『三流シェフ』より

日本人のぼくが作るフランス料理が海外で受け入れられる

アラン・シャペルは料理における地域性を何より大切にした。地元の食材の個性を料理に生かすことが彼のテーマであり哲学だった。そういう人の言葉だけに、"見事にJAPONISEE してのけた"という言葉が心に響いた。厨房のダ・ヴィンチは、日本に帰ったぼくが何と戦っていたかを、まるで見通していたみたいだ。
JAPONISEE、 ジャポニゼを直訳すれば日本化だ。
「フランス人シェフたちの料理を日本化する」とはどういうことか。日本人の好みに合うように料理をアレンジするというくらいの意味だったら、ムッシュ・シャペルは偉業とは呼ばなかっただろう。
日本の食材や食文化を取り入れてフランス料理の可能性を広げたことを、彼はジャポニゼと言ったのだとぼくは解釈している。
フランスで迷っていたぼくが、日本に帰り日本の自然の恵みに目覚めたことを彼は喜んでくれた。君のやっていることは間違っていない。もっと日本という国に目を向けなさい。彼はぼくにそう言ったのだと思う。
----引用ここまで。

これって、シュタイナー教育にもいえる。こういうことなんだ。世界中に広がっているけど、ドイツの実践が目指すべき理想というわけではない。実はシュタイナー自身の実践も目指すべきものではない。
技術と経験は当然持っていなければならない。さらに個としての自分、日本語という「根」を持っている自分が、生徒、そして「素材」(テキストとか、とにかく授業で扱えるもの全て。教室、天候、そのほかも含む)をどう使って、教育を実現するのか、具体化するのかが問題である。だから、そこには「これをやったらシュタイナー教育」というものはないはずなのだ。

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