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DXをサクセスさせる3:組織変更管理(OCM)

前回までは、DXのための戦略、ロードマップの作り方といったIT部門に代表されるITサービス提供側の視点で解説をしてきた。
今回はITサービスを使う側に焦点を当てた組織変更管理についてみていこう。


組織変更管理とは

組織変更管理(Organizational Change Management)とは、DXの文脈では新しいテクノロジーを使った新しい仕組みや働き方を組織に導入する際に、組織の混乱を最小限にし、その定着を確実にすることを目指す、マネジメント手法である。

組織変更管理の重要性

人間は本能的に変化を嫌う性質がある。そのため組織には現状維持バイアスがかかっており、新しい仕組みや働き方に対して、抵抗することが普通である。
そのような状態で、新しいテクノロジーを使った新しい仕組みや働き方を組織に導入しようとしても、大きな反対活動が起こり計画が頓挫する、表面的には従うものの本心では納得できていないので水面下で(時には秘密で)従来の方法が続けられる、などが起こり得る。
そうなると、優れたDXの戦略やロードマップを持っていたとしても、その効果を発現することができない。
組織変更管理は、ITサービスの企画、設計、構築を担当している方々からは一見すると関係が薄いようにも感じられるが、DXの成果を最大限にするためには欠かせないパートであることを強調したい。

組織織変更管理の主な活動

OCMチームの発足

OCMチームの発足時期は、理想的には新しいITサービスや仕組みが導入される3ヶ月以上前である。変更対象の組織の大きさや変更の複雑さに応じて、さらに多くの時間が必要な場合がある。
まずは、OCMをリード・管理するOCMリーダーを決める必要がある。この役割の候補は、CIOを補佐するメンバー、コミュニケーションに長けたマーケティングチームのメンバー、OCMの外部コンサルタントから選ばれることが多い。
OCMリーダーは以下のような役割を担う。

  • OCMチーム発足のアナウンス

  • ステークホルダー影響度分析の実施

  • OCMに関するコミュニケーションの枠組みづくり

  • イネーブルメント計画の作成と実行

OCMチーム発足のアナウンス

OCMチームの発足を組織に公表する。OCMチームの目的は、DXの成功であり、新しいITサービスや仕組みが導入を確実にすることである。別の回で解説した、ビジョンミッションの伝達なども合わせて行うことを推奨する。
アナウンスの狙いは、これから起こる変化に対する会社の狙いを伝えること、変化による痛みもあるがそれを上回るメリットがあることを説明し、変化に対して前向きな雰囲気を醸成することである。

ステークホルダー影響度分析の実施

新しいITサービスや仕組みが導入が、組織にどのような影響を与えるのかについて、OCMリーダーが中心となり場合によって有識者のアドバイスを受けながら分析する。
具体的には変更によって影響を受ける対象者の特定(個人またはグループ)、影響の内容と深刻さ、効果的に移行するために必要なサポート、対象者へそれを周知する方法について分析する。
分析で取り扱う情報には、センシティブなもの、政治的なものも含まれる。分析結果は、公開せずOCMチーム内で管理することを推奨する。

OCMに関するコミュニケーションの枠組みづくり

ステークホルダー影響度分析の結果、変更に際して、深刻な影響を受ける個人またはグループが明らかになるので、その対象に対して、影響を最小限にするためのサポートを考え、変更を支援する必要がある。
その対策を考えるためには、変化を受ける方々とのコミュニケーションが必要になるので、OCMリーダーは組織を横断して対策を検討できるコミュニケーションの方法を設計する。対面の会議体のほか、オンラインで問い合わせや相談ができる社内SNS、検討資料を共有できるポータルサイトなどコミュニケーションを促進するさまざまなチャネルを組み合わせるとよい。

イネーブルメント計画の作成と実行

上記のような活動を通じて、新しいITサービスや仕組みのGo liveに向けて、組織変更の影響を抑えることができる活動が見えてくる。
OCMリーダーは、それらをイネーブルメントプランとして取りまとめ、実行管理する。

ServiceNowのOCMの参考情報

OCMについて簡単に解説してきたが、最後に、ServiceNowのOCMの参考情報を紹介する。
https://www.servicenow.com/success/playbook/change-management-plan-guide.html
OCMの手法自体は、製品や組織を限定せず一般的に利用可能である。
皆様の組織のOCMの参考になれば幸いである。


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