薄情屋遊冶郎

煙草一本分の熱量を以て三度。 清濁合わせ飲んで肩の荷下ろし、煙草燻らせながら読むぐらいのものを描く

薄情屋遊冶郎

煙草一本分の熱量を以て三度。 清濁合わせ飲んで肩の荷下ろし、煙草燻らせながら読むぐらいのものを描く

マガジン

  • 静寂の使徒

    日々の生活を綴る。物静かな小話。 オールジャンル、たまに提起したり、ブチ込んだりしますが、僕の話。世間より静かな、ここの話。

  • 男児鋼鉄の唐竹を割る。

    エッセイ集。質実剛健をモットーに、すっげぇ時代遅れの男児が吠え猛る、そんなマガジンです。ご興味があればどうぞ。

  • ReturnsCompetitorLifes

    クライミングに復帰した元ボルダラー、ボルダリングコンペティターから見たクライミングについてのエッセイ

  • オススメしない映画館

    超個人的に、諸事情によりあんまり人にオススメできない映画だったり音楽だったりコンテンツだったりを放り込みます。#オススメしない映画館をつけてくれればピックしてくだらねぇ公園の東屋で、薄情屋さんが一人で読みます。

  • (小説集) 剣鬼悪辣

    よく分からん奇行短編小説と、連載長編小説です。 暴挙とも思われる事を書いてしまうが、それすら誰かの救いになるのなら、我悪辣の名の下に、太刀を振るう事鬼の如し、そういう事です。

最近の記事

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六華絶唱

昔から、私には謎の第六感がある。そんなこと言うと凄い特別感を出しているようで気恥ずかしいが、多分事実。 例えば人生の岐路に立たされた時。今までで経験したその選択肢は、受験、とか就職、とかそんなもんしかないから全然、経験値の少ない人間なのだけど、そういう時、いつだって心に不安がなかった。誰もが今後の人生を決めることに迷い、不安になり、誰かに相談し、苦悩し、眠れない夜を過ごす。そこから、いつだって無意識に立ち去ることが出来た。 実はここにもちょっと引け目があるのは、また今度。

    • 琥珀

       2年前の1月1日。  その日に自分が何をしていたかなんて、覚えているはずもないと思いながらも、記憶を辿る事を止められなかった。何らかの記録を残しておく癖があれば話は別だが、生憎私はその手の事をやってもいつも三日坊主。残っているなんて奇跡だ。  アルバムにはしっかり残っていた。コロナ禍明けの1月1日。  変わろうともがいていた日々。自分自身のパーツを一つ一つ付け替えて、全く別の、全く違う人間になろうともがいていたそんな日々。  2年なんてあっという間。  だが改めて知るに

      • 僕の東京を更新して

         東京から地方に転属になってからは、仕事で年一回訪れるぐらいの場所に変わったが、私は東京が好きだ。自分の人生のその時々で変化し、新しい顔、新しい街の明かりを見せてくれるそんな街。  きっとまた、訪れる時の自分は変わっていて、その時も見える景色は変わる。何度も、何度も更新して、その度に懐かしくなる。  初めての上京は19歳の春。 大学進学のためのありきたりな理由での上京だったが、反面やっと帰ってきたんだとも思った。  物心ついてから小学1年生まで、神奈川県の百合ヶ丘に住んで

        • 雨はきっと雨のまま

           どうしても最近気持ちが落ちている。 そしてやっぱり疲れてもいる。肉体労働をしているので、身体的な疲れは当然の事として、休日家から一歩も出ずに過ごすというのではなんともし難い心の疲れがあった。 だから今日は思い切ってちょっとした小旅行に出た。誰にも言わず、誰も知らない、そして自分さえも全く知らない土地に来てみたかった。  自分すら何も知らない。なんて前言撤回。 来てみた事はないが全く事前知識がない場所ではない。前の恋人と行きたい場所リストを作った時に挙がっていた場所、多治見

