自然素材を日常に取り入れる山葡萄ウォレット
今回は人気の山葡萄シリーズより、山葡萄製のウォレットの紹介です。
かねてより『他とかぶらない財布が欲しい』『本当に良質な天然素材を使った財布を使いたい』という方々に人気を集めているのがこちらの山葡萄ウォレット。
素朴なフォルムと長年使える丈夫さ、丁寧な手仕事に裏付けされた機能性から多くのファンを持つ商品です。
今回はこの山葡萄ウォレットの材料になる「山葡萄のヒゴ」にスポットを当ててお話ししたいと思います。
・山葡萄のツルの採集
以前の山葡萄バッグの回でも触れましたが、この山葡萄のツルが収穫できるようになるまでには約30年程を要します。
ツルの種類は大きく分けて二種類あり、奥山の斜面で採れる山皮。このツルで作られた製品は最初は赤みを帯びており、徐々に深い飴色へと変化して行くのが特徴。そして沢沿いに生息する沢皮。こちらは白っぽい色から光沢のある琥珀色へと変化します。これらの色の違いは生息する地面の水分量に由来します。
ともに山の奥の険しい場所に自生し、ブナやクヌギ等様々な種類の樹木に絡まり、木の成長とともに長い年月をかけ伸びてゆきます。
山葡萄製品を作る際に条件の良いツルを採集するために、職人達は人手の届きにくい奥地へと進み、加工しやすいツルを手に入れます。
しかも時期が限られており、採集するのは毎年梅雨頃の二週間のみ。これは山葡萄のつるが沢山の水を含み、その皮を剥ぐのに適しているからだと言われています。
・山葡萄のツルの加工(ヒゴ作り)
山葡萄製品への加工は、このツルの一番外側にある鬼皮と呼ばれるゴツゴツした部分を剥いで、ヒゴを作るところから始まります。
ツルを切り皮を剥ぐにも、手馴れた職人技が必要で、この一連の作業を時間をかけずにスピーディーに行わなければ使えるヒゴは手に入りません。
そしてこのヒゴを風通しの良い場所で乾燥させる事により、ヒゴの保存が可能となります。
・いよいよ製品へ
乾燥したヒゴは固く丸まっています。
これを水に漬ける事により、柔軟性を持ち、製品を作るに適したヒゴになります。
ここから更にこのヒゴを鉄の棒等に擦りつけ、「鞣す(なめす)」という作業が必要になります。鞣しは丸まったヒゴについた癖を取り除き、スムースに編めるようにする作業です。そしてこの鞣して使いやすくしたヒゴを製品の仕様によりカットして使います。
ここまでの工程が有り、やっと編み込む作業にたどり着きます。
まず、編むという工程の前にたくさんの工程と労力を必要とするのですね。山葡萄の製品が人を惹きつけてやまないのは、このように手間暇を惜しまず、自然にあるものを余す事なく利用するための知恵、そして日本人の、執念にも似た技術へのこだわりが溢れているからなのかもしれません。
・育てるウォレット
天然素材、山葡萄のツルで編んだウォレットは使い込む程に艶が出て、独特の風合いを醸し出します。直接手で持ち使うのでバッグ等に比べ色の変化と艶が出るのが早く、まさに『育てる財布』です。ファスナー付きの小銭入れやカードポケット、仕切りも多く、また縁かがりのあしらい等、丁寧な手仕事が生きており、工芸としての美しさと実用性を兼ね備えたウォレットと言えます。
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