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イベント記録 やたいだん きのコさん編(3/3)マッチングアプリ時代の恋愛の地位とは?

この記事はモテアマス三軒茶屋で2023年3月3日に行われたオンライン対談の記録になります。

語り手紹介

高橋かずひろ(以下かずひろ) 
 カオスライフ発起人、3月3日にはグットニート養成講座を受けていた。

きのコ 
 ポリアモリーな文筆家として、恋愛・セックス・パートナーシップ・コミュニケーション等をテーマに発信している。
SNS:https://twitter.com/kinoko1027

前回記事 https://note.com/takazudayo/n/nee6f91b01b08

オンラインはやっぱりきっかけに過ぎない

きのコ
 オンラインとオフラインを完全に切り分けることはできない、SNSっていうツールを完全に断つと、かなり我々は生活が豹変してしまうって思っていて。むしろオンラインとオフラインをいかにシームレスにつなぐのか、オンラインの出会いをオフラインにより呼び込むかみたいな。オンラインだけで繋がり続けずにそこからいかに私にオフラインで会ってもらうか、私がいかに画面の向こうの彼らに会いに行くかなのかな。
 オンラインはやっぱりきっかけに過ぎなくて、そこで関係性や”愛され”を終わらせない。ちゃんとオフラインで愛されに行くなり愛しに行くなり、そういう風に繋げないと、どんなに愛されてもそれは虚しいなっていう気が私はしますね。
 オンラインだけで愛されて満足って人もいるんでしょうけど、私とかかずひろさんはそうではないのかなっていうか。

かずひろ
 「あなたの企画はこれだけ愛されています。」と言われてデータをもらってもそこから具体的なイメージがわかないと好きなものが結局作れない。オフラインのイメージを持っているとこの人にウケるもの作ろうとか想像ができるので、新しい活動をする時も愛の質が違うなっていうのはあります。
 オンラインでこう愛されていると情報が分かっても結局「分かんないなあ」って終わっちゃったりとか結構あって「これだけの人が入りました。マジ恋を見ました。ブログ見ました。」って言われても、ぼやとして終わっちゃうとか結構あって、オフラインで「おもしろい。」と言ってもらえると「イベントの時に一番の前に座っているあの人にウケるものどんどん作ろう。」みたいに具体的なイメージに落とし込みやすいなっていうのはすごくあります。

きのコ
 実際その仕事で愛されるにせよ恋愛で愛されるにせよ、やっぱり画面から出ないことには始まらないっていうか、やっぱりオフラインの世界に最終的に落とし込まれていかないと、どこへも行けないのかなっていう気はしますね。

恋愛もどんどんオンラインになっていくのかな?


かずひろ
 なんかモテる秘訣のやり方がマッチングアプリが強くなっちゃったりしていて、なんか恋愛もどんどんオンラインになって行くのかな?みたいな感じがありますね。

きのコ
 マッチングサービスの盛り上がりってコロナ禍もあるんでしょうけど、コロナ禍でみんなが家にいるようになって、Zoomで飲み会したりする時代になって、本当にもう私は滅びるべき旧人類なんだなって思ってしまって。私はマッチングサービスって全く使いこなせないんですね。
 全然つまんないっていうか、誰かとマッチはするんですけど、メッセージ三往復ぐらいすると、この人と恋愛しなきゃいけなくなるみたいな気がして、もうそれに飽きちゃう。
 オンラインだと有象無象が過ぎるというか、なんかやっぱ人と繋がりやすすぎて繋がりが生々しくなくなっちゃうって思って、繋がっている人間がフォロワー数みたいなデータになっちゃうと、人間だと感じられなくて、相手を知っていこう、掘り下げていこうというモチベーションがそがれてしまう。
 オンラインであまりにも多くの人と繋がり過ぎると逆に疲れて、そこからオフラインにいく気力もなくなる気がしていて、シームレスでオンラインからオフラインに繋がりたいんだけど、オフラインのウエイトを大きくしたいというか、それができないと自分的には恋愛の愛されも仕事の愛されもなんかしんどくなっちゃうなっていう気はしています。

かずひろ
 ここまで仕事、ここから先は恋愛とか綺麗に棲み分けちゃってる部分がすごく多いなーって僕は思っていて、オフラインの場合だと仕事ということで集まってだらだら一緒にいたら恋愛感情わいてきたりとか、それも本当の愛なのかなって思っていて、少子化の原因とかで「お金がないから恋愛しない」みたいな説が多いですが「パソコンやスマホの画面ばっかり見て実際の恋愛をしなくなった。人の混じり合いが起きなくなった。」ことが恋愛そのものがあんまり発生しなくなった原因なのかなって思っていて。
 どうしてもマジ恋だと出演男性陣はモテないキャラクターを演じちゃうんです。映画に出てくるモテないキャラって、寅さんにしろ、若大将のライバルの青大将にしろフラれるシーンが映画の中でしっかり用意されています。でも実際に自称モテない人はバッターボックスに立って負けるんじゃなくて試合そのものがない人が多いです。