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        マガジン

        • 静寂の使徒
          85本
        • 男児鋼鉄の唐竹を割る。
          27本
        • ReturnsCompetitorLifes
          4本
        • オススメしない映画館
          4本
        • (小説集) 剣鬼悪辣
          35本
        • 詩人荒廃
          6本

        記事

          PERFECT

           人は見たいものしか見ないから。  きっと全く嘘偽りなく生きていても、人から見たら嘘つきと思われていく事が多くなる。  一面しか見ていない周りが悪いのではなく、整合性をとれない自分が悪い、それも違う。  色んな事を知ってもらいたいと思って努力する。そのやり方が人と違っていて、そのこともまた言えなくなってしまう。それもきっと間違いではない。 それで完璧な自分なんだ。それが完璧なんだ。 そう言ってくれて、共に歩いてくれる誰かが欲しい。今はきっと、そう思っている。  今の私はきっ

          Everyday rolls

           せっかくの休みだってのに雨だった。 そんな落胆を感じる必要のない季節、夏ってもんはいいですね。とはいえ猛暑、洗濯物は乾きやすいですが、どうですか、お元気ですか?  本日の記事は普通に日記として書く。なんというか、箸休めのような気楽な文章として読んでもらえば幸いである。  どんな最悪な状態でも朝はまた来るし一日は続く。結構色んな人にとって、やり過ごすための一日、そんな日でもしっかりと意味を成さないと行けない。そんなことを思う。いつも通り、いつもの時間で仕事のタイムカードを切

          誰のものでもない光に抱かれたい

          *  街を彩る光の明滅。  夜を形作るその灯りは沢山の人の幸せと不幸せで出来ていて、その全てを眺めながら、きっと自分もこの灯りの中の一つで、そのはずなのにそこに自分は居ないと思いたかった。  そうはなれない事も知っていたけど、誰かを導いたり、誰かを照らす灯りの一つではないと、そこにいる事は出来ないと、思いたかった。  きっと意味が出来てしまったから。  東京を彩る多くの灯りにも、東京タワーにも。 多くの意味が出来てしまって、それを無くしてしまった時、きっと以前と同じ気持ち

          誰のものでもない光に抱かれたい

          この街を出ていく

           沢山の出会いと別れ。  繰り返していくたびにふと思う。  もっと別の場所で出会えていたら、もっと深い関係を築くことが出来たのかな。なんて。  例えば社員とアルバイト、同じ大学の同じサークルだったり、ゼミだったり、取引先だったり、はたまたネット上だけの関係だったり、恋人も友達も親子も兄弟も親戚も。  深い関係性を神聖視しすぎて、それ以外にどこかで心の距離を取ってしまう。そんなふうになっていって。  でもね。分かってる。別の場所で別の機会で出会っていたらなんてたらればは存在しな

          この街を出ていく

          帰ってきた薄情屋蹂躙庵 #呑みながら書きました。

           皆さんこんばんわ。本日は眠れぬ素敵なリスナーの皆様のために一晩限定で帰ってまいりました薄情や蹂躙庵。今夜や豪雨の公園の東屋スタジオからお送りいたします。もちらおん機材とかそういったものは豪雨で全部ぶっ壊れてしまったので、リクエスト安堵ご意見ご乾燥は狼煙とかそういったものでよろしくです!  まず今日の手指ね、大事なことだからしっかり聞いてね今日は書きたいから飲むわけじゃなくて呑みたいから書くわけねそこ大事。もちろん俺はすてきな男子諸君の味方なのでオサレなドリンクなんてないわ

          帰ってきた薄情屋蹂躙庵 #呑みながら書きました。

          しょうもない大人の上半期決算報告

           note自体に復帰してまた少し経った。定期的に休んだり復帰したりしているので知らん人も多いと思う。正直前回真剣にnoteをやっていた時期とはかなりマインドやメンタルも変わってしまったので、改めてやってみたいと思う。  ちなみに過去の決算報告と記事まとめはこちら。別に隠し立てすることもなにもないし、敢えてそれをするのもおかしな話なので、公開しておく。 30代後半になってすること1.規則正しい生活を心がける  正直色々なメディアや動画とかで言われているし耳タコだとは思うが

