タイトル:成人発達理論による能力の成長 - ダイナミックスキル理論の実践的活用法
著者:加藤 洋平
出版社:日本能率協会マネジメントセンター
マネジメントの仕事の1つにメンバーの成長支援があるけど、成長を支援するとはどういうことだろうと思って手に取ったのが本書です。著者曰く「成長のプロセスとメカニズム(知性発達科学)を解説し、自己の成長と他者の成長を促す方法を紹介している実践書」とのことです。以下、ポイントをメモしていきます。
序章 自他成長を促す「知性発達科学」
知性発達科学とは
2種類の成長
「器」と「能力」それぞれの成長を考えることが大事という話ですね。その内、本書では「能力」の成長を扱っています。
第1章 「ダイナミックスキル理論」とは
ダイナミックスキル理論について
ただ、これまで能力は静的なものとして捉えられていたとのこと
ダイナミックスキル理論は複雑性科学を取り込んだ
成長プロセスを表すメタファーについて
スキルとは
能力の特性①:「環境依存性」について
能力の特性②:「課題依存性」について
能力の特性③:「変動性」について
サブ能力について
「最適レベル」と「機能レベル」と「発達範囲」
第2章 大人の能力の成長プロセス
成長サイクルについて
ダイナミックネットワーク理論とは
質的な成長と量的な成長について
「成長法則」としての5つの法則について
「統合化」は、「質的」な成長、すなわち「垂直的な成長」を説明します。
「複合化」は、「量的」な成長、すなわち「水平的な成長」を説明します。
「焦点化」とは
「代用化」とは
「差異化」とは、能力全体のレベルが高まるほど、それを構成するサブ能力も高まることを説明するとのことです。
第3章 自他の能力レベルを知る
能力のレベルについて
私たちの能力は、5つの能力階層を経て成長していくとのことです。
5つの能力階層と「点・線・面・立体」の成長サイクルとの関係について
次元を上げて思考することの大切さについて
なぜ私たちの能力は思っているほどに高まらないのか?
第4章 既存の能力開発の問題点とその改善法
既存の能力開発の問題点①:変動性の無視
既存の能力開発の問題点②:生態学的妥当性の無視
既存の能力開発の問題点③:多様な能力領域・多様な成長プロセスの無視
「ニューウェルの三角形」というモデルを使うことで、成長を促すトレーニングを考える。
変動性の3つのノイズについて
最近接発達領域は、能力開発における重要な考え方
スキャフォールディングと呼ばれる概念
第5章 「マインドフルネス」「リフレクション」「システム思考」との統合
フロー状態について
能力の成長に必要となる3つの要素(まとめのようなもの)
コルブの経験学習モデル
リフレクションについて
感想
「成長とは何か」ということが少しは理解できた気がします。「点・線・面・立体」の成長サイクル(フラクタル構造)を始めとして、複雑性理論を思考の中心に据えている私には非常にしっくりくる話ばかりでした。また、能力が高まらないのは「知識の圧倒的な欠落と言語化の鍛錬不足が原因」という言葉は、正にその通りだと思いました。組織能力を高めるために取り組んでいきたいポイントです。