学ぶ意思を奪う初任研
寒波で寒い日が続きますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
思えば去年の今頃は、教員を退職して、非正規で働いていました。鬱病も完治しておらず、生活の見通しも持てず、とても辛かったです。
そんな寒さを噛み締めながら、初任研のことを思い出していました。
初任研とは、新採用の教員が通年で受ける研修プログラムです。
教員の大量退職により、若手が増えベテラン層が激減しました。また、長時間の残業など、現場の負担も増え、教師のワザの継承が難しくなっています。
そんな時代の変化を背景に生まれたのが初任研です。
初任研では、1人の新採用教員につき、1人のベテラン教員(指導教員)と、校内の指導担当教員がついて指導にあたります。
結論を先に言います。
初任研は欠陥の多いシステムであり、新採用教員の学ぶ意志を奪うものだと思います。
1.指導教員は選べない
指導教員は市教委が割り当てるので、選ぶことができません。だから、当たり外れが大きいです。
私の友人の指導教員は、「こうやったらいいよ」と、ネットの記事をそのままコピーして持ってきたそうです。
それが悪いとは言いませんが、指導教員ならば、じっくりと授業検討に付き合ったり、本の一冊でも紹介して欲しいものです。
当たり外れが大きいのは、致命的な欠陥です。
ある教員は、力のある指導教員に支えてもらう。
ある教員は、無能な指導教員にいびられる。
そんな格差が、初任研の「当たり前」の風景になっています。
2.学ぶ意思を奪う
内容もひどいものです。
私の所属していた自治体では、週一回指導教員がやってきて、授業を見ます。
そして、言いたいことを言って帰って行きました。
何か相談すると、全て個人責任にされました。
教師が自分自身を鍛えなければいけないことは、よく分かっていたつもりです。しかし、当時の私は、何を言ってもダメ出しされると思い、何も言えなくなってしましました。そして鬱病になり休職しました。休職後、代理で入ってもらった教員から「こんなに辛いとは知らなかった。ごめん」
と言われました。
いやいや。お前ら知ってただろ。
しかも、そこで言われる内容も、校内の指導教員や教頭の指示や指導とは異なるものばかりでした。
何が正しいのか分からなくなり、混乱し、やがて学ぶ意志も消え失せていきました。
本などを読んでいると、同じように「初任研で悩んでいた」という方は多いようです。
3.原因と対応を考える
ではなぜ、学ぶ意志を奪われるのか。
思うにそれは、「新採用教員のニーズと合っていない」という、研修システムの欠陥だと思います。
初任研に限らず、学校で行う研究会の基本は、「各々が自分の考えを一方的に伝える」というものです。
世界的な組織論・経営論・教育論の動向は、もう随分と前から、「個々のメンバーの意志を尊重する」学びにシフトしています.
ガチガチの軍隊である米の海兵隊でさえ、いまでは個々のチームの現場における思考や判断を重んじています。
何が言いたいかというと、多くの学校や教育行政のシステムは、世界標準から30年以上の遅れをとっているのではないか、ということです。
初任研で「当たり」の教員にあたればよいのですが、「外れ」の場合は目も当てられません。
そして、できれば1人でも多くの初任者の方に、有意義な学びをして欲しいと思います。
私にとって「有意義な学び」とは、自分の意志に基づく学びです。
では、どうしていくか。
ゆくゆくは教師教育のシステムを変えていく必要があると思いますが、まずできることは、自分の意志に基づく学びをしてみることだと思います。
私にとって、本当に「学び」の場になったのは、
①尊敬する先輩との授業づくりと振り返り
②自分で買った本を読む
③仲間との自主研究会
でした。
もちろん、現場での経験が浅く、右も左も分からないという初任者の方には、ガッツリと指導を受ける機会も必要でしょう。
しかし、まず初任者の意志や問題を把握することが必要だと思います。なぜなら、それが学びの出発点だからです。
そのためにも、まずはゆっくりと話をし、自分のことを振り返り、自分の問題を自分で解決するために、本を読んだり仲間と話したりということが必要だと思います。
まずは自分から。
そしてゆくゆくは、自分にできるアクションを、少しずつ起こしていければと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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