Takbone

アマチュア金管楽器奏者です。金管アンサンブルについて感じていることを、アマチュア目線で…

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アマチュア金管楽器奏者です。金管アンサンブルについて感じていることを、アマチュア目線で書いていきます。Piascoreでアレンジ譜面を配信中です。https://store.piascore.com/publishers/6407

最近の記事

発想標語の大切さ

1つ前の記事の中で、速度標語について触れました。 この速度標語とよく併記されているものに、発想標語があります(例えば「Andante Cantabile」など) 吹奏楽部やオーケストラ部だと、ちゃんと書いてあることの意味を調べるように言われたりするので、これらが大事なものであることはイメージできると思います。 自分もこれらが大事であることは頭では理解していましたが、それが腹落ちしたのはここ数年のことのような気がします。 速度標語を考える速度標語を調べると、対応するテンポ

    • テンポという要素

      新しい曲に取り組む際、まずは遅いテンポで「譜読み」を行います。 音の並びを身体に覚えさせていき、だんだんと速度を上げていきます。 一方で音楽表現としてのテンポ、すなわち「本番のテンポ」はどのように決めるべきなのか。 できたなりで臨むケースもありそうですが、基本的にはやはり、意思を持って決めることが大事だと思います。 楽曲にとって最適なテンポ目標の速さを考える上でまず重要なのは、やはり曲の指定テンポです。 ほとんどの曲では速度標語かメトロノーム記号、あるいはその両方が記載さ

      • オーケストラとアンサンブル

        アマチュア管楽器奏者の多くはオーケストラや吹奏楽などの大きい団体に所属していて、そこでの活動をメインにされていると思います。 自分も現在オーケストラの本番が年1回あり、それに加えて金管アンサンブル、トロンボーンアンサンブルの本番がそれぞれ年1回ずつあります(吹奏楽は学生時代に経験) その中でどれがメインの活動かというと、こんなニッチな記事を書いている通り金管アンサンブルだと思っています。 オーケストラの魅力オーケストラの楽しさは、まずは大勢のメンバーで1つの曲に取り組むと

        • 理論か、感覚か

          音楽分野に限らず、「理論派」と「感覚派」はよく比較されます。 対立する概念として語られがちですが、多くの人はどちらの要素も持っていて、その割合が違うというのが実際のところでしょう。 そしてどちらが優れているというより個性や特性の話であって、それらを活かしていくことこそが大事です。 アンサンブルの練習で曲を仕上げていくのにも、様々なアプローチの仕方があります。 ここでは音楽作りにおける「理論的なアプローチ」と「感覚的なアプローチ」について、自分なりの考えを書いてみます。 言葉

        発想標語の大切さ

          フレンド・ライク・ミー(金管十重奏)

          本記事で紹介するのはこちらの譜面です。 基本情報 曲名:フレンド・ライク・ミー(Friend Like Me) 編成:金管十重奏(Trp4, Hr, Trb4, Tub) 演奏時間:約2分20秒 難易度:中〜上級 前回に引き続き、映画「アラジン」の人気曲です。 こちらも原曲準拠の長さで、調もそのままでアレンジしています(d-moll→g-moll) ラップ調の実写版も、なかなか中毒性があって好きです。 前奏~1番のサビ(冒頭~0:58) トランペット4本の力強いオ

          フレンド・ライク・ミー(金管十重奏)

          ホール・ニュー・ワールド(金管十重奏)

          本記事で紹介するのはこちらの譜面です。 基本情報 曲名:ホール・ニュー・ワールド(A Whole New World) 編成:金管十重奏(Trp3, Flugel, Hr, Trb4, Tub) 演奏時間:約2分30秒 難易度:中級 ディズニーといえば、この曲を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。 映画「アラジン」より、夜空を背景に魔法の絨毯の上で歌う、ロマンティックなデュエットです。 原曲通りの長さで、元の調そのまま(D-dur→F-dur)でアレンジしていま

          ホール・ニュー・ワールド(金管十重奏)

          アンダー・ザ・シー(金管十重奏)

          本記事で紹介するのはこちらの譜面です。 基本情報 曲名:アンダー・ザ・シー(Under the Sea) 編成:金管十重奏(Trp4, Hr, Trb4, Tub) 演奏時間:約3分10秒 難易度:中〜上級 前回と同じく、映画「リトル・マーメイド」の代表曲です。 こちらも原曲と同じ調(B♭-dur → C-dur)で書いています。 カットや付け加えはせず、原曲通りのフル尺です。 前奏~1番 冒頭の上昇系のフレーズはトランペットの3rdと4thが担当します。 これは

          アンダー・ザ・シー(金管十重奏)

          パート・オブ・ユア・ワールド(金管十重奏)

