KY ロック !を観た
池袋には、ロサ会館という商業施設があり、なんと開業が1968年ということだから、56年前からどーーんと建っている西池袋のシンボル的なビル。
そこにある映画館シネマロサで、KYロック!を観てきました。
俳優の加藤雅也さんの還暦記念の映画、脚本と監督は、前田多美さん。
オール広島ロケということ。そこは光があたっているところではなく、路地や、立ち呑み屋、カウンターしかないようなバーの中や、公園のベンチ、印象的なシーンが多い橋など、その中で物語は進んでいく。
KY🟰加藤雅也さん演じる孝佑のKと、広島でバンド活動をしているミカカさん演じる豊のY、ふたりを中心にしたKY BROTHERSというロックバンド。
パンフレットの裏表紙はフライヤー風にできていてそこには、
1985 3.19 Hiroshima WOODY STREET
と表記されているから、長い付き合いだというのはわかる。
60歳を前にして、仕事を辞めてバンド活動にもう一度、夢を追うものと、去っていくもの。
そこには、ふたりにしか、わからない複雑な感情が渦巻いていて、胸が少し痛い。
そして、マドンナ的な(昭和!)琴子ちゃん演じる國武綾さんの揺れ動く心の変化や、
孝佑と夫婦関係にあった大塚寧々さん演じる智絵里の決して否定はしない、ほっと心休まるような存在があった。
好きなシーンのひとつは、花火のシーンかな。
あそこだけは、みんなが笑顔になれる瞬間があったと思う。
一番心に響いたシーンは豊の飲み屋のシーン。
カウンター越しにバンドメンバーの彰(久保モリソンさん)と豊の会話。
そこに、前述したふたりにしかわからない感情が滲みでていたように感じる。
豊が不在でライブをすることに決めた孝佑。
自分の道を進んでいく豊。
ラストシーンのそれぞれの自転車を漕ぐふたり。
ふたりがまた交わることはあるのだろうか。
サポートとして、バンドに参加したジョージ(ROLLY)や、幼馴染の健一(長江健次)バンドメンバーのベース担当の彰(久保モリソン)サイドギターとドラムスで出演のThe 東南西東の久保田洋司と大池茂文の脇を固まる布陣もいい味だしていましたね。
上映後には、いいところで挿入歌として採用されていたコータロー・アンド・ビザールメンの古市コータローさんとのトークショーがありました。
とても印象的に使われていた自転車のモチーフは前田監督がコータローさんに初めて会ったときのエピソードがあったことや、最初のサポートのギタリストの候補だったことや、池袋交差点24時もヒントになったということなど、いろんな話しが聞けてよかったです。
監督が一番言いたかった本当のKYの意味は、コータローさんとのトークショーでも語っていましたね。パンフレットにも書いてあったのでこれは実際に体験して感じてほしいところでもあります。