自#604「朝食を食べないと、頭が働かないとか、その日は元気が出ないとか、そんなことは、すべて思い込みです。人間は、2、3日、食べなくても、頭はfull回転で、sharpに働きます」
「たかやん自由ノート604」(パン食とごはん食)
朝日新聞の「be」で、「朝食はパン派? ごはん派?」というアンケートにもとづいた記事を読みました。beのアンケートにお答えになっているのは、70代の方が一番多いと、想像しています。私より少し年輩の方々が、beのボリュームゾーンです。
我々の世代は、普通にごはんの朝食を、子供の頃に食べています。三つ子の魂百までも、ですから、当然、ごはん派が多数だろうと思っていましたが、パン派53パーセント、ごはん派32パーセントで、パン派の方が、1.7倍近くごはん派を上回っていました。パンをほとんど食べない(皆無に近いです)私には、結構、驚きのアンケート結果でした。今どきの若い人でしたら理解できますが、私より歳上の方々です。まあしかし、私より歳上の戦中派の方々は、アメリカ文化に憧れて、アメリカナイズされてしまったってとこは、きっとあります。我々の世代は、思春期の多感な頃、ベトナム戦争の真っ最中で、そう素直に唯々諾々と、アメリカ文化礼讃などはしたくないし、アメリカナイズされたライフスタイルに憧れたりもしませんでした。
パン食をするのは、アメリカだけではありませんが、パン食を学校給食という形で、日本に持ち込んだのは進駐軍ですし、結局、何だかだ言っても、戦後の日本は、圧倒的なまでのアメリカ文化の影響下で、ライフスタイルを築き上げて来ました。
マックが日本に上陸して間もない頃、私は、京都の四条高倉の大丸デパートの1階にあったマックで、フィレオフィッシュを買って食べました(マックのハンバーガーを食べたのは、後にも先にもこれ一回だけです)。マックのフィレオフィッシュは、化学調味料の塊のような味がしました。「こんな微妙な食べ物が、日本で流行する筈がない」と、その時、直観しましたが、その直観はまったく正鵠を得ず、今やマックは、コロナの巣ごもり期も売れに売れて、ほとんど国民食ともいうべき、確固としたポジションを築き上げています。朝、通勤前にマックの前を通ると、私より年輩の男性が、ごく普通にぼっちマックをしてたりします。ぼっちでも、smileはタダだし、値段もリーズナブルだし、珈琲も最近は美味になったし、それなりに遣い勝手のいいファストフード店なんだろうと、想像しています。
マックやスタバ、ドトール、サブウェイなどで、アメリカナイズされている街の景色から推し計ってみれば(この風景は東京だけでなく、全国、津々浦々の県庁所在地でも見かけられる筈です)パン食の方が、多数派だと言うのも納得できるような気もします。
パンやごはんにつけるおかずのアンケート結果も集計されています。ごはんの方は、みそ汁、納豆、のり、漬物、卵焼き、鮭・・・等々、それはやっぱりそうですよねと、首肯できる至極妥当な副食が並んでいます。パンにつけるおかずの方は、筆頭がヨーグルトです。「えっ、ヨーグルトって、おかずですか?」と、突っ込みたくなりました。パンを食べながら、同時にヨーグルトを並行して口にすれば、それはおかずってことなのかもしれません。あるいは、スープに浸してパンを食べるように、ヨーグルトにひたして、パンを食べるとかもありなのかもと、考えたりもします。
ヨーグルトは、私も食べます。砂糖なしのプレーンのヨーグルトを、カットした洋梨やオレンジ、キウィ、バナナなどの上に盛って食べます。バナナは、糖分が高いので、なるべく避けたいんですが、値段が安いので、どうしても、ローテーションで、何日に一回かは、食べます。ヨーグルトに関して、これ以外の食べ方を、私は知りません。パン食をすることは考えられないので、ヨーグルトがおかずになるってことは、私の場合、今後もないです。
小学校の給食で、私もパン(コッペパン)を食べました。ジャムはNGでしたが、得体の知れない、ちっちゃなキャラメルくらいの大きさのマーガリを、塗ったりもしてました。高校を中退して、バーテンの見習いをやっていた頃、毎日、食パンを200枚やそこらオーブンとトースターで、焼いていました。社会人になって、一年目は、パン屋の二階に下宿して、毎朝、パンを焼く匂いで、目覚めていました。パン職人になるために、大阪の辻に入学した教え子もいます。パン屋に勤めて、パンを時々、差し入れしてくれた、部活のOBもいました。パンは、いつの時代も、すぐ身近にあった筈ですが、パン食は、私には身につきませんでした。
漂白したやわらかくて、白いふかふかのパンは、身体に良くないだろうなと、それは直観で判ります。やわらかくて、白いふかふかが出回らなくて、ライ麦パンや黒パンとかだけが、出回っていたら、私ももしかしたら、時々、パン食をする習慣が身についていたのかもしれません。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いで、白いふかふかパンを忌避したお陰で、パン全体から、遠ざかってしまいました。
今は、栄養学とか、まったく信じてませんし、気にもしてませんが、マクロヴィオティックに多少、凝っていた二十歳そこそこの頃、少し、調べたこともあります。パン食をする場合、パンに含まれている小麦だけでは、タンパク質が足りないので、どうしても副菜として、肉類を摂取する必要があります。米の場合、完全な白米だと栄養価が落ちますが、七分搗きくらいまでに止めれば(無論、玄米が一番望ましいです)米は、perfectな食品です。米だけで生きて行けます。
20代で、日本酒の訓練をしていた時、日本酒だけで人は行けると確信したくらいですから、米に対する信頼は揺るぎません。若い頃、自炊も時々、していました。セブの圧力鍋を購入して、それで玄米を炊いて、おにぎりを拵え、おにぎりを食べながら、本を読んでいました。おにぎりの具は、梅干しか、昆布。米だけで生きて行けると、書きましたが、より正確に言うと、米と塩分と水だけで、人間は生きて行けます。そういうperfectな食品から遠ざかって、進駐軍が持ち込んだ、パン食とかに軽々しく、走る必要は、全然ないとsimpleに考えています。
何故パン食なのか、その理由もアンケート結果が記載されています。一番多い理由は、「支度が簡単」。朝は忙しくて、ご飯を炊いたり、みそ汁を作ったり、目玉焼きを焼いたりってことが、なかなかできないからってことだと、推定できます。手間ヒマをかけて、朝食を作る、そのプロセスというか過程こそが、生活の本質だという気はしますが、手間ヒマをかけなくてもいい所では、徹底的に手を抜くというのが、アメリカナイズされたライフスタイルの本質ですから、まあ、このアンケート結果になるんだろうって気がします。 パン派でも、ごはん派でもない人が、15パーセントいます。どちらでもない人が、朝、スパゲッティカルボナーラやボロネーゼ、かまあげうどんやうどんすきなどを、食べているとは到底考えられません。どちらでもないは、朝、珈琲だけを飲んで、朝食を食べない人だろうと私は想像しています。別段、それで問題ないと思います。朝からガッツリ食べていたら、もっとも脳がsharpに働く午前中に頭が回らなくなって、仕事の水準が下がってしまいます。朝食は抜いて、お昼をしっかり食べるというのがベストです。私は、今、朝一食だけ食べていますが、学校の仕事をリタイアしたら、昼食一食主義に、即座にchangeするつもりです。