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里山で事業を営むということ// 移住STORY6

もちろん不利だけど、利点も多い里山での事業

私たち家族は、群馬県高山村という人口3,500人の小さな村で、洋服を販売する事業を営んでいます。ーーと自己紹介をすると、たいてい目を丸くされて、驚かれます。「そんな田舎で服なんて売れるの?!」と。そうですよね、普通、そう思いますよね。高山村には色んな事業を営んでいる事業者さんが存在しますが、恐らく一番多いのは農業。ついで建築業じゃないかと感覚的に思います。その中で服に関する事業って、やはり珍しいのです。これは、日本のどの里山、いや、世界のどの地方でも同じかと。

家の付近の風景。田んぼの田植えが終わったところです。奥に浅間山が見えます。

利点1 珍しいからこそ注目される

里山で事業をやるというのは、難しそうに見えて案外、利点も多いのではと最近思うようになりました。まず第一に、珍しいからこそ注目される

私たちは去年の10月に高山村に移住してきたわけですが、移住してから村内外の方々とのネットワークが急速に広がっていきました。SNSをフォローしてくれる人もグングン増えました。展示販売会を開催したら、たくさんの方が足を運んでくれました。

これは、移住前に住んでいた東京ではあり得なかった現象です。東京で洋服関連の事業をやってると自己紹介しても、たいして注目されません。アパレル関連事業だけでなく、何をやっても埋もれてしまいがちですが、こちらだと、話はどんどん膨らむし、興味関心を持ってくれる方が多いのです。

利点2 撮影スポットがたくさんある

第二に、フォトジェニックな撮影スポットがたくさんあり、撮影場所に困らないという点。東京で事業を営んでいた時は、外で撮影をするとなると、良い撮影スポットを探すのに一苦労です。家からだいぶ離れた公園にタクシーで行って撮影したりしていました。が、今は家から徒歩3分圏内に、私のお気に入りの撮影スポットが複数箇所あるんです。これは、小さな事のようですが、ビジュアルがやはり大切になる洋服の販売業にとっては大きな利点なのです。

借りている田んぼもお気に入り撮影スポット
赤いワンピースは、自然の緑にとても映える
桜満開の遊歩道も、人がいないので撮影しやすい

利点3 商工会のサポートが手厚い

第三に、商工会のサポートが手厚く受けられるという点です。これは、移住する前は想像もしていなかったポイントであり、最大の利点と言っても良いかもしれません。人口が少ないイコール事業者が少ないという事です。そうすると、商工会に登録している事業者も比例して少なくなります。商工会って、実はさまざまなサポート制度があるのって、知っていましたか? 中でも「専門者派遣制度」は事業者にとってとーーーーっても助かる制度です。商工会が事業のニーズに合わせてカメラマンやデザイナーや翻訳者などの専門家を派遣してくれます。東京の商工会に登録していても、希望者が多すぎて使えなかった制度だと思います。それが田舎になると、使える……感激です。詳しくは、各自治体の商工会で聞いてみてくださいね。(※自治体によって、サポートの内容や条件が異なるようです。)専門家派遣制度だけでなく、補助金への応募やセミナー案内など、高山村の商工会の方には本当にお世話になっています。

ワンピースの撮影でもお世話になりました

利点4 家のスペースが広い

 最後の利点は、やはり家の広さ。私たちのショップ「Down to Earth」はオーダーメードのお店のため、服の在庫はありません。とはいえ、展示会でお客さんが試着する見本ワンピースや、展示会を開催するための什器はけっこう場所をとります。これらを収納するために、東京に住んでいる時は高い家賃を払って広い場所を借りていました。が、こちらでは家が広いので収納に困りません。その上家賃は1/4になりました。さらに駐車場と庭も付いているという……田舎パワー全開な住まいなのです。

自宅で撮影することも多い

でも、不利な点も……

4つの利点を挙げましたが、しっかり不利な点もあります。私たちのアパレルブランドの場合、流行の服は扱わないので、トレンドが発信される都市部から遠いというところは不利な点にはなりません。それよりも、生地メーカーから遠いというところが不利になります。そのため、今でも生地の仕入れのためにたまーに東京に出張しています。

また、先ほど「利点」のところで、フォトジェニックな撮影場所がたくさんあると書きましたが、一つ難点もあります。それは、シティっぽい写真を撮れる場所がないという点。美しい自然の中で暮らすイメージの写真は大得意な里山ですが、都市で暮らすイメージの写真はなかなか、難しいです。ちょうど先日、ユニセックスシャツを新しく販売開始したのですが、このイメージ撮影は大変でした。ビジネスシーンでも着れるし、普段着としても着れるというオールマイティーなシャツなので、「ビジネスでも着れる」というのを証明する写真が撮りたい。しかし、撮れる場所がない……。がんばって「都市でビジネスをしている」感を出せる場所を探して撮影したのが、こちら。

はい、がっつりと背景が山ですね(笑) 里山の限界を、ここで実感しました。でももしかしたら、「ここならシティ感ある!」という場所もあるのかもしれません。まだ移住して一年未満なので、これから探して行こうと思います。もしくは、知ってる方がいたら、ぜひ教えてくださいね。

ここからは宣伝。高山村発信のユニセックスシャツは現在、Makuakeというサイトで応援購入を募っています。村内で撮影した写真でページを作っていますよ。

里山暮らしの様子をYoutubeでも発信しています。良かったら観てください。



いつも私の移住STORY連載をお読み頂きありがとうございます。移住して数ヶ月が経ち、だいぶ地域に知り合い、友人が増えてきました。大量の野菜や山菜をもらう機会も増え、地域の方々に支えられて暮らしている実感があります。こうやって高山村の魅力を発信することで、地域に恩返しをすることが今の私のできること。これからも執筆を頑張りますので、引き続き応援お願いします^^

山中麻葉 Maha Yamanaka
1984年生まれ。30歳を機にサラリーマン生活に終止符を打ち、ワンピースのオーダーメードのお店を起業。2021年夏、群馬県高山村に、夫と娘と移住。夢は、小さなアーミッシュ村をつくること。

> Down to Earth アーミッシュワンピースのお店
> instagram @shop_down_to_earth
> 著書「アーミッシュカントリーの美しい暮らし」

【お知らせ】
2022年は全国でアーミッシュワンピースの展示販売会を開催します。ワンピースを試着して、その場でオーダーが可能です。ぜひご来場ください。
● 宮城県仙台市
6月18日(土)、19日(日)宮城県仙台市「ブランチ仙台」
● 大阪
10月5日(水)~10日(月)大阪府大阪市「阪急うめだ本店」
● 熊本県南阿蘇村
10月熊本県南阿蘇村 詳細は決まり次第アップデート
● 福岡県福岡市10月福岡県福岡市 詳細は決まり次第アップデート

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