          今回は自分がPiascoreで配信している編曲譜面について解説させていただきます。 本当は譜面と音源のサンプルを用意できれば良いのですが、配信に関する著作権の整理が自分の中できちんとできていません。 さしあたり、問題のない範囲で文字ベースの解説をしてみたいと思います。 -------------------------------------------------------------------------------- (2024.4.27追記) 問題なさそうなこ

          パート・オブ・ユア・ワールド(金管十重奏)

          ハイトーンとの付き合い方

          多くの金管奏者にとって、高い音を吹くことは1つのあこがれです。 きれいなハイトーンはカッコいいですし、高い音が射程範囲であれば挑戦できる曲も増えます。 自分も以前はハイトーンへのあこがれが強く、高い音が得意な奏者は羨ましかったですし、自分がハイトーンを出せたときには満足感がありました。 しかしそこを通過した今、大事なのはハイトーンを出すこと自体ではなく、それによって得られる演奏効果なのだと、強く思います。 ただ高い音を出すだけでは、そこに音楽的な意味はないのです。 ハイト

          ハイトーンとの付き合い方

          金管五重奏の難しさについて

          前回記事で、五重奏と比較した際の十重奏の良いところを書きました。 今回はこの記事と対比する形で、金管五重奏の難しさと、それゆえの魅力について書いていきたいと思います。 金管五重奏の難しいところ1.音色の種類が限られている 五重奏では基本的に「セクション単位」での音色を作ることができません。 2本のトランペットと1本ずつのホルン・トロンボーン・チューバ、これらの組み合わせのみで曲を成り立たせます。 そこには引き算の美学があり、純度の高い音色によるアンサンブルを味わうこと

          金管五重奏の難しさについて

          金管十重奏の良さについて

          金管アンサンブルで最もメジャーな形態は、金管五重奏です。 トランペットが2人、ホルン・トロンボーン・チューバがそれぞれ1人ずつの5人で構成されるアンサンブルで、完成度の高い編成であり、多くの譜面が出版されています。 次にメジャーなのは、金管八重奏でしょうか。 これは吹奏楽連盟が主催しているアンサンブルコンテストの最大人数が8人であるからだと考えられます。 よくある編成としてはトランペットが3人、ホルンが1人、トロンボーンが2人、ユーフォニアムが1人、チューバが1人。 曲によ

          金管十重奏の良さについて

          演奏効果が高い譜面とは

          「演奏効果」という言葉があります。 調べた限りでは明確な定義が見当たらなかったのですが、演奏を聴いた人が受ける印象(特にポジティブなもの)全般を指すと思います。 例えばメロディがきれいだとか、ハーモニーがよく響いているとか、音色がいいとか、華やかでカッコいいとか、楽しいとか悲しいとか。 演奏効果が高いというのは、この印象が強いということです。 もっと平たく言えば、演奏効果が高いほど聴いたときに「上手く感じる」ということです。 逆に言うと聴いても感じることの少ない退屈な曲が

          演奏効果が高い譜面とは

          金管奏者にとって一番つらいこと

          どの楽器であっても、演奏しやすい譜面とそうでない譜面というのはあると思います。 金管楽器奏者にとって一番つらいのは、どんな譜面でしょうか。 例えば高い音を吹くのがつらい、という人がいると思います。 しかし、むしろ高い音を吹くのが好きだ、という人もいます。 人によって得意不得意があるので答えは人それぞれなのですが、自分の中ではある程度普遍的だと思う答えがあります。 金管奏者にとって一番つらい譜面は、「休みがない譜面」です。 吹き続ければ、いつかはバテる金管奏者は口の周り

          金管奏者にとって一番つらいこと

          アマチュア演奏家の目的

          アマチュア演奏家の目的は何でしょうか。 プロの演奏家であれば、演奏をもってお金を稼いでいくというのが1つの目的になります。 しかし、アマチュア演奏家は自分たちで演奏会費を負担して活動しており、収益を期待していません。 となると、当然ながら自分たちが「楽しむこと」がメインの目的になります。 個人的にはもう1つ、お客さんに「楽しんでもらうこと」が目的になると思っています。 これに関しては必須ではない、と思う人も当然いるはずです。 ただ、音楽というのは奏でる人と聴く人がいて初め

          アマチュア演奏家の目的

          note始めました

          アマチュア金管アンサンブル団体に所属している者です。 アレンジ譜面のPiascoreでの販売を始めたので、宣伝も兼ねてnoteを始めてみました。 せっかくなので、普段金管アンサンブルについて考えていることを言語化していきたいと思います。 あくまでアマチュア奏者が語る、アマチュア向けの記事になります。 どこかの誰かに共感していただけたら嬉しいです。

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