          しょうもない大人の上半期決算報告

          Singing for a leon

           ライオンキングのシンバみたいな人。そんなことを昔言われたことがあったが、そんなに猛々しくもなく強くもなく、現実世界に立ち戻れば自然保護区で丁寧に管理され、個体数の減少等などに気を配られながら僅かばかりのコミュニティの群れの中であれこれ苦悩する。まあそんなことが関の山だろう。  まさに中間管理職の苦悩といった感で、現実問題今の自分もそんなところだから全く成長していないなぁと虚しい気持ちになってしまう。  物語の中のライオンはいつも気高い。  数年前に投稿し続けていた自分もだ

          My sweet mistake

           一辺挫折したのなら、その分新しく得た考えや価値観があれば良い。なんて欲深い話だよな。  挫折は結局挫折で、失敗から学ぶことが必ずしもあるわけじゃないし、それなら割と皆前向きに生きられる。  引きずるものはやっぱり引きずる。 それでもちょっとは生活に楽しみを見つけながら生きられているということは、少しは気持ちの蘇生が出来たんだろうな、と思う。  誰かと作った心が抜けて空いた穴は、誰かの心で埋めなければ結局埋まらないので、そこは放置したままだ。  どれだけの時間が経ったか自

          静寂の夜と、地の光

          急に生活が変わったとして、すぐに眠れるというわけではなかった。 自分の一日は夜から始まり、様々な事を一つひとつ熟考して、ノートを閉じる。その時間が始まるのは、どうやっても夜でなければならなかった。 去来する思いの本質は、やはり夜にしか現れてはくれず、書き漏らすまいとことばを端から拾わなくなってからも、絶えず自分の周りに渦巻いていた。 拾う必要は無くとも、そこにあるのはどうにも気分の良いものではなく、無闇に漂ってしまうのを眺めるのも、どうも違う。 だからといってそれを浅く、

          静寂の夜と、地の光

          独歌絶唱

          noteを始めた時、一人だった。 始めはただの役立つ情報源と、大きな洞穴だと思っていた。比重は大きくなかった。 今ほど分量が多くはなかったが、文章を綴った。 言うまでもなく稚拙だった。言ってみただけで、誰一人として返答はなかった。 はっきり言う。noteなどいつ退会してもよかった。 何を言っても響かず届かず、何も面白くなかったので、軸足を現実に移した。ワクワクすることが沢山あって、それに夢中になった。 それを書こうとは思わなかった。 夢中になれる事をやめ、改めて自分を整理

          星なき夜の散文抄

          今はただ、俺の目に映る君の表情が、濁らなければそれでいい 立ち尽くす夜は、どこまでも広く、ただ長い 無音の闇に吹く紫煙は、立ち上りて行く先を知らない 打ち尽くす度、猛る心を蠢く老木の枯れ枝が嘲笑い 声にもならない叫びは遠く掻き消される そういう夜を、ただ惑う 骨脈、蠢動、嗤う末節 眼前には枯木 影は無様 警告の音叉 白骨は重く 肉は爆ぜ 関節は軋み 風は遮る 沈黙は止まず 草木は唄わず 星なき夜に光なし ただ横たえる我が身に拠れば 無遠慮に照らす十条の灯りが 溶ける事

          星なき夜の散文抄

          "話せはしない"と"聞きたくない"と

          あの日の事はまだ覚えている。 だけど毎年毎年、少しずつ意味合いが違うようになっていって、自分の過去の話の癖に、コントロール不能になっているのが、なんとももどかしい話だ。 その日の昼。 私は友人に会う予定があって、行く道すがら、コーヒーを飲みながら昼食をとっていた。何でもない日だったし、私にとっても何でもない日だった。 感覚は無かった。いつもならわかってしまうその感覚がなく、窓の外で右往左往する人々を見て、初めて事の重大さに気づいた。 Twitterのアカウントには速報が流れ

          "話せはしない"と"聞きたくない"と