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発想標語の大切さ

1つ前の記事の中で、速度標語について触れました。
この速度標語とよく併記されているものに、発想標語があります(例えば「Andante Cantabile」など)

吹奏楽部やオーケストラ部だと、ちゃんと書いてあることの意味を調べるように言われたりするので、これらが大事なものであることはイメージできると思います。

自分もこれらが大事であることは頭では理解していましたが、それが腹落ちしたのはここ数年のことのような気がします。

速度標語を考える

速度標語を調べると、対応するテンポが書いてあったりします。
Moderatoであれば♩=76~96くらい、とか。

それ自体は間違ってはいないのですが、数字はあくまで目安。
重要なのは言葉の持つ意味の方です。

例えばAdagioとAndanteはどちらも少しゆっくりめの速度指定ですが、Adagioのイメージは「安らぎ」や「くつろぎ」なので、あんまり積極的に前には進まない感じ。
ただし、重々しくはならないようなイメージです。

一方でAndanteは「歩くような速さで」と説明されます。
速くはないけど、少し足取り軽く前に進んでいくようなイメージ。そこまでたっぷり歌う感じではないです。

速度標語を単に速さの目安として考えるのではなく、その意味を演奏に反映させると、音楽が生き生きしてくると思います。

発想標語を考える

発想標語の数は非常に多く、100を超える種類があるようです。
定番のものだと例えば、cantabile(歌うように)、con moto(動きをもって)、dolce(甘く)、giocoso(おどけて)、maestoso(荘厳に)、tranquillo(静かに)…などなど。

意味を調べるように言われることは多いかと思いますが、これらの意味は別に知識として知っていることが大事なのではありません(都度調べなくてよい、という点では大事です)
目的は音楽づくりをすることであり、発想標語の理解はそのための手段です。

このように考えるようになったのは、やはり自分がアンサンブルをメインにしているからだと思います。
オーケストラや吹奏楽でももちろん発想標語は大事ですが、音楽づくりのディレクションは指揮者が担ってくれます。

一方でアンサンブルは自分たちの力で曲を仕上げていきます。
その際のアプローチにも色々なやり方があるわけですが、多くの人にとっては楽譜の情報、特に発想標語からスタートするというのが有効なアプローチです。

音楽を深く楽しむこと

実際に速度標語と発想標語の意味を演奏に反映させるためには技術が必要で、それは個人によって変わります。
したがって表現する上では訓練や経験が必要なわけですが、まずはどういう音楽にするか考えてみる、というのは大事なことだと思います。

音楽の楽しさは様々です。
まずは楽器を鳴らすこと、次に音を並べること、そして他の人と合わせること。
それらは根源的な楽しさで、楽器を続ける限り消えることはありません。
その上で、どのような音楽を目指すかを意識すると、音楽の楽しさがもう一段階深まるはずです。

偉そうなことを書いていますが、「絶対にこうすべきだ」と主張しているわけではありません。
必要に迫られてやるのは、楽しさとは逆行してしまいます。
あくまで自分自身が音楽を楽しむための、考え方の1つとして捉えていただければ、と思います。

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