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#43 「ごんぎつね」を輝かせるICT活用の新アプローチ ー心情曲線のデジタル共有と協働学習による深い学びー
1 はじめに
先日、私が尊敬する先輩教員から、小学校第4学年の国語科の教材である「ごんぎつね」の授業におけるICT活用について相談を受けました。どのような場面でICTを活用できるか、またそれがどのように効果を発揮するのかを検討しているとのことでした。先輩の言葉には、より良い授業を目指す真剣な思いが込められており、私もその熱意に強く共感しました。
「ごんぎつね」は、登場人物の繊細な感情の動きを読み取ることが求められる作品です。この教材を通じて、児童が登場人物の心情を深く理解し、その理解をもとに表現力を養うことは非常に重要です。そこで、私はICTを活用して「心情曲線」を描かせることを提案しました。
2 「心情曲線」とは
心情曲線とは、物語の進行に伴って登場人物の感情がどのように変化していくかを視覚的に表現する手法です。たとえば、物語の各場面における登場人物(ごんと兵十)の心情を数値化し、その数値をグラフにプロットすることで、感情の起伏を直感的に理解できるようになります。こうした手法を取り入れることで、児童は物語の流れを追いながら、登場人物の心情変化をより具体的に捉えることが可能になります。
3 ICTを用いた心情曲線の作成
Excelを活用して「ごんぎつね」の登場人物の心情を数値化し、グラフとして視覚化する計画を立てました。児童は物語の各場面ごとに、ごんと兵十の気持ちを1(遠い)〜5(近い)の数値で表し、表に入力します。その数値を基に心情曲線を描くため、あらかじめ折れ線グラフを挿入しておきます(図1)。また、スムージング機能を利用することで、折れ線グラフを滑らかな線で表示することができます。この活動を通じて、児童は抽象的な感情の変化をより具体的に捉えられるようになります。
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さらに、学び合いの場面では、グループで互いの心情曲線を共有し、意見を交わすことができます。Excelのドロップダウンリスト機能を使って友達の名前を選ぶと、その友達が設定した数値が表に反映され、同時にグラフにも追加されるようにしています(図2)。
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これにより、児童は自分の解釈を他者と比較しながら、自身の理解を深め、根拠となる叙述を基にした対話が生まれます(図3)。
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4 ICT活用のメリット
ICTを活用することで、以下のようなメリットが期待できます。
視覚化による理解の促進
心情曲線を視覚的に表現することで、抽象的な感情の変化が具体的に把握でき、物語の理解が深まります。協働学習の推進
グループで心情曲線を共有し合うことで、他者の視点を学び、自分の理解を再評価する機会が増えます。これにより、深い学びと他者理解が促進されます。デジタルリテラシーの向上
Excelの機能を使用することで、児童は基本的なデジタルツールの使い方を学び、情報の整理や分析のスキルを養うことができます。効率的な授業運営
ICTを活用することで、教師は効果的に児童の進捗を把握でき、フィードバックの質を向上させることができます。
5 おわりに
国語の授業におけるICT活用は、児童の理解を深めるだけでなく、現代社会で求められるデジタルスキルの習得にもつながります。特に、「ごんぎつね」を通じた心情曲線の活用は、感情の変化を直感的に捉え、深い学びを引き出すための強力なツールとなります。ICTを活用したこの取り組みを通じて、児童たちが物語に対する理解を深め、学びがさらに豊かなものになることを目指していきたいと思います。
この方法を試してみたいとお考えの先生方がいらっしゃれば、サンプルデータの共有を検討したいと思いますので、ぜひコメントをお寄せください。
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※こちらに記載の『サンプルデータ』は、実際には25人学級用の完成版です。
データを活用された後のご意見やコメントをお待ちしております。
(データアップロード日:2024年8月28日)
今後も、授業改善や働き方改革に向けて、効果的な活用方法を模索していきたいと考えています。
子どもたちの深い学びの実現、教員の働き方改革の推進に向けて、ともに頑張りましょう。