きのコ
 私がマッチングサービスが面白くないと思った理由がまさにそれなんですよ。マッチングサービスって出会いの場、恋愛の場っていう目的が明確で、そこで出会った人と「さあ恋愛しなさい、さもなくば次に行きなさい」みたいな圧がすごいので、疲れちゃうなって思っています。さあ出会えとか弾数増やせみたいな圧が強いのがきつい。
 なんで私が何人も好きになったり複数人パートナーがいるかっていうと、好きになってからがすごく長いからなんですね。10年とか平気で片思いしていられるし、それがすごい楽しいんです。何年も恋愛にかけられます。
 仕事であってもオフラインであれネットであれ何であれ、目的を定めない場で好きになって、そこからいかに恋愛にじわじわ持っていくかに10年かけることも厭わない、みたいな人間なので。やっぱりマッチングアプリって、マッチしたらデートしなきゃいけない圧があるし、マッチするまで10年かけるなんてありえないじゃないですか。
 そこは本当につまらない気がしますね。結構片思いが楽しかったりするので、愛される可能性にも愛する可能性にも開かれた、友達でいてもいいし恋愛してもいい、そういう場がないとオンラインであれオフラインであれ、私はつまらなくなっちゃうなっていう感覚ですね。

本当は普通の恋愛がしたい


かずひろ
 恋愛もなんかビジネスの対象に結構されすぎちゃっているのかなと思っていて、商売が入ってくると「恋愛でも結果を出さないとダメ」みたいな感じになりがちで、そこの場所にいる人にたくさん活動させれば、今度は結果出すためにメイク講座に通わなきゃいけないとか、話し方講座をやらなきゃいけないとかが発生しちゃって、すごくこれが必要だあれも必要だっていう気分にすごくさせられていくなって、恋愛をする時にそういう気分になっちゃうのが嫌だから「恋愛そのものに興味ないってことにしておこう。」っていう人が増えちゃったのかな?っていうふうに僕は思っていて、本当は個人の普通の活動として普通に恋愛したい。ちょうどいい活動形態が欲しいなって思います。


きのコ
 やっぱり恋愛であれ仕事で愛されるという意味であれ、ある種のファンビジネスもそうだし、ビジネス関係ない恋愛の愛であっても、資本主義に毒されすぎというか、それで金稼げとか金使えみたいなマーケットに取り込まれすぎだなって思っていて。
 私がポリアモリーで複数人とお付き合いしていると言うと「お前みたいなブスが!ブスのくせにポリアモリーなんてありえないだろ!」って言われるんですけど、それはまさに、美しくなければ恋愛できないとか、ばっちりメイクしていなければ恋愛できないとか、エステに行ってなきゃとか、痩せてなきゃとか、いい服着てなきゃ恋愛できないとか、そういう資本主義に囚われているからこそ「お前みたいな化粧もしないブスの女が複数人と恋愛できてるわけないだろ!」みたいなそういう理屈になってるんだろうなーって思いますけれども。
 それは本当に資本主義にとらわれていて「こういうものを買ってああいうことをしてこういう風にお金を使わないと恋愛できない」っていう思い込まされているからこそ、それなしで恋愛したり自分をコンテンツ化している人が許せなかったり信じられなかったりするのかなって思います。

かずひろ
恋愛は本来、商売とか何もなくてもやっていたのに、いろんな人間を動かす力があるから、他人に何かをさせたい人がたくさん介入してきて恋愛の動かし方が複雑になっちゃっている面が結構あるのかなーって。

恋愛の地位をもうちょっと落としたい

きのコ
 恋愛を特別視しすぎ、神格化しすぎっていうのはありますね。恋愛っていうのはせいぜい嗜好品ぐらいのものでしかないと思っていて、タバコみたいに嗜む人もいれば嗜まない人もいる。恋愛できるできないって議論、「できるやつがえらくてできない奴がダサい」みたいなものはまだまだ根強いなって思っていて。「愛されないとダメ」みたいなのは無くしていきたいと思ってますけど、やっぱり恋愛の地位をもうちょっと落としたいですね。
 別にしてもしなくてもいいし、できてもできなくてもいいみたいに。

かずひろ
 皆真剣になると、一部のアスリートみたいにモテを追求する人だけが残ってモテバトルに参加して周りの人が皆見てるだけみたいな感じになってしまいそうです。

きのコ
 マッチングサービスはもろにそうなってますね。一部の勝ち組が全部かっさらっていて8割9割の何もできない人がいる、みたいになっていて、それがあるからこそ本当に参戦したくない。

かずひろ
 愛されてる実感というところに話が入ってきたところで喋っているんですけれど、愛をこういう風にイメージしているんだとかしゃべる場所とか欲しいなっていうのがありますね。
 どうしても恋愛をやんなきゃいけないって思うと、ディープな個人情報を語って手の内をさらけ出さないといけない。ポーカーの手札を相手に見せちゃうみたいな感じで「私にとっての愛はこうなんだよ。」とかいろいろ言っちゃうと「ああそうなの。」ってなって価値感があわなくなっちゃったりとか結構あるのかなって、自分の情報はどうでもいいのだけ教えて相手の情報はなるべく見て都合のいい相手の都合の良いのを演じて、みたいに真剣に恋愛をする時には考えてしまいます。

きのコ
 そうですね、またどこかで第2回、第3回をやっていきたい気はします。別に恋愛に限らず何か「承認欲求」とか「バズらせる、バズる」みたいなことも含めてなんか、他人からの目線をどう捉えるか?とかどう集めるか?とかそういう議論になりそうな気がするので、ぜひ広げていきたいなと思います。

かずひろ
 何か愛しも愛されもしない人、自分と特に関係ない人をみんな気にしてるのかなぁって面があるなあと、周りの人と僕自身を見ていて思います。そんな感じですかね。本日はどうもありがとうございました。

対談会場 モテアマス三軒茶屋
2023年3月3日
語り手 高橋かずひろ きのコ


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