ちょい悪親父の食卓指南
30過ぎた今更になって実感している。
料理の趣味ってのはなぜか実家の家庭の味に依存する。どんな料理を作りたがるか、ノープランで考え始めた時、自分の深層から出てくるものというのは大体家庭の味だ。
でもって私の思う家庭の味とは一体なんだ?
紛れもなくそれは父の料理であった。さてさて本日はそこら辺を語っていこうと思う。家族自慢は出来るだけしといたほうがいい。
おすすめに上がった外国籍かもしれない父は、実は異常にスペックが高い。不肖の息子としては肩身が狭い事極まりないが、そうなのだ。上げてみるときりがない。
・北大路欣也とショーン・コネリーを足して2で割ったような容姿
・バイリンガル
・地味に高学歴
・服装?いつだってジャケットとシャツ、デニムスタイル(LEONとかよりはるか以前から)
・狩猟スキルが無双(シーバスアングラーの為)
・料理男子である
etc...
授業参観で来たときには、まぁ全父母があんぐりして
「素敵なお父様ですね」
なんてことはきりがないし、色々間違っているとは思うのだ。多分スペインとかフランスの港町育ちなのではないか、そして私はジュニアとか呼ばれる感じなのか、と思うが、あれが素なんだから本当に敵わん。
食卓の話に戻る。
そんなちょい悪親父の父であったため、無論キッチンは男児の牙城と化していた。母は横になってテレビを見ていた。
大体メニューは釣った魚によって決まる。つまりスズキだ!一匹大物を釣り上げた日は大体フルコースが食卓に並ぶ。
カルパッチョ、マリネ、天ぷら、ムニエル。
そんな豪勢な食卓がそこから何日も続く。
カレーなんか作ろうもんなら、カレー用のぶつ切り肉ではなく、大きめのブロック肉を購入し、圧力鍋でガンガン煮込む、凝りに凝ったことばっかりしていた。
つまりだ、結論から言えば、育ってきた環境で培われた家庭の味、というのは父の豪胆な飯であったというわけだ。
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ところでカルパッチョって難しい。
大体刺身魚+オリーブオイル、あと何かで完成するから、簡単ではないか!といつもお世話になっているが、実は非常に難しい。
塩コショウベースにするのか、はてまたディルなんぞを散らしてオシャレに固めるのか、万能ねぎで和風ベースにするのか、ミニトマトなんぞを添えるのか、オニオンスライスなんぞを添えるのか、バリエーションが多すぎて、完成形が見当たらない。そんな時に、父のマリネを思い出した。脈絡もないから作らないが、レシピだけは上げておこう。今度やる、多分今度。
・スズキの天ぷら(結構厚め)
・マリネ液(フレンチドレッシングでも代用可)
・オニオンスライス
・赤・黄のパプリカスライス
なるほど、これはエスカベッシュや。(知ったのは最近)
それと気づかぬ幼い時分から、そんな英才教育を受けていたとは…。
食卓は彩るものや。それ自体が教えだったとは。
縁あって只今飲食店員となっているが、改めて考えると、そういう事なのだろうな。敵わん。
そんなことを考えた。
カルパッチョもエスカベッシュも瞬殺飯ではないな。終了。(画像がないのはもうすでに食い切ったから、YEAH!)