金管奏者にとって一番つらいこと
どの楽器であっても、演奏しやすい譜面とそうでない譜面というのはあると思います。
金管楽器奏者にとって一番つらいのは、どんな譜面でしょうか。
例えば高い音を吹くのがつらい、という人がいると思います。
しかし、むしろ高い音を吹くのが好きだ、という人もいます。
人によって得意不得意があるので答えは人それぞれなのですが、自分の中ではある程度普遍的だと思う答えがあります。
金管奏者にとって一番つらい譜面は、「休みがない譜面」です。
吹き続ければ、いつかはバテる
金管奏者は口の周りの筋肉とマウスピースによってアンブシュアを固定し、息を流して唇を振動させることで音を鳴らしています。
筋肉を使うので、吹き続けると多かれ少なかれ疲れてきます。疲れてくると固定が安定しなくなり、大きく2つの問題が生じます。
1つは、単純に音そのものが出なくなるという問題です。
特に高い音や小さい音はしっかりとアンブシュアを固定しないと当たらないので、疲れてくればくるほど、これらの音をハズすリスクが高くなります。
もう1つは、出したいように音を出せなくなるという問題です。
音自体は出るけれど、音色があまり良くなかったり、フレージングが微妙になったり、「音楽的なことに気を遣う余裕がない」状態になります。
音をハズすことも音楽的に吹けないことも、奏者や聴衆にとって「楽しくない」状態です。
疲れた状態で譜面を吹くのは、できるだけ避けるに越したことはないと思います。
良い演奏は、良い休符から
前提として、奏者それぞれがトレーニングをしたり奏法の研究をすることで、「疲れにくい吹き方」を身に着けることは可能です。
長期的に楽器を楽しむためには、大事なことだと思います。
それとは別に、短期的にはやはり「楽しく吹ける譜面」を用意することも大事だと思います。
自分が編曲をする際には、各パートにきちんと休みが用意されるように、かなり気を遣っています。特にトランペットやホルンに高音域を任せる場合は、きちんとクオリティを確保できるだけの休みを用意するように心がけています。
ただ、単に休みが多い譜面だとそれは「退屈な譜面」ということになります。
大事なのは音楽的に面白い譜面を書くことです。もちろん、言うのは簡単でも実現するのは難しいのですが…
いずれにしても、「良い演奏は、良い休符から」。
練習も本番も、「楽に」ではなく「楽しく」やれるのが一番だと思います。