強力な武器になっていた。
しかし相手も予選を突破していきた強者。同点に追いつかれ、最後は逆転を期した。
「ピッピッピッー」
試合終了ーー
そして、それは新たな始まりの意味でもあった。
翌年の夏、彼らは東京都大会を優勝し全国大会出場を果たす。
夢は終わらない。
新たな始まりなのだ。