誰のために板に立つ


側で色々なミュージシャンを見ていると若き頃とベテラン期になると良い年の取り方をしているとミュージシャンとしての立ち位置というかが変わる。
若い頃というかメジャーデビューくらいの時期って皆『自分のために音楽をクリエイションしている』もちろんその後も自分自身の納得するクリエイションをしているんだけど若き頃は「着いてこいよ」だったスタンスが「皆と一緒に」という形に変わる。
別にファンに媚びているわけじゃない。
でも応援してくれる皆んなに素直に感謝出来るように変わっていくのだ。
不思議だけど、どんなにとんがっていたパンクロックスターだって皆んな変わっていく。
ファンの皆さんが本当に大事な存在だって知るし、自分自身がより良いアーティストになるためにファンの人の存在を身に沁みているんだと思う。
もう何千回プレイされたんだろうって過去のヒットチューンは熟成されたワインのように新鮮さはないけど素晴らしい味わいを提供してくれる。
以前と変わらず大箱で輝くアーティストもいれば、昔では考えられない近くで体感出来るアーティストもいるが、実はキャパの大小なんてどうでも良いの。
応援してくれる皆と同じ空間で同じ時間を共有出来ることが素晴らしいってことをちゃんとベテランになれたミュージシャンは知っている。
若き頃のキラキラ感は失っているが、円熟味溢れるライブは一緒に時を重ねてきたアーティストとファンだから得られる素晴らしい時間。
そういうミュージシャンが1人でも多く活動出来る音楽シーンであって欲しい。
そして若いミュージシャンには「時代が違うんだよジジイ」なんて思わず、良い年のとり方をしたジジイの姿を見て学んで欲しい。
見る目のないフェイカーほど円熟味溢れるベテランの味がわからない。
まぁだから偽物なんだけど(笑)
ドキドキする刺激はないかも知れないがハッとすることが多いのもベテランの渋みであり旨み。
自分のために戦うのもカッコいいが誰かのために戦う誇り高き姿は最強期ではなくとも学べるものがあり、そしてその姿を支える人々の素晴らしさを学べると思う。
カッコいいジジイをカッコいいと思える若者は素晴らしいカッコいいジジイになれるであろう。
ちなみに各種業界には【本当は死んでいるのに活動する死人(ゾンビ)】も多く徘徊している。
ゾンビは一見するとまともなマナーに厳しい。
ただこれって礼儀以外後輩にツッコむことできないのよ(笑)
そして売れている後輩には理解ある良い応援者風。
リスペクトされない後輩はカッコいいジジイ先輩には出会えない。
「俺の周りってゾンビばっか」と思う君は実はもうゾンビかも知れないし(笑)

余談だが、以前に野外イベントのリハ中に「偶然そばにいたから見学したい」とスタッフさんが来たことがある。
来たのは岩城光一さん。
めちゃくちゃカッコイイ渋いベテラン様。
責任者だったからご挨拶させていただいたが、こんな小童にも丁寧な対応でその日まで私の中で⑤の存在であった岩城さんは③以上の存在になった。
居るのよ、本当にカッコイイ本物のベテランは。




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