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【ご恵贈御礼】タリアイ・ヴェーソス「氷の城」:白水社編集部「その他の外国文学の翻訳者」

大阪大学デンマーク・スウェーデン語専攻で、ノルウェー語を教えていただいている朝田千惠さんとアンネ・ランデ・ペータースさんから献本頂きました。20世紀ノルウェーを代表する作家・詩人タリアイ・ヴェーソスの翻訳です。

とは書いたものの、恥ずかしながら、タリアイ・ヴェーソスという作家を知りませんでした。以下は出版社である国書刊行会のHPから。

タリアイ・ヴェーソス (タリアイ・ヴェーソス)
Tarjei Vesaas
20世紀ノルウェー文学を代表する作家・詩人。1897年、テーレマルク県ヴィニエ生まれ。主にノルウェーの自然豊かな田舎を舞台に、孤独や不安といった、根源的で普遍的な人間の感情を平易な文体で描き、独特な神秘の世界へと誘う作品を手掛ける。
代表作は『風』(1952)『鳥』(1957)『氷の城』(1963)などで、作品はすべてニーノシュク(ノルウェーの公用書き言葉のひとつ)で執筆した。北欧理事会文学賞、ヴェニス国際文学賞などの数々の文学賞を受賞し、ノーベル文学賞に幾度もノミネートされた。1970年逝去。
現在、世界的に再評価が進み、ペンギン・クラシックスをはじめ各国で作品が翻訳刊行されている。

https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336072504/

出版社のHPを見ると、「タリアイ・ヴェーソスコレクション1」となっていますので、今後も作品が翻訳されるものと思います。まだ少ししか読んでいませんが、とても自然な翻訳で期待が持てます。

さて、こちらの本ですが、ノルウェー語の中でも「ニーノシュク」からの翻訳ということでも貴重です。

ノルウェー語には、ニーノシュク(nynorsk 新ノルウェー語)とブークモール(bokmål 書籍のことば)と呼ばれるふたつの効用文語があるが、ヴェーソスはニーノシュクを使用している。デンマーク語由来のブークモールに対し、ニーノシュクはノルウェーの方言を基にしている。現在のノルウェーではブークモールの使用者は約八十五%で、ニーノシュクを使うは十五%である。

訳者あとがき p.332

訳者の一人、朝田さんと言えば、19年に翻訳された「薪を焚く」も、原文・薪の写真・そして翻訳が良くできた、とても素晴らしい本です。ぜひご一読を!

もう1冊の紹介したいのは、ノルウェー語の翻訳・教育をされている青木順子さんから、ご恵贈いただいた本です。様々な『その他の外国文学』(アマゾンでの分類)の翻訳者の苦労話をインタビュー形式で読むことができます。

発売から2カ月でもう3刷だそうで、いわゆるマイナー言語の翻訳文学に注目が集まっているようです。

記事を読んでいただき、ありがとうございます。