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腎臓移植後の体の変化

前回は腎臓移植手術そのものについてお伝えしました。

今回は手術後の体の変化についてです。

腎臓移植後の状況概要

「腎臓移植」という言葉の響きから
深刻で難易度の高い手術と感じる方は多いと思います。

私自身もまったく別の世界のものといった印象でした。

ただ実際移植手術を受けた今はその印象も変わってきました。

(どうしてもスピリチュアルや自己啓発の論調に寄ってしまいますが、それは私の本意ではないので、どうかバイアスなく受け取ってください)


手術前の私は正直「いつ死を迎えるか」というより「事故で死んでしまったら楽なのに」という心持でした。
※手術前の状態についてはこちらの記事に詳細を書きましたので合わせて
お読みください。


手術後1年半を経過した自分の心持ちを一言で表現すると
生まれ変わった」といったところです。
すこし大袈裟に聞こえるかと思いますが、手術前の苦しみがことごとく消えました。

定量的にeGFR数値でお伝えすると理解が早い方もいるかもしれません。
手術直前:8.6  (G5 末期腎不全)
手術から1年半後:42    (G3b 中等度~高度低下)

手術前は最終段階まで進んでいた腎不全が2段階改善しました。
「なんだそんなものか」と思う方がいるかもしれませんが、体感的にはまさに「生まれ変わった」と感じるほどです。

もちろんこれは「腎臓移植した人が全員がそうなる」ということではなく、本当に運がよかったという部分もあります。

移植後に苦労された方の情報もいくつも見聞きしてますので、私の記事を読んで即座に移植を決断はしていただきたくないですが「一つのうまくいったケース」として頭の隅に置いていただければと思います。

具体的な術後の変化について時系列で触れていきたいと思います。

退院~1か月

はじめにお伝えしておくと
この期間で体調の改善を体感することはできませんでした。

というのも、3500ccまで肥大化した腎臓を取り出すためにお腹を20cm以上切っているのと体力低下が著しかったので
ゆっくりは歩けたものの、痛みで顔をゆがめながらといった感じでした。

特にズボンのベルトの位置は必然的に衣服の締め付けが強くなるので
常に攻撃されている感覚でした。

自宅から最寄り駅まで7分程度徒歩で移動してましたが
体力的にも気力的にも途中でガードレールに腰を掛けて休憩しないとダメでした。

ただ、この時点ですでに食事の制限はなくなっていたので
深く警戒せずに食事ができるというのは本当に幸せでした。

私は果物が大好きなので、手術前に控えていた果物(特にバナナ)を気兼ねなく食べられるというだけで本当に幸せでした。


※腎機能が低下すると腎臓からの「カリウム」の排泄が少なくなり、体にたまって「高カリウム血症」になります。
高カリウム血症は、突然死の原因となる心臓の不整脈を引き起こす可能性があるので医師に気持ち控えるように言われてました。
どうしても食べたくなった場合用にカリウムの蓄積を緩和する薬(片栗粉みたいな飲み口の薬)を出してもらっていました。

2〜6ヶ月

2か月を過ぎると傷の痛みもだいぶ治まってきて体の自由が利くようになってきました。
傷口の抜糸(糸ではなく巨大ホチキスですが)も終えて、見た目の痛々しさも若干緩和します。
とはいえ傷口は赤く腫れた状態なので他人が見たら十分痛々しいですし
傷口の表面はマヒしていて触っても何も感じません。

この頃から少しずつ体の変化を実感できるようになりました。

前述の記事で記載しましたが、以下のような症状のほとんどがなくなりました。
動悸・息切れ・体の震え・めまい・かゆみ・皮膚の黒ずみ

そして「腎臓容量の肥大」による以下のような症状についても同様に改善してきました。

胃の圧迫・膀胱の圧迫

伝わりにくいかもしれませんが、湯舟で寄りかかったときに「背骨」が当たる感触を何年振りかに味わって感動しました。
また布団に横になった際にも腎臓をとった右側の脇腹あたりがスカスカな感じで背中がペタッと敷布団に着いてる感覚になりました。

今までは背骨より先に大きな二つの腎臓がクッションになるため、その感触はありませんでした。

ただ残念ながらこの時点では左側の大きな腎臓が残ったままなので、左側に少しクッションがある感じでした。


7〜現在

半年を過ぎる頃の変化として、一番印象的なのは左の腎臓が小さくなったことです。

そうなんです、右の腎臓が正常に使われるようなると川の流れと同様に右の腎臓への血流が多くなり、次第に左の腎臓が小さくなるんです。

現在では前述の「左側に少しクッションが残った感じ」もすっかりなくなり
両脇がすっきりした状態になりました。

そして背中側だけでなく前側もすっきりした見た目になりました。
つまりお腹がへこんだんです。
もともとスポーツをしていたのもありますが、腹筋が少し割れた見た目にまでスリムになりました。

正直「腹筋を鍛えてシックスパックに」みたいなことはあきらめていましたが、今はスポーツジムに通って腹筋を割る楽しみを味わっています。
と書くと滑稽に聞こえるかもしれませんが、本当にここまで気持ちが変化するとは思っていませんでしたので自分でも驚いています。


まとめ

手術後の体調は長い月日をかけてゆっくりと改善しています。
2年たった現在はその改善の角度も落ち着いて安定しています。

健康な方に比べたら当然無理が効かない体ではありますが
それでも普段の生活でまわりの方に迷惑かけることなく、逆に誰かを支えるというくらいの気力は供えられるようになりました。


最後に、この改善の流れは誰しも同様なものとは限りません。
中には免疫抑制剤が体に合わず苦しんでる方もいると聞きました。
このあたりはどうしてもご自身の体質や病状によるものと思うので
一概におすすめできるものではないですが

もし移植を迷っている方がいましたら、まずは一度病院で相談だけでもしてみることをお勧めします。


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